マインドフルネスとは?意味・効果・仕組みなどすべてを体系的に徹底解説
マインドフルネスという言葉を聞いたことはあっても、「実際に何をするものなのか」「なぜ効果があるのか」まで説明できる人は多くないかもしれません。
マインドフルネスは人生を豊かにするスキルとして認知されはじめていますが、仕組みを知らないまま実践しても大きな効果は得られません。
本ページでは、脳科学や医療、仏教などの視点からマインドフルネスとは何かを解説するとともに、日常で取り入れやすい実践方法もご紹介します。仕組みから理解することで、効果を実感しながら続けられるようになるでしょう。
マインドフルネスの本質とは?
マインドフルネスの本質は「気づき」です。マインドフルネスは、「今この瞬間の経験や思考に、評価や判断をせずに意識的に注意を向けることにより表れる気づき」と定義されています。

わかりにくい定義ですが、ここで押さえたいポイントは次の3点です。
(1)今この瞬間
過去の後悔や未来への不安ではなく、「今・ここ」に意識を置くということです。私たちの心は放っておくと、気づけば昨日のことや明日のことを考えています。マインドフルネスは、そこに「今」という錨(いかり)を下ろす練習です。
(2)意識を向ける(気づく)
ぼんやり過ごすのではなく、自分の呼吸・感情・身体の感覚などに、意図的に注意を向けることです。「気づく」こと自体がトレーニングになります。
(3)評価や判断をしない
「こんなことを考えてしまってダメだ」「不安を感じるのはよくない」といったジャッジをせず、ただ「そういう状態にある」と観察するだけにします。
マインドフルネスの意味をより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
参考:What is Mindfulness? |ブラウン大学公衆衛生大学院.
なぜ「今」に集中できないのか? DMNとマインドフルネスの関係
マインドフルネスでは「今この瞬間に注意を向けること」を大切にします。これは単なるリラックス法ではなく、脳の働きと深く関係しています。
私たちの脳は放っておくと過去の後悔や未来の不安にとらわれやすい特徴があり、それがストレスや抑うつ、不安の悪循環につながることが近年の研究でわかってきました。
マインドワンダリングとデフォルトモードネットワーク
ある研究によると、人間の脳内では常に思考が繰り替えされており、それを言語化すると、1分間に4,000語以上を発していることがわかりました(※)。
皆さんも日常生活のなかで「夜ご飯何かな?」「昨日は忙しかったな」など目の前以外のことが思い浮かんできた経験はあるでしょう。これは、マインドワンダリング(mind wandering)といい、デフォルトモードネットワーク(Default Mode Network : DMN)という脳内ネットワークの機能によって引き起こされている現象です。

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは、脳が無意識かつ自動的に活発になる脳の機能で、ぼんやりしているときに、さまざまな雑念や思考がとりとめもなく出てくるのもDMNが原因です。
DMNの働きによって、私たちは過去の後悔や未来の不安、ひらめきなどの目の前のことに関係のないさまざまな思考が無意識のうちに湧いてきて囚われることがあり、現在すべきことに集中しにくい状態になってしまうのです。
参考:Rodney J. Korba (1990). The Rate of Inner Speech. Sage Journals, 71, (3).
デフォルトモードネットワーク(DMN)のデメリット・悪影響
DMNは、脳の総エネルギーの60~80%を消費するといわれています。そのため、DMNが過剰に活動すると単純に脳疲労につながり、頭や身体の重だるさを感じるようになります。

この原因は、脳の仕組みにあります。実は、人間の脳は旧石器時代からほとんど進化しておらず、敵や災害などのリスクを常に警戒する性質を持っています。
現代では生命の危機はないものの、現代の生活習慣や日々のストレスによってDMNが活性化し、そこから後悔や未来への不安などが湧きやすくなっています。
この状況は、ネガティブなことを繰り返し考えてしまう「反すう思考」とも呼ばれ、それ自体は病気ではありませんが、長期間続くとうつ病や不安障害のリスクを高めることが知られています。
こうした思考パターンに対して有効なのが、マインドフルネスです。マインドフルネスは「今この瞬間」に意識を向けるトレーニングであるため、DMNによって引き起こされる過去・未来への思考を手放し、現在に注意を戻すことができます。
その結果、過去の後悔や未来の不安など、今の行動に直接関係のない感情に囚われることなく、自分の思考や感情を客観的に観察(メタ認知)できるようになります。
参考:Anselm Dollら (2015). Mindfulness is associated with intrinsic functional connectivity between default mode and salience networks. Frontiers in Human Neuroscience. 9
マインドフルネスで得られる効果とは?心・脳・医療の視点から
ここまではマインドフルネスの仕組みや考え方を解説してきました。多くの方が気になるのが、「本当に効果があるのか」ではないでしょうか。
マインドフルネスを実践することで、心理面から身体面まで幅広い効果が期待できます。ここでは、具体的な効果の内容と期間別の変化、科学的な裏付けをまとめて紹介します。
日常生活・心理面での効果

マインドフルネスを実践することで得られる効果は、心理面にとどまらず日常生活のさまざまな場面に及びます。
・イライラ・モヤモヤの解消(アンガーマネジメント)
・自己肯定感の向上(セルフコンパッション)
・メンタルヘルスの改善(レジリエンス)
・思いやりの向上(EQ向上、コミュニケーション改善)
・自律神経の改善、免疫機能・睡眠の質の向上
・依存症の解消やダイエットなど
また、マインドフルネスを習得することは自分だけでなく、周囲の方にも大きなメリットがあります。それは、自分を客観視することができるようになって、自分が周囲にストレスを与えることが減るということです。
それにより、企業においては組織の人間関係が改善したり、家庭では落ち着いた雰囲気が生まれることで子どもや家族に良い影響があったりなどが期待できます。
マインドフルネスの効果:期間別

では、どれくらいの期間で、マインドフルネスの効果を感じられるようになるのでしょうか?
マインドフルネスは、早い人なら一度だけでも、気分やモチベーション、睡眠などに効果を感じられる場合もあります。また、長期的に実践を続ければ、さまざまなシーンで応用ができるようになります。
| 短期的な効果 (1回 〜 1週間) | ・脳の不要な活動(エネルギー消費)を抑制して脳疲労を軽減 ・脳疲労の軽減によって、体の疲労感も改善 ・ネガティブな思考が抑制されてストレスが減少 |
| 長期的な効果(2ヶ月以上) | ・ストレスを感じることが少なくなり、充実感が増えていく ・ネガティブな思考や感情に左右されることなく客観的な判断や行動ができる ・メタ認知(状況や感情を客観的に認識すること)ができるようになり、出来事と感情、ストレスを切り分けることができる |
医療からみるマインドフルネスの効果

医療の分野でマインドフルネスが活用されているのは、「今」に注意を戻すことが、過去の後悔や未来の不安にとらわれやすい脳の偏りを整える働きを持つからです。
もともと1970年代にジョン・カバットジンによって慢性疼痛の治療を目的として開発されたマインドフルネスでは、「抑うつ」「不安症」の治療において実行機能と注意機能の回復を目指します。
実行機能とは、「抑制機能(衝動的な思考や行動を抑える力)」「シフティング(状況に応じて思考を切り替える力)」「ワーキングメモリの更新(必要な情報を選んで処理する力)」から成り立ち、これらの患者は実行機能が低下している状態です。
思考や感情、行動への意識を高めることに重点を置くマインドフルネスは、注意、認知制御、感情調節などの側面を改善することが複数の研究で示されています。
参考:Yi-Yuan Tangら (2012). Improving Executive Function and Its Neurobiological Mechanisms Through a Mindfulness-Based Intervention: Advances Within the Field of Developmental Neuroscience. CHILD DEVELOPMENT PERSPECTIVES, 6, (4).
参考:Philip David Zelazoら (2018). Mindfulness Plus Reflection Training: Effects on Executive Function in Early Childhood. Frontiers in Psychology, 9.
脳科学からみるマインドフルネスの効果

脳科学の視点では、マインドフルネスは単純な脳疲労の軽減だけでなく、自律神経が整い、ワーキングメモリが向上するなど、脳の構造やネットワークそのものに変化をもたらすことが指摘されています。
・脳疲労の解消(デフォルトモードネットワークの活動抑制)
・メタ認知力の向上によるストレスの減少、仕事のパフォーマンスの向上
・ワーキングメモリの向上
ワーキングメモリとは感覚情報や記憶などを短期記憶として保持し、意思決定や発話、思考などの認知機能を実行する脳の機能です。
会話をしながら、相手の雰囲気や意図などを考えたり察したりする際に働いている機能です。物忘れが激しい方はこの機能が落ちてしまっている可能性があり、ワーキングメモリの向上は認知症の予防にも役立ちます。
参考:Rozalyn Simonら (2015). The default mode network as a biomarker for monitoring the therapeutic effects of meditation. Frontiers in Psychology, 6.
参考:Michael D. Mrazekら (2013). Mindfulness Training Improves Working Memory Capacity and GRE Performance While Reducing Mind Wandering. Sage Journals, 24, (5).
参考:Jha, Amishi Pら (2010). Examining the protective effects of mindfulness training on working memory capacity and affective experience. Emotion, 10, (1).
マインドフルネスのやり方 〜集中と観察〜

マインドフルネスの実践方法であるマインドフルネス瞑想は、「集中」と「観察」という2つの要素で構成されており、両者の違いはよく顕微鏡で例えられます。
| 集中のトレーニング | 観察する対象にピントを合わせ、意識をそらさない |
| 観察のトレーニング | ピントを合わせた対象を観察 |
まずは「集中」で観察する対象にピントを合わせ、その対象から意識をそらさないようにします。そして次にピントを合わせた対象を「観察」します。
集中と観察という要素は、マインドフルネスの元となった仏教の「瞑想」の種類である「集中瞑想」「観察瞑想」という言葉から来ています。マインドフルネス瞑想は集中瞑想と観察瞑想のどちらの要素も持ち合わせているため、橋渡し的な役割を果たしている手法ともいえます。
集中と観察のどちらが上で、どちらが下という区別はありません。ただし、先程の顕微鏡の例のように、まずはピント・焦点を合わせる「集中」ができないと「観察」できないため、まずは集中のトレーニングから実践することが推奨されています。「観察のトレーニング」がうまくいかないと感じる場合にも「集中のトレーニング」から取り組むとうまくいく場合もあります。
また、それぞれ効果が少しずつ異なってくるため、目的によって使い分けるのがおすすめです。例えば、集中力を高めたい方、アスリートなど目の前のことに意識を100%向けて集中する必要がある方は、集中寄りのマインドフルネス瞑想を実践するといいでしょう。
一方、自分の感情や意識をコントロールしたい場合や、ストレスを少なくしたい、苦しさや困難を乗り越えたい、他者とのコミュニケーションを改善したいと思っている場合には、観察寄りのマインドフルネス瞑想が向いています。
マインドフルネスのフォーマルな実践方法
マインドフルネス瞑想は主に「フォーマルな実践」と「インフォーマルな実践」に分けられます。ここでは、マインドフルネスストレス低減法(Mindfulness-based stress reduction : MBSR)に代表されるフォーマルな実践方法をご紹介します。
(1)呼吸瞑想:マインドフルネスの基本となる瞑想法です。呼吸に意識を向け、心がさまよい始めたことに気づいたら、再び呼吸に意識を戻すことを繰り返します。
(2)ボディスキャン:身体の隅々をスキャンするように意識を向けていく瞑想法です。見落としがちな体のサインに気づけるようになるため、疲れが取れない方やにおすすめです。直感力を高めるために内受容感覚を育みたい方に向いています。
(3)慈悲の瞑想:慈悲の瞑想は、自分や他者を思いやる言葉を心の中で唱える実践です。共感力やEQを向上させ、健康的な人間関係を築く力を育みます。
(4)ジャーナリング:ただ思い浮かぶ思考、「過去の出来事」や「未来への不安」「あちこち移ろう思考」など、自分の思考がどんな風に流れていくのか書き出す瞑想法です。感情に振り回されてしまう方や、衝動的に行動して後悔してしまう方にもおすすめです。
(5)歩く瞑想:普段無意識に行っている「歩く」という動作をマインドフルに行う瞑想法です。じっとして座る瞑想が苦手な方、地に足をつけるグラウンディングの感覚を育みたい方におすすめです。
(6)マインドフルネスヨガ:動きの瞑想としてのヨガを行います。身体を受容する感覚を育み、身体に対する気づきを高めます。心の問題を心で解決するのが難しいときは、体の声に耳を澄ますと心の声が聞き取りやすくなります。
これらの方法でも「集中」と「観察」が鍵になってきますので、ご自身の状況に合わせて、実践方法を選択してみてください。
▼ フォーマルなマインドフルネスの実践方法 ▼
| 集中のトレーニング | 観察のトレーニング | |
| 呼吸瞑想 | 心がさまよい、考えが浮かんだことに気づいたら、再び呼吸に意識を戻すことを繰り返す。 | 呼吸に伴う体の動きや感覚、浮かんでくる思考や感情の変化を観察する。 |
| ボディスキャン | 意識の矢印を順番に体中を移動させてゆき、そのとき注意を向けている体の部分から意識がそれないようにする。 | 注意を向けている体の部分の温度、血液が流れている様子、皮膚の表面や内側感覚などを繊細に観察する。 |
| 慈悲の瞑想 | 慈悲のフレーズに集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 心が温まる感覚、体のどの部分がそれを感じているか、他者への思いやりが高まる感覚などを観察する。 |
| ジャーナリング | 書くことそのものに集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 次々と思い浮かぶ思考を観察しながら、ペンを走らせたときの音や握っている手の感覚などを観察する。 |
| 歩く瞑想 | 足の裏が大地を踏みしめている感覚に意識を集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 歩くときに体が揺れ動く様子や聞こえてくる音、空気の匂い、見える景色、肌に触れる風などを観察する。 |
| マインドフルネスヨガ | 動かしている体の部分に集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 体を動かしながら、自分の体温の変化、汗、息遣い、体全体や心の動きなどを観察する。 |
マインドフルネスのインフォーマルな実践方法と手軽なやり方
マインドフルネスはフォーマルな実践に留まらず、「ながら瞑想」と呼ばれる日常生活の行為と組み合わせ、集中力を高める実践方法もあります。マインドフルネスに必要な集中力を高めることで、観察瞑想の基盤を整えます。
マインドフルネスは、筋トレやダイエットと同じで継続が大切です。フォーマルな練習が合わなかった人でも、ながら瞑想を1日5〜10分続けるだけで集中力アップを感じられるでしょう。
以下の表では、日常で取り組みやすいマインドフルネス瞑想の方法を例に、集中のトレーニングと観察のトレーニングの方法を示しているので参考にしてください。
▼ インフォーマルなマインドフルネスの実践方法 ▼
| 集中のトレーニング | 観察のトレーニング | |
| サウナ瞑想 | 熱波や滴る汗に意識を集中させ、そこから意識がそれないようにする。 | 心臓の鼓動の大きさや早さ、呼吸の様子、水風呂に入るときの心の動きなどを観察する。 |
| 食べる瞑想 | 食物の味、匂い、温度などに集中し、そこから意識がそれないようにする。 | アゴや舌の動き、唾液の様子を観察したり、美味しいと思っている心の動きなどを観察する。 |
| 料理瞑想 | 野菜を切ること、具材を混ぜることなどに集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 料理中の食材の色の変化や匂い、音、手触りなどを五感を使って観察する。 |
| シャンプー瞑想 | 頭皮の感覚や指の動きに集中し、そこから意識がそれないようにする。 | シャンプーの匂いや泡立ち具合、お湯の温度、シャワーの音を観察する。 |
| 呼吸瞑想 | 呼吸に集中し、そこから意識がそれないようにする。 | 雑念がわいたら、それに気づいて、その一連の心の動きも観察する。 |
マインドフルネスとヨガの違い
マインドフルネスとヨガは、もともと「心を整え、メンタルヘルスを向上させる」という同じ目的を持っています。違いとしては、ヨガは身体感覚を通じてメンタルヘルスにアプローチするのに対し、マインドフルネスは身体に限定せず、呼吸や思考、感情など幅広い対象に意識を向けます。
そのため、ヨガはマインドフルネスの実践方法の一つとして位置づけられています。「今この瞬間」に意識を向ける先が身体感覚になっているのがヨガといえます。
ただし、日本ではヨガがフィットネスやダイエットのイメージで広まっているため、本来の目的とは少し異なる認識を持っている方も多いかもしれません。ヨガの持つ本質的な意味を知ることで、より深く実践に取り組むヒントになるでしょう。
マインドフルネスの歴史・始まり
マインドフルネスは仏教の瞑想をベースに、アメリカ・マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバットジン博士がマインドフルネスストレス低減法(Mindfulness Based Stress Reduction : MBSR)を開発したことから始まりました。
その後、アメリカの臨床・医療の現場でストレス疾患患者の治療として用いられるだけでなく、さまざまな研究が進められてきました。
マインドフルネスが一躍有名になったのは、Googleの研修に取り入れられたことがきっかけです。現在はApple、Amazon、Intel、Yahoo、メルカリなどの海外や日本の大手企業でも採用され、コロナ禍ではアメリカ・ニューヨーク州がマインドフルネスを推奨するなど、さらに広がりを見せています。
MBSRはストレス低減を目的として開発されたものではありますが、これまで説明してきたようにさまざまな効果を持っており、Googleの公式ブログでは以下のように説明されています。
It’s a tool that, when used wisely, can boost your experience at work, your relationships with others and even your overall well-being.
訳:マインドフルネスは正しく使うことで、仕事の効率を高め、人間関係や自分自身、そして会社全体の健康を向上させるツールです。
参考 : Headspace and New York Governor Cuomo’s Office Team Up to Release ‘New York State of Mind,’ Free Meditation and Mindfulness Content Hub Curated for New Yorkers.|Mental Health Association in New York State, Inc.
参考:Will the COVID-19 Pandemic Convince Us of the Critical Mental Health Dimension for Peacebuilding?|Center on International Cooperation
マインドフルネスの応用と日常での活かし方
マインドフルネスは、瞑想や呼吸法だけでなく、日常生活のさまざまな場面で役立てることができます。ここでは、セルフコンパッションやアンガーマネジメントなどの具体例を通して、その応用方法をご紹介します。
マインドフルネスとセルフコンパッション

セルフコンパッションとは、自分自身を思いやり、優しく接する態度を持つことで、「苦しんでいるとき、親友に接するように自分に接すること」をいいます。
“理想ではない自分”や“できない自分”を認め、受け入れてあげる力と表現することもあります。セルフコンパッションは心の安定をもたらし、ストレスの軽減や自尊心の向上、心理的な回復力の向上などの効果があるとされています。
セルフコンパッションは、マインドフルネスの中に組み込まれた要素の一つであり、お互いを補い合うような関係性にあります。自分が苦しいときや悩んでいるときなど、困難な状況に対処する際に役立ちます。
マインドフルネスは「苦しみに心を開き、ありのままを受け止める」という側面がある一方、セルフコンパッションは「苦しいときに、まずは自分に優しくする」という考え方です。
多くの人にとって、辛い状況にある自分(ありのまま)を直視して受け止めるのは難しいことです。事前にセルフコンパッションで心を落ち着かせることで、マインドフルネスがスムーズに深まり、困難を乗り越えやすくなります。
マインドフルネスとアンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を健康的かつ建設的な方法で処理し、コントロールするためのスキルを身に着けることを指します。アンガーマネジメントには、感情の認識、怒りの原因の識別、コミュニケーションスキルの向上、リラクセーション技法などが含まれます。
生活のなかで怒りをうまく扱うことは重要です。しかし、怒りを適切にコントロールするには、自分の怒りの癖を理解する必要があります。マインドフルネスによって、怒りを観察する力や自分を客観的に捉える能力が備わっていきます。
具体的には、マインドフルネスの実践によって、怒りの感情を細かく認識することができるようになります。例えば、不安が原因の怒りなのか、嫉妬が原因の怒りなのか、それぞれによって対処方法は異なります。

感情を細かく認識することができるようになることで、怒りが湧いてきたときに思考を挟み、感情をつぶさに理解することで、冷静に反応することができ、怒りのコントロールにつながります。
マインドフルネスをやってはいけない人
マインドフルネスは、多くの人にとって「やった方がいいもの」です。ただ、精神疾患を抱えた一部の「やってはいけない人」も存在します。その見分け方、判断基準をご紹介します。
マインドフルネスは「抑うつ(うつ病)」にも効果的ではありますが、「幻覚が見えてしまう」「フラッシュバックするような心的ストレスを抱えている」場合はマインドフルネスをやらない方がいいといわれています。
マインドフルネスで思考を観察することで、精神的に不安定になったり、ストレスがフラッシュバックして不安が強くなってしまう場合があるためです。

そのため、以下のような疾患をお持ちの方、もしくは傾向がある方は必ず医師や専門家にご相談の上で、実践を行ってください。
- 統合失調症
- 妄想、幻覚などの症状
- 双極性障害
- 躁状態、うつ症状が強い場合
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- フラッシュバックなど、PTSDの診断基準に則った症状が強い場合
- うつ病
- 重度の場合は、休息と薬物療法が適している場合が多い。
- 強迫性障害
- 個人差があり病名のみでは判断が難しいので、医師や専門家にご相談ください。
参考 :こころの情報サイト|国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
マインドフルネスのよくあるQ&A・質問
マインドフルネスをこれから始めようとしている方、まだ始めたばかりの方にぜひ読んでいただきたい「Q&A・よくあるご質問」をご紹介します。
Q:マインドフルネスはスピリチュアル(宗教的)なものですか?
A:いいえ、マインドフルネスは医学的、脳科学的なエビデンス(根拠)のあるものです。実際に臨床の現場や企業、大学などに導入されています。
Q:マインドフルネスと瞑想は違いますか?
A:マインドフルネスの実践方法の一つが瞑想です。瞑想はマインドフルネスの実践方法のベースとなり、マインドフルネスを習得する際に必ず行う方法になります。具体的な実践方法、種類については「マインドフルネスのやり方〜集中と観察〜」をご覧ください。
Q:マインドフルネスは老若男女誰でも実践可能でしょうか?
A:基本的には老若男女誰でも実践可能ですが、重篤な精神疾患をお持ちの方は控えたほうが良いです。
Q:マインドフルネスのうつ病への効果はどの程度ですか?
A:マインドフルネスのうつ病への効果に関する研究は多数あります。例えば、MELONでは、マインドフルネスの効果について、早稲田大学と共同研究を行い、マインドフルネスのプログラムの効果を科学的に実証しています。

グラフを見ると一目瞭然ですが、マインドフルネスのプログラムの参加者は、実践によって「うつ・不安」の数値が大幅に低下していることがわかります。
これは、参加時に「抑うつ」と診断される状態の方が、2か月の実践(平均30分のクラスを週3回ほど)で「抑うつ」と診断されないほどに改善したことを示しています。
参考:マインドフルネスの効果検証研究開始|早稲田大学
Q:マインドフルネスは企業における離職・休職、エンゲージメント課題にも効果がありますか?
A:あります。MELONは早稲田大学などとの共同研究のノウハウを活かし、科学的なエビデンスのあるマインドフルネスを用いた「セルフケアプログラム」を法人向けに提供しています。
離職・休職、エンゲージメント、社内コミュニケーション、高ストレス者の対策、生産性・プレゼンティーイズムの改善などの文脈で経済産業省様、三井物産様、マツダ労働組合様など多くの企業に導入いただいております。
詳細は以下の法人プログラムのページをご覧ください。
まとめ|マインドフルネスとは?
今回は、マインドフルネスについてあらゆる観点から説明しました。難しい部分も多く、いきなりすべてを理解するのは非常に難易度が高いため、焦らず、少しずつ理解していきましょう。
まずは、マインドフルネスの本質が「自分や周りの環境に、客観的・意識的に気づくこと」だと覚えておいてください。そのうえで、次の3つのポイントを頭の片隅に置きながら、日常の中で少しずつ試してみましょう。
(1)今この瞬間
過去でも未来でもなく、「今ここ」に意識を向けること。
(2)意識を向ける(気づく)
自分の思考や感情、身体の感覚にそっと注意を向けること。
(3)評価や判断をしない
良い・悪いとジャッジせず、ただ「気づく」だけでOK。
マインドフルネスは、練習を重ねるごとに少しずつ身についていくものです。完璧を目指さず、まずは今日から一歩踏み出してみてください。
もし、マインドフルネスを正しく身につけたい方、ストレス解消やメタ認知、睡眠改善などの効果を実感したい方がいらっしゃれば、一度「MELONオンライン」を試してみませんか?
マインドフルネスを、好きな時間に、好きな場所で実践できるプログラムです。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターから学ぶことで、正しいマインドフルネスが身につきます。
2週間の無料トライアルがありますので、もしご興味があれば活用ください。



