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DMN(デフォルトモードネットワーク)の活動は『マインドフルネス』で抑制できる

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DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)が過剰に活動すると、「不安や悩みで頭がいっぱい」、「いくら休んでも疲れがとれない」などの症状が起こりやすくなります。こういった経験がある方も多いのではないでしょうか。

実は、そんなDMNの過剰な活動は『マインドフルネス』を実践することで抑えることができるのです。

この記事では、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会 認定講師による監修の元、「そもそもDMNやマインドフルネスとはなにか?」を踏まえながら、「DMNとマインドフルネスはどう関係するのか?」について解説していきます。

また、「マインドフルネスで得られる効果」や「マインドフルネスの具体的なやり方」も紹介するので、ぜひ参考にしてください!

『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』とは?

デフォルト・モード・ネットワークを表すネットワーク画像

DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)とは、脳が無意識かつ自動的に活発になる脳機能ネットワークです。わかりやすく言うと、自動車のアイドリングのような状態のことを指します。

DMNが過剰に活動すると「雑念」や「思考」が止まらなくなる

例えば、ぼんやりしているときに「さまざまな雑念や思考がとりとめもなく出てくる」といった経験はありませんか?

DMNが過剰に活動すると、「過去の後悔」や「未来への不安」など、考えてもどうしようもないことを繰り返し考えてしまうのです。

DMNがどうしてこのような性質を持つのか気になる方は、以下の記事をチェックしてみて下さいね。

DMNは脳の総エネルギーの60〜80%を消費している

DMNは脳の総エネルギーの60~80%を消費しています。そのため、DMNが過剰に活動すると「危機への備え」としての機能が働き、「常に心がさまよってしまう」ことが大きな問題です。

そうなると、脳はエネルギーを消費して疲労し、いつの間にか不安な気持ちにとらわれてしまいます。

『マインドフルネス』とは?

ヨガ 手 マインドフルネス

マインドフルネスは、瞑想を通して行う「脳と心の休息法」です。

「今この瞬間」の経験に、評価や判断を加えず意識的に注意を向けることで、普段は意識していない感情や思考に気づくことができます。

マインドフルネスはGoogleが社員研修に導入したことでも話題となっており、手軽に実践できて「気持ちが落ち着く」などの効果を実感しやすいことから、IT企業のみならず主婦や高齢者まで幅広い層に広がっています。

「マインドフルネスについてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事でわかりやすく解説しているので、ぜひ読んでみてください。

マインドフルネスの起源

マインドフルネスは最近よく耳にしますが、考え方自体は新しいものではありません。

仏教に由来するマインドフルネスは、なんと3000年以上もの間「瞑想」という形で実践されています。

「マインドフルネス」という言葉は、上座部仏教の経典で使われるパーリ語の「sati(サティ)」という言葉(「気づき」と訳されることが多い)が起源であるとされています。

そんな仏教の考え方を「ジョン・カバット・ジン博士」が宗教色を排除したツールとして整えて、「マインドフルネスとしての考え方と練習法」として提唱しました。

マインドフルネスの歴史や起源については、こちらの記事で詳しく解説しています。

『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』と『マインドフルネス』の関係性

ストレスにさらされる人を表す人形

ここまでは「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)」と「マインドフルネス」について解説してきました。

では、DMNとマインドフルネスにはどんな関係性があるのでしょうか。

以下、詳しく解説していきます。

マインドフルネスによってDMNの活動が低下する

マインドフルネス瞑想では「今この瞬間の経験」に、評価や判断を加えず意識的に注意を向ける練習をします。 

意識的に注意を向ける練習をすることによって、DMNの過剰な活動が抑制されるのです。

その結果、雑念が少なくなり、DMNによる脳のエネルギー消費が抑えられ、脳が休まるというメカニズムになっています。

また、DMNの「危機への備え」としての機能によって、湧いてくる雑念は「過去の後悔」や「将来への不安」などが多いです。

DMNの活動低下によって脳の休息だけでなく、後悔や不安に囚われなくなり、結果的にストレスが軽減されます。

『マインドフルネス瞑想』のすごい効果一覧

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マインドフルネス瞑想は、他にもさまざまなすごい効果があります。数多くの研究により、いくつもの効果が実証されているのです。

ここでは、「マインドフルネス瞑想のすごい効果」を厳選して6つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

長期的なストレス解消効果

『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』と『マインドフルネス』の関係性にて、マインドフルネスによってDMNの活動が低下し、ストレスが軽減されることを解説しました。

さらに、マインドフルネス瞑想は毎日継続することで、長期的にもストレス解消効果があります。

マインドフルネス瞑想で、「今この瞬間」に注意を向けると、自分の状態や気持ちを客観的に認識できるようになります。

そうなると、物事の捉え方が変わり「外的刺激=ストレス」と捉えないないようになるのです。

◇ 外的刺激とストレスの違いとは?具体例を紹介

では、「外的刺激とストレスはどのように違うのか?」「どうしてストレスと捉えられないようになるのか?」について、例を挙げてみます。

例えば、世界最高峰のテニスの大会である「ウィンブルドン」に錦織圭選手と他のセミプロ選手が出場して、どちらも1回戦で負けたという状況を考えてみてください。

錦織圭選手の場合、1回戦負けしたことを大変悔しくストレスに感じると思います。しかし、セミプロ選手にとっては、大会出場だけで夢のようだと思うでしょう。

つまり、結局ストレスとは「そこにある事実をどのように捉えて受け入れるか」によって変わるのです。

このように長期的にみて認知バイアスがなくなることで、ストレス軽減効果があるとされています。

参考文献・論文:村上裕樹(2016).情動制御における神経生理学敵祈願の解明.科学研究費助成事業研究成果報告書. 

集中力が高まる

マインドフルネス瞑想には、「集中力が高まる」という効果もあります。

マインドフルネス瞑想では、「呼吸に意識を向ける→意識がそれたら再度呼吸に意識を戻す」という注意制御のトレーニングを繰り返します。   

注意制御の練習をすることで、DMNに支配されずに「今この瞬間」に集中できるようになるのです。

すぐに集中力向上を実感するのは難しいですが、マインドフルネス瞑想を継続して行うことで少しずつ身につけられるでしょう。

参考文献:Karen Jakobsen, Per Hove Thomsen, Sanne Lemcke(2019).[Mindfulness as treatment for ADHD].Ugeskr Laeger. 182(1).

自己肯定感が高まる

マインドフルネス瞑想には、「自己肯定感が高まる」という効果もあります。

直接的に自己肯定感が高まるわけではありませんが、自己肯定感の土台となる「自己受容力=あるがままの自分を受け入れる力」が育つ、というとわかりやすいかもしれません。

これは、上記で解説した「長期的なストレス解消効果」の物事の捉え方が変わることによります。

参考文献・論文:Christopher R Berghoff, John P Forsyth, Timothy R Ritzert, Georg H Eifert, Drew A Anderson(2018).Evaluation of the contribution of values clarification to a brief mindfulness meditation intervention for anxiety.J Clin Psychol. 74(9)

共感力が高まる

マインドフルネス瞑想の一種である『慈悲の瞑想』を行うことで、「共感力が高まる」という効果が期待できます。

慈悲の瞑想によって、自分や他者に思いやりの気持ちを向けることによって、共感力向上につながるのです。

カリフォルニア大学やスタンフォード大学のチームは、「マインドフルネスを継続することで共感性が向上する可能性がある」という研究結果を示しています。

以下の記事では、慈悲の瞑想の「具体的なやり方」や「効果」について詳しく記載しているので、ぜひ実践してみてください。

自己統制力が高まる

「自己統制力が高まる」のもマインドフルネス瞑想の効果の一つです。

自己統制力とは、「自分が何を欲している?」「どんな感情なのか?」「何をしたいのか?」など、自分で自分の世話やコントロールができる能力です。

マインドフルネス瞑想を継続して、心の観察ができるようになると、「自分の思考の癖への気付き」や「EQ(心の知能指数)の向上」が見込めるので、結果的に自己統制能力が向上します。

現在では、うつ病の再発予防のための治療や犯罪心理学へも取り入れられています。

参考文献・論文:宇佐美麗・田上恭子(2012).マインドフルネスと抑うつとの関連―自己制御の働きに着目して―.弘前大学教育学部紀要. 131〜138. (107).

睡眠の質が高まる・不眠が改善する

マインドフルネス瞑想を実践することで、「睡眠の質が高まる・不眠が改善する」といった効果も期待できます。

マインドフルネス瞑想には、交感神経をリラックスさせ脳を休める効果があります。

そのため、マインドフルネス瞑想を習慣化すると、不眠の原因として多く挙げられる「自律神経の乱れ」が解消され、睡眠の質が高まるのです。

また、睡眠と同様に脳を休めることが意識的にできるので、睡眠時間自体は短くても睡眠の質や満足感は向上します。

睡眠とマインドフルネスとの関係性については、こちらの記事をご覧ください。

『マインドフルネス』の導入事例

ストレスから開放された女性

マインドフルネスは多くの企業が導入しています。

「社員の生産性向上」や「離職率の低下」「うつ防止」など、ビジネスの現場においても高い効果が得られると話題になっているのです。

では、どのような企業がマインドフルネスを取り入れているのでしょうか。

Google

マインドフルネスを導入している企業で最も有名なのは、やはり「Google」なのではないでしょうか。

Googleは会社設立9年目から、社員向けに「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」という独自のプログラムを開講しています。

このプログラムは、非常に人気が高く最長6ヶ月待ちになることもあるようです。

Apple

iPhoneやMacで有名なIT企業「Apple」も、マインドフルネスを導入しています。

「社内に瞑想ルームを作る」「勤務時間内の30分をマインドフルネスに使用することを許可する」など、会社として積極的にマインドフルネスを取り入れているのです。

前CEOのスティーブ・ジョブズも、新製品を生み出す前にマインドフルネスを実践していたそうです。

メルカリ

メルカリを運営する「株式会社メルカリ」でも、マインドフルネスが取り入れられています。

最初は社内の部活動として有志のメンバーで行っていたそうです。しかし、効果があるか不明だったため、後にプロコーチによるワークショップを行うようになりました。

内容は座学の講義だけでなく、エクササイズの実践も行われています。

【実践・動画あり】マインドフルネス瞑想の簡単なやり方を解説

集中 石 海辺 マインドフルネス

それでは、実際にマインドフルネス瞑想のやり方を解説します。

ここでは、一番基本となるマインドフルネス瞑想の簡単なやり方を紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。

また「文章だけではわかりにくい」という方は解説動画も用意しているので、そちらをご覧ください。

  1. まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。(瞑想の座り方・姿勢についてはこちら
  2. 次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる吐く息と吸う息を丁寧に感じましょう。
  3. 途中で意識が呼吸から反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。
  4. ②〜③を数分間続けます。

まとめ|『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』と『マインドフルネス』

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この記事では、「DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)とマインドフルネスの関係性」や「マインドフルネスのすごい効果」などについて解説しました。

マインドフルネス瞑想を実践することで、DMNが過剰に活動するのを抑えられ、ストレス軽減につながります。

また、マインドフルネス瞑想を継続的に行うことで、他にもさまざまな効果が得られますよ。

以下の記事では、今回紹介した「基本のマインドフルネス瞑想」以外にも、さまざまなマインドフルネスのやり方を紹介しています。

日常生活で取り入れられる方法も紹介しているので、ぜひ試してみてください!

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