メタ認知とは?心理学的な意味や高い人の特徴、鍛え方を徹底解説

自分を客観的に認知する「メタ認知能力」。身につけることで、日常やビジネスのシーンでさまざまなメリットがあると注目を集めています。
「つい感情的になってしまう」
「もっと人の気持ちを考えられるようになりたい」
「どうすればクリエイティブな発想が浮かんでくるのだろう?」
などの悩みは、メタ認知能力を向上させることで解決できるかもしれません。
今回は、メタ認知能力とは何かについて高い人の特徴を含めて解説するとともに、向上させる方法も紹介します。
メタ認知とは?心理学の視点から意味をわかりやすく解説

メタ認知とは、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベル氏が定義した心理学用語で、英語では「Metacognitive」と書きます。
メタとは、「より上の」「~を超えた」といった意味を持つ言葉です。一方で認知は、推測や思考に基づいて物事を理解・判断・解釈するプロセスを指します。
つまりメタ認知とは、自分の考えや判断などの「認知」が正しいかどうか、一段高いレベルから見渡して、理解したり判断することを意味します。
そうはいってもなかなかイメージしづらいですよね。メタ認知能力を働かせているシチュエーションを仕事を例に説明します。
- 「工数の多いプロジェクトなのでタスクを細分化し、それぞれに期限を設定する」「集中力が持たないので、◯分ごとに休憩を挟む」など、タスクや自分の特性に合わせて戦略を立て実行する。
- 仕事を進めていく中でも「もっと良い方法はないか?」「これが最善か?」というように一段上から状況を観察して改善する。
このように自分自身や状況を俯瞰的に観察し、行動に反映していく能力がメタ認知能力です。
参考:メタ認知とは?能力が高い人・低い人の特徴とトレーニング方法を紹介|寺子屋朝日
メタ認知能力が高い人の特徴とは?

メタ認知能力が高い人は、自分の思考や感情を効果的にコントロールし、パフォーマンスを向上させることができます。ここではメタ認知能力が高い人の特徴を紹介します。
物事を客観的に判断でき、問題解決能力が高い
メタ認知能力の高い人は、状況を客観的に分析してさまざまな視点から原因を探ることで、問題を的確に解決します。
また、問題に対して一段高いレベルから多角的にアプローチできるため、創造的な解決策を考えつきます。
他者の感情が理解でき、コミュニケーション能力が高い
メタ認知能力の高い人は、自分だけでなく他者も観察し理解するため、相手を思いやった対応ができ、コミュニケーション力が高い傾向にあります。
これは、「自分の言動が他人にどう映るか理解できる」かつ「自分視点ではなく、相手の価値観に基づいて行動できる」ためです。
ストレスに対し適切に対処できる
メタ認知能力の高い人は、ストレスを感じたとしても、自分の感情や反応を冷静に分析します。
「今は疲れてネガティブになっているな」「タイミングが悪かったかも」と冷静に受け止めるため、必要以上にネガティブな感情に振り回されることが少なく、ストレスにうまく対処ができるのです。
それにより感情任せの行動が減り、ストレスの軽減につながるという好循環を生み出します。
メタ認知能力が低くなる原因とは?

ここではメタ認知能力がうまく発揮できない場合に考えられる原因を紹介します。
自分と他者を切り分けて考えられていない
自分と他者が異なる存在で異なる価値観を持っているという視点が抜けていると、主観的な判断に偏りがちになります。
「当然ほかの人もこう思うだろう」「〇〇すべきだ」といった硬直した思考に囚われている場合は要注意です。メタ認知能力が高い人であれば、「あの人だったらこう思うかも」「ほかの立場の人の意見も聞いてみよう」と多角的・客観的に考えられるため、より的確に問題を解決できます。
感情をコントロールできていない
感情に振り回されていると、視野が狭くなり、冷静な判断を下せないことがあります。
メタ認知能力が高い人であれば、ネガティブな感情が爆発する前に兆候に気づき対処できます。一方、兆候に気づけず感情のままに行動すると、冷静で客観的な判断ではなく感情的で主観的な判断を下し、後悔する場面が増えてしまいます。
十分なフィードバックが得られていない
経験を振り返り、改善することで視野が広がり、メタ認知能力が培われます。
さらに、自分一人で考えるより、他者からフィードバックを得ると、自分だけでは得られなかった視点を得ることができ、より多くの視点で物事を考えられるようになります。
メタ認知能力を鍛えるには、自分で振り返りを行うこと、他者の目線でフィードバックをもらうことの両方が大切です。
メタ認知能力を鍛えるにはマインドフルネスが有効な理由|研究を基に解説

マインドフルネスは、「現在の瞬間に注意を集中し、評価や判断をせずに受け入れる」ことを基本とするトレーニングです。ここでは、マインドフルネスのメタ認知能力向上につながる効果を示す研究を交えながら解説します。
マインドフルネスとは何かについては以下の記事で詳しく解説しています。
自分と他者を区別する能力が向上する
マインドフルネスには、自己と他者を区別する能力を向上させる効果があります。
マインドフルネスは脳の「前帯状皮質(ACC)」の活動を増加させると研究によって判明しました。ACCは社会的認知に関わる部位であり、自己と他者の区別を維持する役割があります。
マインドフルネスを実践すると、物事を客観的に観察する力が向上し、自分と他人を分けて考えられるようになるためメタ認知能力が高まります。
参考:Yi-Yuan Tangら (2012). Improving Executive Function and its Neurobiological Mechanisms through a Mindfulness-Based Intervention: Advances within the Field of Developmental Neuroscience. Child Development Perspectives, 6, (4).
認知能力が向上する
マインドフルネスはメタ認知のベースとなる認知能力を向上させることが実証されています。認知能力とは、思考・理解・判断などの知的能力で、IQやテストのスコアなど数値で測定可能なものです。
研究の結果、マインドフルネスによってマインドワンダリングの発生が抑制され、目の前のタスクに対する集中力が向上するため、認知能力が向上すると判明しました。
参考:Michael D. Mrazekら (2013). Mindfulness Training Improves Working Memory Capacity and GRE Performance While Reducing Mind Wandering. Sage Journals, 24, (5).
感情のコントロール力が向上する
マインドフルネスは脳に変化をもたらし、感情のコントロール能力を向上させます。
マインドフルネスには脳の扁桃体の活性を抑え、扁桃体と前頭前野の一部のつながりを強化する効果があると研究により実証されました。
扁桃体は、不安や恐怖などのマイナスな感情に関連する脳の部位です。不安や恐怖を強く感じると活性化しますが、通常は理性を司る前頭前野が扁桃体を抑えつけてバランスを取っています。
この脳の変化により、感情の波に飲み込まれることなく物事を冷静に客観的に判断する力が向上します。
参考:Tammi RA Kralら (2018). Impact of short- and long-term mindfulness meditation training on amygdala reactivity to emotional stimuli. Neuroimage, 181.
メタ認知能力のトレーニングに有効な3つのマインドフルネス瞑想法

ここでは数あるマインドフルネス瞑想の中でも、基本のやり方と、特にメタ認知能力の向上に有効な瞑想法を紹介します。
動画あり|5分でできる基本のマインドフルネス瞑想
まずは基本のマインドフルネス瞑想の方法を紹介します。5分でできるので動画を見ながらやってみましょう。
- まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。
- その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。
- 次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる吐く息と吸う息を丁寧に感じましょう。
- 途中で意識が呼吸から反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。
- 1〜4を数分間続けます。
思考を整理できる|ジャーナリング
ジャーナリングとは、「書く瞑想」とも呼ばれる瞑想方法で、頭に浮かんだことをそのまま紙に書くことで自分の状態や思考の癖を理解し、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上を図る手法です。
悩みやストレスが生じたときは、ペンを手に取って紙に頭に浮かんでくることを書き出してみましょう。「何がストレスだったのか」「相手の言動の何に怒りを感じたのか」など、自分の頭によぎった考えをひたすら書き出していきます。
ジャーナリングを続けることで、思考を整理する力や物事を客観視する力が養われ、視野を広げたり、衝動的な行動が減る効果が期待できます。
ジャーナリングの詳しい効果ややり方はこちらの記事で詳しく解説しています。
物事を客観視できるようになる|ラベリング瞑想
ラベリング瞑想とは、今この瞬間に感じている感覚や感情を言葉にしていく瞑想法です。感覚や感情に「痛み」「不安」などとラベルを貼るように短い言葉で名前をつけていくことで、客観的な視点を育みます。
基本的なやり方は以下のとおりです。
- 楽に座って呼吸に意識を向けます。
- 呼吸から意識が逸れたらその対象にラベルを貼ります。しっくりくる表現を探してみましょう。
例)「あのとき、こうすればよかったなぁ=後悔」「明日のランチ楽しみだなぁ=ワクワク」
短く言い表すのが難しい場合は「〇〇と思った」というように表すのもOKです。 - 呼吸に意識を戻し、意識が逸れたらラベリングを繰り返します。
つい怒りや悲しみといった強い感情に支配されてしまう方も、ラベリング瞑想を行って対象を客観的に観察することで、感情に飲み込まれずに適切な距離をとれるようになります。
まとめ|マインドフルネスを活用してメタ認知力を鍛えよう
今回は、メタ認知とは何かや鍛える方法を詳しく解説しました。
メタ認知能力が向上すると、さまざまな場面で高いパフォーマンスが発揮しやすくなるだけではなく、ストレスへの対処もうまくなっていきます。
マインドフルネスを活用してメタ認知能力を鍛え、仕事もプライベートも充実させましょう。
MELONでは、オンライン・マインドフルネスサービス「MELONオンライン」を提供しています。
今回ご紹介した
・基本の呼吸瞑想を扱う「Basic」のクラス
・ジャーナリングやラベリング瞑想を扱う「Recognition」のクラス
など、月間300以上のクラスが受け放題です。クラスはリアルタイムまたはアーカイブ配信をご用意しているので、いつでもどこでも実践できます。
クラスではさまざまなテーマでジャーナリングを実践したり、気づいたことをシェアしたりできるので、一人でマインドフルネスを実践する以上に観察を深めて気づきを得やすくなります。
また、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧にわかりやすくレッスンを行うため、初心者の方も安心です。
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