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MBSRとは?認知行動療法も解説!~マインドフルネスの歴史を振り返る~

自然の中で瞑想をする女性の画像の画像

マインドフルネスには、既に多様な実践方法が存在します。それらがどのように発展を遂げてきたのか、ご存知でしょうか。

遡ること40年以上、身体的なストレスや痛みに苦しむ人に向けてアメリカで開発された、MBSR(Mindfulness-based Stress Reduction)という手法が始まりと言われています。

その後、同手法を基にしたMBCT(マインドフルネス認知行動療法)も開発されましたが、近年のマインドフルネスへの関心の高まりに伴い、「マインドフルネス」と「認知行動療法」を勘違いされている方や記事が散見されています

そこで、この記事では、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師のエミ先生にインタビューをし、マインドフルネスの歴史を紐解きながら、MBSR、そしてMBCTやACTといった認知行動療法も、違いを含めて分かりやすく解説します!

マインドフルネスのおさらい

黒板にクエスチョンマークが書いてある画像

最近、巷に溢れているマインドフルネスという言葉。しかし、この言葉は様々な使い方がなされている可能性があるので注意が必要です。

本来、マインドフルネスとは、評価や判断を加えず、いま自分が経験していることに意識を向け続けることを指します。

自分を整えてマインドフルな状態になる練習をするものであるため、(空想上の)他者に頼ったり、願いの実現を目指したりするものとはまったく別のものであることに注意が必要です。

この点で、スピリチュアルな願望実現の手法や、宗教とは一線を画すものであると言えます。

マインドフルネスの歴史

では、現在数多く存在するマインドフルネス関連のプログラムは、どのように発展を遂げてきたのでしょうか。

まず、遡ること約50年、アメリカで分子生物学の学生であったジョン・カバットジンは、仏教や禅、ヨガに出会い、瞑想を実践するようになります。その効果を実感したことから、彼は、1979年、マサチューセッツ大学メディカルセンターにストレス低減クリニックを創設し、同僚とともにMBSRと呼ばれるプログラムを開発しました。

参照:『マインドフルネス』の歴史とは?起源や創始者を解説!仏教との関係性も紹介 

MBSRとは?

MBSRとは、”Mindfulness-based Stress Reduction”の略で、日本語訳は「マインドフルネスストレス低減法」と言います。

MBSRは、8週間かけて瞑想やヨガの実践を行うプログラムで、元々は心臓病や癌などの医学的な問題を抱え、身体的なストレスや痛みに苦しむ人に向けて開発されました。現在では、様々なストレスに対処し上手く付き合っていく方法を学ぶことで、人生をより豊かにしていくことがプログラムの目的とされています。

方法としては、1回のプログラムに対して、20~30人程度のグループで行われます。参加者は、自ら体験し練習するのみならず、参加者間での対話をも通じて学びを深めていきます。

具体的には、以下のような内容が含まれます。

  • 毎週1回、2.5時間程度のクラスに参加する。
  • 第6週と第7週の間に、朝から夕方までのリトリート形式の終日のセッションに参加する。
  • 毎日45分程度、自宅でボディスキャンや座る瞑想、ヨガなどの実践練習を行う。
  • さらに、食事などの日常の動作の中でもマインドフルネスを実践することが勧められる。

ちなみに、MBSRの開発者であるジョン・カバットジン博士は、当時ボストンにあるIMS(インサイト・メディテーション・センター)でリトリートに参加した際に、このプログラムの開発を思いついたと言われています。この瞑想センターでは、主にタイやミャンマーで修行をしてきた指導者たちが多く、そのためMBSRの中には禅だけでなく、テーラワーダ仏教の要素も取り入れられています

新世代の認知行動療法~MBSRの派生形も~

医師がテーブルの前で微笑んでいる画像

現在、マインドフルネスをベースにしているもの・そうでないものを含め、様々な種類の認知行動療法が存在するので、その一部をご紹介します。

MBCT(マインドフルネス認知行動療法)

“Mindfulness-Based Cognitive Therapy”の略であるMBCTは、MBSRを基に認知行動療法を取り入れたもので、うつ病の再発予防のために開発されたプログラムです。認知行動療法とは、認知、すなわち、ものの感じ方・考え方に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一種です。

MBCTのベースはマインドフルネスであるものの、心理療法寄りのものとなっています。そこで、MBSRが身体的・精神的なストレスを低減することに主眼を置いていたのに対し、MBCTは、うつ病や不安症、慢性的疲労といった認知・心理的な症状を主に対象としています。

そのため、MBCTは、8週間にわたり毎週のセッションや終日のセッションを受け、ボディスキャンやヨガ、座る瞑想、歩く瞑想を行います。実践内容はMBSRと似通っているものの、比較的説明が多いなど、より直接的に参加者に対しコミットしていくようなプログラムと言えるでしょう。また、うつ病に関する知識の習得や、思考と感情の関係性に焦点を当てた認知行動療法の手法も組み込まれています。

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)

次は、ACT、すなわち”Acceptance & Commitment Therapy”について解説します。これは、行動理論をベースとした認知行動療法の一種です。

ACTでは、自己のありのままの思考や気持ちを受容(「アクセプタンス」)ことが強調されています。そして、ありのままの感情を受け入れた先に、目標を決めて実行に移すという、「コミットメント」の部分を重視しています。

CTも同様に、マインドフルネスの考え方を取り入れてはいるものの、MBCTよりも更に心理療法の要素が強く、瞑想にはあまり重きを置いていません。

MCT(メタ認知療法)

最後に、MCTと略される”Metacognitive Therapy”についても解説します。

MCTとは、通常の自己の認知をコントロールする「メタ認知」の内容を変えることを目的とする認知行動療法です。特にネガティブな影響を与えるようなメタ認知に直接介入します。メタ認知とは、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知する(客観的に捉える)ことです。

これは、マインドフルネスをベースとはしておらず、完全に認知療法の流れを汲んでいます。

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まとめ

女性の手の上に、水色のハートが置いてある画像

本記事によって、「マインドフルネス」と一口に言っても、使う人や時代、場面によって様々な定義や概念に関係しうることがお分かりいただけたのではないかと思います。

マインドフルネスは、ご紹介した通り元来は仏教の流れの中にあり、ありのままの自分を見つめ受け入れることに主眼が置かれています。

しかし、臨床で使われていくうちに、心理療法が加わっていき、精神の不調に対処するために心を意図的にコントロールする過程が加わっています。それは治療の一環であり、一つの方法ですが、冒頭でお話しした「評価や判断を加えず、いま自分が経験していることに意識を向け続けること」という本来のマインドフルネスとは区別したうえで心に留めておいてくださいね。

様々な用途に合わせ、マインドフルネスの種類やプログラムの種類、治療法が存在します。どれが優れていてどれが劣っているというものではなく、それぞれが目的を持っていますので、自分に合ったものを見つけることが重要です。この記事をきっかけに、気になった方法がもしあれば、ぜひ調べてみてくださいね。

また、プログラムの選択以上に、きちんとトレーニングを受けた信頼できる人から学ぶことも大切です。もちろんMELONのプログラムは、この意味で安心してご受講いただけます。皆さんが、ご自分に合った方法に出会えることを願っています!

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