ブログ

Googleだけじゃない!大手企業がマインドフルネス瞑想を導入する理由とは?

googleの研修にも取り入れられたマインドフルネス瞑想をする男性や女性

Googleが社員研修に取り入れたことで有名なマインドフルネスは、近年LINEヤフー、メルカリ、大和証券グループといった多くの大手企業でも導入されています。

導入が進んでいる背景には、マインドフルネスは組織に対して「生産性の向上・感情の制御能力向上・エンゲージメントの向上」などの効果が挙げられ、これらは研究によって裏打ちされています。

そこでこの記事では、大手企業でのマインドフルネスが取り入れられる理由や導入事例などをご紹介します。マインドフルネス瞑想のやり方についても詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

Google社員も実践するマインドフルネス瞑想とは?

野原で瞑想をする男性

まずマインドフルネスとは何か、そしてマインドフルネス瞑想との関係性をご紹介します。

マインドフルネスとは「今この瞬間」に注意を向ける心理状態

マインドフルネスとは、「今この瞬間」に起こっている現象に注意を向けている心理状態、またはその状態に向かうプロセスを指します。つまり、今対面している出来事だけに集中して、それ以外には意識がそれていない状態のことです。

マインドフルな心の状態を作るための練習にはさまざまな方法がありますが、そのうちのひとつが瞑想です。マインドフルネス瞑想とは、マインドフルな状態を獲得、実践するための練習方法としての瞑想法を指します。


マインドフルネスについてより詳しく知りたい方は「マインドフルネスとは? 〜 マインドフルネスの全てを体系的に解説 〜」をご覧ください。

Googleがマインドフルネス瞑想を導入した理由とその効果

マインドフルネス瞑想は、2007年からGoogleで社員の研修プログラムとして導入されています。Googleのマインドフルネスは書籍にもなっており、『サーチ・インサイド・ユアセルフ 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』 は日本でも5万部のベストセラーとなりました。

ここではGoogleでマインドフルネス瞑想が導入された経緯、その効果についてご紹介します。

Search Inside Yourselfとは

「Search Inside Yourself(SIY)」は、Googleのエンジニアであったチャディー・メン・タン氏が開発したマインドフルネスの講座です。瞑想は現実社会での成功につながり、幸福感を高めると考えるメン氏は、社員に教育プログラムを提供する「グーグル・ユニバーシティ」の一環としてSIYを導入しました

SIYはマインドフルネス・神経科学・エモーショナルインテリジェンスを融合した、一人ひとりの個性とリーダーシップを開花させるプログラムです。仕事と人生両方で生き生きと成果を上げつつ、道を切り拓けるようになるマインドとツールを手に入れることを目的としています。

Googleを起源とするSIYは、2012年にメン氏が設立した「The Search Inside Yourself Leadership Institute」という非営利教育機関によって、これまでに50か国の企業や組織に広まっています。

Search Inside Yourself(SIY)がもたらす効果

SIYは神経科学にもとづく調査を重視しており、参加者6,100人を対象とした調査では以下のような効果があることが実証されました。

  • 注意力が散漫になっている状態から、集中力を取り戻すことができるようになったと回答した人が52%から72%に増加
  • ストレスに対処するテクニックが使えると回答した人が46%から71%に増加
  • 逆境から立ち直ることができると回答した人が43%から61%に増加
  • 困難な課題に対しても前向きに解決策を考えられると回答した人が58%から71%に増加

マインドフルネスの実践によって、生活や働くうえで重要なスキルを得ることができます。

出典:Mindful Leadership Institute

マインドフルネスが企業に取り入れられる理由

オフィスビル

マインドフルネスが多くの企業に導入されている理由を本質的に理解するには、マインドフルネスのどういった側面が、どのような効果と結びついているのかを知ることが大切です。

ここでは生産性の向上・コミュニケーションや人間関係の改善・エンゲージメントの向上という3つの観点から解説します。

生産性の向上

マインドフルネス瞑想では「今この瞬間」に意識を向けるトレーニングを積み重ねるため、集中力を養うことができます。そして「今」に集中することで、過去に対する後悔や未来に対する不安に縛られなくなり、ストレスが低減するのです。

このようなマインドフルネスの効果は、業務の効率や生産性の向上につながります。

コミュニケーションや人間関係の改善

マインドフルネス瞑想を継続すると、共感力やメタ認知能力(自分自身を客観的に認識する力)が高まり、自分を取り巻く状況がより深く理解できるようになります。

他者の気持ちを尊重できるようになると、職場でのコミュニケーションや人間関係が自然と改善していくのです。

エンゲージメントの向上

マインドフルネスの実践による組織の変化を社員が感じられるようになると、エンゲージメントが向上します。エンゲージメントは多くの企業が頭を悩ませている「離職・退職者の増加」や「採用力の向上」などとも深く関係しているため、積極的に向上させたい指標です。

マインドフルネスを用いてエンゲージメントを高める方法についてはマインドフルネスでエンゲージメントを高める!実践方法とその効果をご紹介」という記事で詳しく取り上げていますので、ぜひご参照ください。

参考:“From mindfulness to work engagement: The mediating roles of work meaningfulness, emotion regulation, and job competence” Front Psychol

大手企業のマインドフルネス導入事例

会議中の手

マインドフルネスは近年、海外の企業のみならず日本の企業でも導入が進んでいます。ここではマインドフルネスの導入事例を3つご紹介します。

導入事例(1)LINEヤフー

LINEヤフーは、SIYを基とした独自の研修を2016年に導入しました。

研修導入から2年後の効果測定では、業務パフォーマンスにも良い影響があることが判明。研修受講者の業務パフォーマンスは非受講者より20%高く、特に週3回以上の実践者ではその差はおよそ40%に広がることが確認されました。

さらに、受講者同士の対話も重視することで「より自分を客観視できるようになり、心を整えるスキルを向上させる」こともねらいとしています。2020年時点で約1,200人がマインドフルネス研修を体験し、参加者を募集する際には毎回抽選になるほど人気なようです。

参考:ヤフーが取り組むマインドフルネス研修とは?|Beyond Health

導入事例(2)メルカリ

日本最大級のフリマアプリを運営するメルカリも、マインドフルネスを導入している企業のひとつです。社内で発足した「マインドフルネス部」がGoogleの事例を参考に活動を行っています。

主にマインドフルネスのコーチによる研修プログラムを実施しており、座学での基礎知識と、マインドフルネス瞑想の実践が行われています。日々マルチタスクをこなし疲れが溜まっていくなかでも、マインドフルネスを導入してパフォーマンス向上を図っています。

参考:変化の激しい時代に求められる心のメンテナンス…マインドフルネス部の活動紹介|メルカリ

導入事例(3)大和証券グループ

“国内5大証券”のひとつである大和証券グループも、2021年から新入社員向けにマインドフルネス瞑想研修を導入しています。

大和証券グループは、「人材の重視」を企業理念とし、社員のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的な健康状態)向上を通じて、組織として高いパフォーマンスを発揮することを目指しています。

健康経営の一環として、特に新しい環境下で強いストレスに晒される新入社員を対象にマインドフルネス研修が実施されるようになりました。研修では慶應義塾大学医学部の精神科医が講師となってマインドフルネス認知療法(MBCT)プログラムを実施します。

MBCTとは「マインドフルネスストレス低減法」と認知行動療法を組み合わせたマインドフルネス認知療法のことで、うつ病の再発防止や、不安症状などに対して効果が実証されています。

研修は否定的な考えや行動に対処し、ストレスや不安を軽減することを目的としており、受講者からは「ある程度心身の状態をコントロールできることがわかった」とストレスをコントロールする術が身についたという声が聞かれました。

参考:健康経営|大和証券グループ本社

【実践】「マインドフルネス瞑想」のやり方を紹介

「マインドフルネス瞑想ってそんなにいいの?」と感じている方に、マインドフルネス瞑想の基本的なやり方をご紹介していきます。

マインドフルネスは、「いまこの瞬間」に注意を向け、注意がそれたら再び注意を戻す、ということを繰り返して訓練を行います。

  1. まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。

    ・力まずリラックスすること
    ・背筋に旗の棒が一本通っていることをイメージする

  2. 次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる吐く息と吸う息を丁寧に感じましょう。

    ・空気が入ってくる感覚や出ていく感覚に意識を向ける

  3. 途中で意識が呼吸から反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。

  4. 2〜3を数分間続けます。

座り方・姿勢のコツについては「瞑想の正しい『姿勢・座り方』とは?あぐらがつらいときの対処法も紹介」という記事で詳しく取り上げていますので、ぜひご参照ください。

もし、「文章だけでとわかりづらい」という方は、解説動画も用意しているので、ぜひこちらもご覧ください!

「やり方が合っているのかわからない」という方は、ぜひ「MELON オンライン」のマインドフルネスクラスに参加してみませんか?

一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧にわかりやすくレッスンを行うので安心です。14日間は無料で利用できるので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

MELON公式画像

まとめ|Google社員も実践するマインドフルネス瞑想

今回はGoogleをはじめとする各企業でマインドフルネスがどのように導入されているのかや「どのような効果があるのか」についてご紹介しました。

マインドフルネスの導入によって、生産性の向上やコミュニケーションの改善が見込まれ、組織のエンゲージメント向上が期待できます。これらのメリットから、Googleといった外資系企業だけでなく、日本でもマインドフルネスを導入する企業が増えてきているのです。

マインドフルネスの効果は脳科学的に実証されており、仕事にもプライベートにも活用できます。記事でご紹介したマインドフルネス瞑想をぜひ実践してみてください!