ジャーナリングとは?マインドフルネスを深める書く瞑想のやり方と効果

ぐるぐると同じことを考えてしまって気分が落ち込むことがありませんか?そんなときは頭の中のモヤモヤを書き出す「ジャーナリング」を実践すると思考が整理され、スッキリとするかもしれません。
ジャーナリングを習慣化することは、物事を客観視する力が養われ、心身の健康にもつながることが、科学的にも証明されています。
今回はMELONのインストラクターである古町奏さん監修のもと、ジャーナリングを取り入れる効果や具体的な実践方法を詳しく説明します。
マインドフルネスとジャーナリングの関係をもっと知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください。
書く瞑想「ジャーナリング」とは?

ジャーナリングとは、「書く瞑想」として知られる瞑想の一つで、頭に浮かんだことをそのまま紙に書くことで自分の状態を理解し、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上を図るセルフケアです。ジャーナリング瞑想と呼ばれることもあります。
ジャーナリングを続けることで、思考を整理する力や新たな気づき、物事を客観視する力が養われます。
頭の中で思考が巡るとき、意図せずネガティブな方向に偏りがちになります。頭の中で同じことをぐるぐる考えているときは、必ずしも真実ではないことに悩み、迷路の中をさまよっている状態といえます。
そんなときジャーナリングを行うことで、「これは今考えなくてもいいことだ」「考えても仕方のないことだ」と客観視できるようになり、思考の迷路から抜け出しやすくなるのです。
ジャーナリングはマインドフルネス瞑想の一つ
マインドフルネス瞑想には「集中瞑想」「観察瞑想」の2本柱があり、ジャーナリングは「観察瞑想」に該当します。
日常生活では思考の渦に飲み込まれ、自己と思考が一体化してしまいがちですが、ジャーナリングを継続することで自身が陥りやすい思考パターンが見えてきます。そうすることで、自分が執着しているものや無意識に抱えているものに気づきやすくなります。
ジャーナリングの効果

ジャーナリングにはさまざまな効果があります。ここでは、自己理解の深化、記憶力向上、精神的・身体的な健康改善の効果についてご紹介します。
思考の癖を可視化し自己理解を深める
思考や感情を文字に表すことで、思考を整理し、思考の癖を可視化することができます。自己理解が深まり、自分でも気がついていなかった気持ちや考え方を発見することもあるかもしれません。
それによって、ネガティブになっていることに早めに気づくなど感情に振り回されることが少なくなります。
記憶力の向上
ジャーナリングの一つである「エクスプレッシブライティング」は、記憶力向上にも効果があることが研究で明らかになっています。
エクスプレッシブライティングとは、個人的な感情や出来事について自由に書き出すことで、ワーキングメモリの向上に効果があることが研究によって実証されています。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持し操作する能力で、日常生活や学習、問題解決において重要な脳の機能です。たとえば、暗算や会話ができるのもワーキングメモリに短期記憶が保存されるためです。
研究結果によると、些細なテーマについて書くことを指示された学生よりも、大学に通うことについての考えや感情を書くように指示された学生の方がワーキングメモリが大幅に増加し、ネガティブな経験を書くように指示された場合にはその増加が顕著でした。これは感情を言語化することで無意識に湧き上がる雑念や不安を抑制し、ワーキングメモリの容量が増えるためです。
参考:Klein Kら(2001). Expressive writing can increase working memory capacity. Journal of Experimental Psychology: General, 130, (3).
精神的・身体的な苦痛の減少
さらにエクスプレッシブライティングは、身体的および精神的な健康にも効果が実証されています。
被験者が自分の感情やストレスフルな出来事について書いた結果、ストレスや抑うつ症状の軽減、免疫機能の向上がみられました。さらに、喘息における肺機能の向上や、がんによる痛みの軽減などにも寄与する可能性が示唆されており研究が進められています。
これらの効果の背景には以下の要因があると考えられています。
- つらい出来事に対する感情を抑制せずに吐き出すことで、抑制によるストレスが緩和される
- つらい記憶を整理し再構築することで、認知が変化し前向きに考えられるようになる
また、ネガティブな内容に限らず、ポジティブな出来事を書くことでも同様の効果が見られます。
たとえば、ポジティブ・アフェクト・ジャーナリング(PAJ)は、日常生活で経験するポジティブな出来事や感情に焦点を当てて日記を書く手法です。研究によると、軽度から中等度の不安がある慢性疾患を持つ患者が3か月PAJを実践すると、通常行われるケア以上に不安、抑うつ状態の軽減が見られ、持病への回復力も向上したことが判明しています。
参考:Karen A. Baikieら(2005). Emotional and physical health benefits of expressive writing. Advances in Psychiatric Treatment, 11, (5).
参考:Joshua M Smythら(2018). Online Positive Affect Journaling in the Improvement of Mental Distress and Well-Being in General Medical Patients With Elevated Anxiety Symptoms: A Preliminary Randomized Controlled Trial. JMIR Ment Health, 5, (4).
ジャーナリングのやり方

それでは、ジャーナリングの基本的なやり方をご紹介します。やり方が厳密に決まっているわけではないので、ご自身が気持ちよく続けられる方法を探してみてください。あまり考えすぎずに感じるままに書くのが良いでしょう。
STEP1:マインドフルネス瞑想を5〜10分行う
まずは心をリラックスした状態でジャーナリングを行うために、マインドフルネス瞑想を5~10分程度行いましょう。マインドフルネス瞑想を行うことで、さまよっていた意識を内側に向け、自分の気持ちに気付きやすくなります。
より具体的なマインドフルネス瞑想のやり方はこちらの記事をご覧ください。
STEP2:頭に浮かんだことを3分間書き出す
ノートとペンを用意して、頭に浮かんだことをそのまま書いてみましょう。良い悪いを判断せず、何も思いつかなければ「何も浮かばない」と書いてもOKです。文章の形になっていなくても構いませんし、誰かに見せるわけではないのできれいな字で書く必要もありません。
ノートとペンは手元にあるもので十分ですが、習慣化のためには、お気に入りのペン(書きやすいペン)やノートを使うとより気分良く取り組めるでしょう。
STEP3:書いた内容を読み返して心の状態を眺める
書いた内容を確認して、自分の心の状態を客観的に見つめてみましょう。その日すぐに確認する必要はありません。時間を置いてからでもOKです。
書くことで心の状態が可視化され、認識しやすくなります。時間を置いて見返すことで自分の成長を実感したり、過去の失敗が現在に活かされていることに気がつくなど、前向きに生きるための助けになります。
ジャーナリングを習慣化させるヒント

ジャーナリングを習慣化させるために役立つ3つのポイントをご紹介します。無理なく実践できることが大切です。
テーマを決めて書いてみる
ジャーナリングには、そのとき頭の中に浮かんだことをひたすら書く方法と、テーマを設定して書く方法があります。
テーマを決めることで今まで無意識のうちに捉われていた価値観から解放され新しい視点を得たり、忘れていた大切なことを思い出すきっかけにもなることもあります。
特にジャーナリング初心者の方におすすめのテーマを2つご紹介します。書くことに困ってしまったときはぜひ使ってみてください。
- テーマ例:今日1日がんばったことは?
- テーマ例:今日うれしかったことは?
自分に合った時間帯を見つける
思考を吐き出す、整理するという目的でジャーナリングを行うのに、「朝のほうがいい」「夜が適している」といった正解はありません。一番大切なのは、毎日続けられるタイミングを見つけること。継続することで自分の思考に気が付くきっかけになるだけでなく、ストレスや抑うつ症状の軽減にもつながります。
ちなみに「朝に頭の中の思考を書き出すのが良い」とよく言われるのは、ビジネスの観点で思考をクリアにし、他に意識を取られずに業務を行うためです。
スマホのメモやアプリでも大丈夫
ジャーナリングは必ずしも「紙とペン」で行う必要はありません。たとえば、スマホやパソコンのメモ機能を使って自分の気持ちを書き出すこともできます。また、ジャーナリング機能が搭載されたアプリを活用するのも一つの手です。
スマホやパソコンを持ち歩いていればいつでもジャーナリングができるため、旅行先や出先で何かを書きたくなったときにも便利です。同じアプリに記録すれば振り返りも簡単で、任意のキーワードで検索することが可能なものもあります。ぜひ、ご自身に合った方法を見つけてくださいね。
まとめ|ジャーナリングを習慣化することで自分を客観視する力を鍛えよう

今回はジャーナリングの効果や詳しいやり方について紹介しました。
ジャーナリングには、自己理解の深化、記憶力向上、心身の健康改善などさまざまな効果が期待できます。時間や場所を問わず気軽に実践しやすいので、複雑に絡み合った感情をほどいてみてはいかがでしょうか。
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