【人事担当者向け】エンゲージメントとマインドフルネスの関係とは?

企業を成長させていく上で従業員のエンゲージメントは欠かせない要素ですが、そのエンゲージメントに課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
エンゲージメントを高めるための手段として、「マインドフルネス」があります。
本記事ではエンゲージメントとマインドフルネスの関係について、MELON代表 橋本へのインタビューをもとに紹介します。
法人の人材開発に関わっている方や会社の人事担当者の方などは、ぜひご覧ください。
エンゲージメントが注目されている理由

――そもそも「エンゲージメント」とは、どのような意味なのでしょうか?
エンゲージメントというのは、従業員の方が能動的に組織に関わっていく姿勢みたいなものです。簡単にいうと「やる気」とも言い換えられます。
「エンゲージする」というのは自ら進んで働きかけていくことなので、ただ受け身の姿勢で関わるというよりは、「能動的に働きかける」という意味合いが強いと思います。
このエンゲージメントを高めましょうというのが、昨今さまざまなところで言われています。
――では、なぜ今エンゲージメントが注目されているんですか?
一番端的に一言で表すと、「優秀な人をつなぎ止めておく必要があるから」です。
まず今、世界的にどのような時代にあるかというと、「大退職時代」が到来していると言われています。これは「会社の人材がどんどん辞めていってしまう」というもので、アメリカではすでに始まっています。
以前は「給料を上げる」「条件・待遇を変える」といったことでつなぎ止められていた人たちが離職してしまうという現象が起こっていて、これが企業の存続をおびやかすリスクになっています。エンゲージメントが低い組織では、「人が定着しない」「採用も難しい」「入社しても比較的すぐに辞めてしまう」という現象が起きつつあるみたいですね。
こういった時代にあっても、エンゲージメントを高めて「この組織のために頑張ろう」と思ってもらえれば、長く働いてもらうことができますし、優秀な人材の確保にもつながります。
これが、昨今エンゲージメントが重要視されている背景です。
――「エンゲージメントは企業業績にも影響をおよぼす」と聞いたのですが、本当でしょうか?
アメリカのギャラップ社の調査では、エンゲージメントと企業業績は強い相関があることがわかっています。
例えば、エンゲージメントが高いチームは低いチームよりも収益性が22%高く、生産性が21%高いことが明らかになりました。また、離職率が65%低いこともわかっています。
こういったデータが出ているというのも、エンゲージメントが注目されている理由の1つなのかなと思います。
エンゲージメントとマインドフルネスには深い関係性がある

――そもそもエンゲージメントはどのようにして高まるのでしょうか?
エンゲージメントには、さまざまなファクターが関与しています。種類はたくさんあるのですが、主要なものだと以下のような要因が挙げられます。
- 健康であること
- 人間関係
- 自己の成長
- 評価・承認(適正な評価や承認をされているか)
- 会社の理念やミッション、ビジョン
- 組織風土・カルチャー
こういった要素がそれぞれ高ければ、エンゲージメントが高くなりやすくなります。もちろん、逆もしかりです。一般的には、何か1つだけの要素を強化したからといってエンゲージメントが高まるわけではないと言われているため、総合的に高めていく必要があります。
会社によってそれぞれの要素の高さ・低さはまったく異なるので、最近では「エンゲージメントサーベイ」のようなツールで測定するという取り組みが始まっており、大手企業などではすでに導入されています。
さらにエンゲージメントを高めるための施策として、それぞれの要素における強み・弱みを把握し、弱いところをカバーしていくという取り組みが行われています。
――エンゲージメントとマインドフルネスはどのような関係があるのでしょうか?
マインドフルネスは、先ほど挙げた「エンゲージメントを高めるための要素」を引き上げるベースになります。
先ほど紹介したすべての要素に関係していて、特に「健康(メンタルヘルス)」がイメージしやすいと思います。マインドフルネスは、心身の健康を高めるために有効であることがわかっているので。
人間関係については、マインドフルネスによってコミュニケーション力や傾聴力を高めたり、他人に共感したりすることで改善が期待できます。
つぎに自己の成長について言うと、マインドフルネスを行うことで自分の状態を客観的に理解しやすくなるので、自己認識が高まります。これが自身の成長を促すベースとなります。
さらに評価・承認については、マインドフルネスが自分の感情やバイアスに気づくきっかけとなるので、客観的な評価をしたり、あるがままの自分や相手を評価したりすることに役立ちます。
続いて理念やミッション、ビジョンについてお話します。エンゲージメントを高めるには、他者から共感してもらえるミッションを掲げることが重要です。つまり、「利他的なマインドがマネジメントにあるかどうか」「利他性(自分のためにではなく社会にどういう貢献ができるか)が入っているか」を重要視して理念やミッションを作る必要があります。このような理念は「本当にこの社会をよくしたい」という人間の想いから生まれてくるので、そういった心のベースを育むために、マインドフルネスが有効です。
そして組織風土・カルチャーというのは、最近話題となっている「心理的安全性」を指します。成長する組織は心理的安全性が高いと言われているのですが、その心理的安全性を作るには「マインドフルな心の状態」が重要であるとされています。
このように、エンゲージメントを高めるために必要な要素を高める上で、マインドフルネスが非常に有効である、ということが言えます。
▼【人事担当者向け】エンゲージメントとマインドフルネスに関するより詳しい情報
マインドフルネスの効果はメンタルヘルス改善だけにとどまらない

――マインドフルネスはメンタルヘルスのための取り組みではないんですか?
マインドフルネスは、メンタルヘルスを改善するために有効ということはわかっています。
組織に限らず、人はパフォーマンスを出すときにメンタルが疲れていたり悪い状態だったりすると、力を十分に発揮できません。そういった時にマインドフルネスでメンタルをマイナスからニュートラルな状態に持っていくというのは有効な手段ですし、科学的なエビデンスもたくさんあります。
ただ、実はマインドフルネスができるのはそれだけでないんです。
マイナスをゼロに持っていくだけでなく、むしろプラスを大きくしていくことも可能なんですよ。
マインドフルネスは、人としての成長や人材開発のベースにもなりますし、組織の成長・変革をする上でも重要な要素であり、共通スキルみたいなものです。それを持っている方が多い組織っていうのは進化していくことができるので、メンタルヘルスだけにとどまらず、企業の進化・成長にもマインドフルネスは有効です。
いわゆる「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる言葉がありますが、そういった不確実性の高い時代に入っている中で、マインドフルネスは柔軟に成長を維持するためのソフトスキルでありコアスキルだという風に思っています。
マインドフルネススキルを高めるためのポイント

――マインドフルネススキルを高めるにはどうすれば良いんですか?
一番のポイントは、頭で理解するだけではなくトレーニングを実際に継続して身体になじませる・身につけるということが重要です。
頭で理解すれば実践できるスキルもたくさんあるのですが、マインドフルネスというのは残念ながらそういう簡単に身につくスキルではなくて、コツコツと練習していただく必要があるものです。
そのため、まずは「頭で理解して学ぶ」ということをベースにした上で、日々の実践やトレーニング、研修などを継続して、本当にその人自身が変わっていくという変化を起こすことが重要です。
マインドフルネスによる効果が期待できる企業とは?

――マインドフルネスはどんな課題を抱えている企業におすすめですか?
たくさんあるのですが、一番わかりやすいのは「メンタルの不調者が多い・増えてきている」と感じる会社ですね。ぜひ皆さんに受けていただきたいと思います。状態が悪くなった方はもちろん改善が期待できるのですが、予防もできるのでセルフケアのスキルとして全員の人が学んでいただけるといいかなと考えています。
2つ目は、人間関係の問題が起きている企業です。以下のような人間関係のすれ違いやトラブルが起きている場合には、効果が期待できると思います。
- 人同士のコミュニケーションがうまくいっていない
- お互いを信頼できていない
- きちんと評価してもらえない
- 話を聞いてもらえない
そして最後に、エンゲージメントが残念ながら高くない企業や、採用に課題を抱えている企業にもおすすめできます。
エンゲージメントを高めるにはマインドフルネスが効果的

今回は、エンゲージメントとマインドフルネスの関係性について紹介しました。
エンゲージメントには「健康」や「自己の成長」など、さまざまな要素が関わっており、それぞれを高めるためにはマインドフルネスが有効です。
また、自社にマインドフルネス研修を導入することで、「離職率改善」や「気分障害の予防」「生産性の向上」など、さまざまなメリットが期待できます。
「従業員のエンゲージメント向上に興味がある」「エンゲージメントとマインドフルネスの関係性についてより深く知りたい」という方は、下記の資料もあわせてご覧ください。エンゲージメントに関する課題や原因、その解決策なども解説しています。
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