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マインドフルネスの歴史とは?起源や創始者を解説!仏教との関係性も紹介

僧侶の像と僧侶

現代のストレス社会において、マインドフルネスは心の健康を保つための重要な手法として注目されています。仏教にルーツを持つマインドフルネス瞑想法は、現代の医療やビジネスの分野に取り入れられ、人々に心の平穏と前向きな生き方をもたらしてきました。

その起源がどこに存在し、どう発展したのか気になる方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、マインドフルネスの誕生と広がり、そして仏教との関係性について詳しく解説します。

マインドフルネスの起源と歴史

瞑想している像

まずは、「マインドフルネス」という言葉の起源を探ってみましょう。また、どのように現代のマインドフルネスが誕生し、その効果が科学的に実証されるようになったのかもみていきます。

“マインドフルネス”の起源は「古代仏教」にある

ルーツは諸説ありますが、マインドフルネスという言葉は、元々パーリ語の仏教用語である「サティ(Sati)」の英訳です。サティとは仏教における修行体系の一部で、「覚えていること、心にとどめておくこと、記憶しておくこと、思い出すこと」を意味します。

「サティ」という言葉を「マインドフルネス」と訳したのは、イギリスの東洋学者であるトマス・ウィリアム・リス・デイヴィッズです。彼は寺院間の紛争解決のためにスリランカに派遣され、現地のパーリ語や初期仏教を学ぶ過程で、パーリ語仏典を英語に翻訳しました。

参考:藤田 一照(2014).「日本のマインドフルネス」へ向かって. 人間福祉学研究. 7(1).

参考:The Muddied Meaning of ‘Mindfulness’| The New York Times magazine.

現代のマインドフルネスの創始者はジョン・カバットジン博士

ご覧いただいたように、仏教との関係が深いマインドフルネスですが、その効果を医療の分野に持ち込み、科学的に実証していったのがジョン・カバットジン博士です。米国マサチューセッツ大学医学部の名誉教授で、同大マインドフルネスセンターの創設者でもあります。

カバットジン博士は、仏教瞑想やヨガを実践しその効果を実感したことで、これを医療に役立てられないかと考え、「マインドフルネスに基づくストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction, MBSR)」を確立しました。この手法は臨床現場で採用され、プログラムの有効性が実証されています。


MBSRについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。

マインドフルネスと日本の仏教の関係

水辺で瞑想している像

マインドフルネスのエッセンスは、私たち日本人の仏教とも関係しています。

瞑想はさまざまな宗教で行われていましたが、特に仏教で具体的な手法としてまとめられ、初期経典である「念処経」などに記録されました。約1500年ほど前に日本に仏教が伝来し、現代のマインドフルネスに通ずる考え方が日本にも定着することとなります。

たとえば仏教宗派のひとつである曹洞宗では、主に座禅を通じて修行が行われます。座ることで身体を安定、心を集中させ、身体や心の調和をはかるのです。マインドフルネス瞑想でも同じように身体を安定させ、心に意識的に注意を向けます。

現代ほど科学技術や医療が普及していなかった当時、病気や死がより身近な世界だったと考えられています。さまざまな不安や恐怖に苦しむ世の中で、心の平安を保ち、幸せに生きる術のひとつが瞑想でした。

物資的に満たされた現代世界においても、「幸せとは何か」に悩む現代人にマインドフルネスが広がっていることは必然なのかもしれません。

参考:大谷 彰 (2021). マインドフルネスの歴史と展望. 心理学評論, 64, (3).

参考:中川 吉晴 (2018). 「永遠の哲学」における「気づき」の存在論―マインドフルネスの新たな基礎づけを求めて. トランスパーソナル心理学/精神医学, 17, (1).

参考:坐禅と曹洞宗| 曹洞宗 北信越管区教化センター

マインドフルネスはどう世界に広がっていったのか

地球儀

企業の研修にも取り入れられるほど、現代では身近な存在となっているマインドフルネス。次はどのように欧米でブームとなり、日本にも広がっていったかをご紹介します。

メンタルヘルスに着目した欧米での広がり

1950年代にはアメリカの文化人たちの間で禅がブームとなりました。冷戦などの社会的混乱の中で既存の価値観に対する不信感が高まり、禅やその他の東洋文化を通じて開放感を求める動きが広がったためです。

さらに、米国仏教協会も設立され禅がアメリカに浸透していきました。Appleの共同創設者であるスティーブ・ジョブズ氏をはじめとする先進的な経営者にも広がっていきます。

特にジョン・カバットジン博士によってマインドフルネスが医療の現場に導入されてからは、その効果が科学的に実証されるようになりました。1980年には皆無だったマインドフルネスに関する論文は 、2012年には477本まで増加しました。さらに脳科学の発展とともに、マインドフルネスがメンタルヘルスや生産性の向上にも効果があると判明。2007年からGoogleがマインドフルネスを企業研修として導入し、注目を集めました。他の企業もそれに続き、エグゼクティブやスポーツ選手などに広く受け入れられるようになりました。


マインドフルネスの企業導入事例はこちらの記事でも紹介しています。

マインドフルネスが日本に入ってきた背景

それでは、日本にマインドフルネスの考え方が入ってきたのはいつ頃でしょうか?

マインドフルネスの考え方自体は、起源が仏教にあるため仏教が日本に伝来した1500年以上前から存在していました。しかし、宗教色を排したツールとしてのマインドフルネスが日本に紹介されたのは1990年代のことです。

1993年にはジョン・カバットジン博士を日本に招き、瞑想法のシンポジウムが開催されました。この時点はまだ日本では注目されておらず参加者も少なかったとされています。

その後、日本社会に浸透しはじめたのは2010年代です。2010年に読売新聞でマインドフル瞑想の方法が紹介され、2013年には日本マインドフルネス学会が設立されました。それ以降数多くの本、アプリやスタジオでのクラスなどを通じて一般の実践者が増えました。たとえばMELONでも、これまでに30万人以上の方がマインドフルネスを実践しています。

まとめ|マインドフルネスの起源は古代仏教の「サティ(Sati)」にある

野原で瞑想をする男性の後ろ姿

今回は、「マインドフルネスの起源と歴史」や「仏教との関係性」について紹介しました。

マインドフルネスに通ずる瞑想は、古代仏教の発祥時から存在しており、時代とともにその範囲が広がっていきました。現在では医療やビジネスの分野にも広がり、人々がより心穏やかに、いきいきと生活するための手助けとなっています。ストレス社会と言われる現代でその重要性は益々大きくなっていくでしょう。

マインドフル瞑想が初めての方でもご安心ください。「MELON オンライン」では、マインドフルネスクラスを好きな時間に、好きな場所で受けられます。マインドフルネス瞑想の基本を、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターから学ぶことで、正しい瞑想方法が身につきます。

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