怒りを抑える方法とは?イライラしたらすぐに実践できる方法4選
「ついカッとなって怒りが抑えられない……」、「前よりもイライラしやすくなった」など、イライラや怒りの感情に悩まされている人も多いのではないでしょうか。怒りが抑えられず、怒りに任せた行動をしていれば後で後悔してしまう原因となります。
そこでこの記事では、MELONインストラクターのNaoさんへのインタビューを元に、すぐに実践できる「怒りを抑える方法」を紹介していきます。
また、「イライラしやすくなった原因」や「怒りを感じやすい人の特徴」も踏まえて解説するので、ぜひ参考にしてください。
イライラしやすくなった原因とは?
前よりも「イライラや怒りを感じやすくなった」と感じていませんか?
イライラや怒りを感じてしまうのは、さまざまな原因があるのです。
ここでは、考えられる原因を3つ紹介します。
不安やストレスが溜まっている
イライラしやすくなった原因として「不安やストレスが溜まっている」ことが考えられます。
不安やストレスといっても人それぞれ原因が異なりますが、例えば、人間関係の悩み、介護、子育て、睡眠不足、疲労など……。
これらのストレッサーにより心身が反応することでストレスが蓄積されていきます。
不安やストレスが蓄積されるとイライラしやすくなったり、怒りを感じやすくなったりと、さまざまな影響を及ぼします。
(不安やストレスを和らげる方法はこちら)
精神的な不調
考えられる原因の2つめは、「精神的な不調」です。
精神的な不調を抱えている人の中には、怒りやさまざまな感情のコントロールが難しくなることがあります。
精神的な不調といってもさまざまですが、例えば「不安障害」や「うつ病」「双極性障害」など。
疾患により、「扁桃体」などの『脳内の感情をコントロールする領域』に影響が出ることで、感情のコントロールが難しくなると言われています。
参考文献・論文:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 「感情の中枢である扁桃体におけるドーパミンの役割を解明」(2018).
生理前(女性がイライラしやすい原因の1つ)
女性の中で、生理前になるとイライラしやすくなる症状が出ることがあります。
月経周期の中で、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が変動し、黄体期(排卵から月経までの期間)にはプロゲステロンの分泌量が増えます。
ホルモンの働きは正常ですが、「感情に関わる神経伝達物質」の働きにプロゲステロンが影響しているのではないかとの見方もあり、「イライラしやすくなる」「感情の不安定さが目立つ」などの症状が出るのではないかと言われているのです。
この期間に起きる心身の症状を「PMS(月経前症候群)」といいます。身体にも、浮腫み、疲れやすさ、便秘、体重増加など、様々な症状が現れやすくなる時期なので、無理せず自分を労りながら乗り越えられるといいですね。
辛いときは、無理せず医療機関で相談する方法もおすすめです。
参考文献・論文:高岡 素子・京藤 智子(2021). 月経前症候群と性周期における性ホルモンとの関係. 女性学評論, 35, (21-37).
「イライラしやすい人」「怒りやすい人」の特徴
ここでは、「イライラしやすい人」や「怒りやすい人」の特徴を解説します。
それぞれ確認していきましょう。
自己肯定感が低い
イライラしやすい、怒りやすい人の特徴の1つめは「自己肯定感が低い」ことです。
自己肯定感が低い人の中には、「周りに怒りを示すことで自分の価値を守ろうとする人」もいます。
例えば、いつも理不尽なことで怒っている上司や先輩などを想像してみてください。
このような方々は、自分の自己肯定感を保つために「ちょっとしたことでも厳しく怒って相手を抑圧しよう」とする心の働きが現れやすいのです。
怒りの感情に飲み込まれやすい
イライラしやすい、怒りやすい人の特徴の2つ目は「怒りの感情に飲み込まれやすい」ことです。
怒りの感情の奥には、「悲しい・辛い・悔しい・不安・苦しい」などの一次感情が存在し、その感情に気づけないと怒りの感情に飲み込まれやすくなります。
例えば、友達にメッセージを送ったのに返事が返ってこなくて、「嫌われちゃったんだ」という『悲しい感情』が出てくるとします。
しかし、その悲しい感情に気づけないと、「なんで返ってこないの?」と怒りの感情に飲み込まれてしまうのです。
「こうあるべき」という思考が強い
イライラしやすい、怒りやすい人の特徴の3つ目は「こうあるべきという思考が強い」ことです。
「こうあるべき」という思考が強い人は、何事も0か100でしか考えられず「これはこうあるべきだ」「こうするのは当たり前だ」と決めつけてしまう傾向があります。
自分とは違う意見や考え方を認めることができないのです。
その結果、相手との間に衝突が生まれて、イライラや怒りを感じてしまいます。
今すぐ実践できる!『怒りを抑える方法』4選
ここまでは「イライラしやすくなった原因」と「イライラしやすい、怒りやすい人の特徴」を解説しました。
では、怒りの感情を感じたときはどのように対処すればいいのでしょうか?
ここでは、今すぐ実践できる『怒りを抑える方法』を4つ紹介します。
イライラや怒りを感じたときは、ぜひ以下4つの方法を試してみてくださいね。
ゆっくり呼吸を行う
イライラや怒りを抑える方法の1つめが、「ゆっくり呼吸を行う」ことです。
イライラや怒りを感じているときは、基本的に交感神経が優位になっています。そのため、ゆっくり呼吸を行って、副交感神経を優位にしてあげることが大切なんです。
呼吸をする際は、できるだけ吐く息を長くしてみましょう。鼻から細く長い息を吐き出して、息を吐ききったらまた呼吸を繰り返します。
ゆっくり呼吸をするだけでも、イライラや怒りは少しずつ鎮まっていきますよ。
以下の記事では、「呼吸法」についてさらに詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
イライラや怒りを感じたら「6秒間」やり過ごす
イライラや怒りを抑える方法の2つめが、「イライラや怒りを感じたら6秒間やり過ごす」ことです。
怒りの感情のピークは、だいたい「6秒間」と言われています。
6秒間過ぎれば、徐々に怒りの感情は鎮まっていくのです。
そのため、イライラや怒りを感じたときは、まずは心の中で6秒数えてみましょう。
6秒間経って、怒りのピークが過ぎれば冷静な判断がしやすくなります。
「落ち着ける言葉」を心の中で唱える
イライラや怒りを抑える方法の3つめが、「自分が落ち着ける言葉を心の中で唱える」ことです。
自分の怒りが和らぐような言葉を考えてみてください。
例えば、「大丈夫」「自分は穏やか」「明日には忘れる」など、自分が落ち着けそうな言葉であれば何でも構いません。
イライラや怒りを感じたときに、これらの言葉を心の中で唱えてみましょう。
これを習慣にするだけでも、ふっと怒りを和らげることができますよ。
「落ち着ける行動」をとる
イライラや怒りを抑える方法の4つめが、「自分が落ち着ける行動をとる」ことです。
普段の生活で、「これをしていると気分が落ち着くなあ」ということを考えてみてください。
例えば、以下の通りです。
- コーヒーやハーブティーを飲む
- 筋トレをする
- SNSで猫の動画をみる
- 読書をする
- アロマの香りを嗅ぐ
このように、「自分が落ち着く行動」を把握しておきましょう。
そして、イライラや怒りを感じたときには、実際に行動をとってみてください。
【注意】怒りを感じたときに『やってはいけない感情の抑え方』とは
前項では、イライラや怒りを抑える方法を解説しましたが、中にはあまりおすすめできない感情の抑え方もあります。
以下の2つの方法は、逆効果になってしまうリスクもあるので注意してください。
感情を抑圧する
やってはいけない感情の抑え方の1つめは、「感情を抑圧する」ことです。
感情は自然に沸いてくるものです。それを抑圧しようとしたり、なかったことにしようとしたりしても、感情は消えることなくどんどん沸いてきます。
それを続けていると、抑圧した感情が溜まってしまい、あるとき急に「大きな怒り」になって人を傷つけてしまうリスクがあるのです。
後で、「あんなこと言わなければよかった」という後悔にもつながる可能性もあるので、感情を抑圧したり我慢したりするのはおすすめしません。
アクティングアウト
やってはいけない感情の抑え方の2つめは、「アクティングアウト」です。
アクティングアウトとは、怒りの感情に任せて行動してしまうことです。
例えば、暴飲暴食、衝動買いなど……。
これらは、一時的に気を紛らわせられるかもしれませんが、後々さらに怒りを強めてしまう場合があります。そうなると、悪循環に陥ってしまうので注意が必要です。
どうしても気を紛らわしたいときは、「今から〇〇をする!」と客観的に意識した上で、時間を決めて行動するのがおすすめです。
怒りを抑える方法としてマインドフルネスも効果的
怒りを抑える方法として、マインドフルネスも効果的です。
マインドフルネスとは「いま、この瞬間」に起こっている現象を、ありのままジャッジせず観察することです。
ここでは、そんなマインドフルネスと「怒りの感情」の関係について解説していきます。
「マインドフルネスについてもっと詳しく知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
「怒りの感情」は一概に悪いものではない
一般的に、怒りの感情は「嫌なもの」「感じたらいけないもの」などと思われがちです。
しかし、怒りは必ずしも悪いものではありません。
自分を守ったり、成長するきっかけになったりもするので、必要な感情とも言えます。
例えば、理不尽なことを言われたときに、言い返して自分を守ったり、「悔しいから頑張る!」と自分が成長するための起爆剤になったりもするので、一概に悪いものとは言えません。
このような認識を頭のどこかに置いておきながら、イライラや怒りを感じたら「怒りを感じている自分に気づいて認める」ということが重要です。
そのためにも『マインドフルネス』を深めることは大切なんです。
マインドフルネスで「怒りの感情」を客観的に観察する
普段から、怒りの感情に飲み込まれないようにするには、マインドフルネスで「怒りの感情」をありのまま客観的に見る練習をしておくのがおすすめです。
怒りが発生したときに、「なぜ怒りが起こったのか」「怒りの奥にどういう感情があるのか」を観察してみてください。
観察することで、さまざまな一次感情に気づけるかもしれません。
例えば、以下の通り。
- 理不尽な扱いを受けた → 大切にされなかったという悲しい感情(一次感情) → 怒りの感情
- 恋人が待ち合わせに連絡なしで30分遅れてきた → 途中で事故に巻き込まれたのではないかという心配の感情(一次感情) → 怒りの感情
- 部下や後輩が同じ失敗を繰り返した → 何回も注意したことを覚えてもらえない虚しい感情(一次感情) → 怒りの感情
このように、怒りの感情の前には必ず一次感情が存在するのです。
一次感情に気づくことができれば、「こう思ったから、怒りを感じたんだな」と自分の感情を冷静に見れるようになります。
そうなれば、イライラや怒りが抑圧されて爆発することも防げるでしょう。
以下の記事では、マインドフルネスの効果を脳科学の観点から詳しく解説しています。
マインドフルネスの基本的なやり方についても、動画付きでわかりやすく解説しているので、ぜひ実践してみてください。
イライラや怒りを感じたときに『すぐにできるマインドフルネス瞑想』を紹介
前項では、イライラや怒りを抑える方法として「マインドフルネスが効果的」ということを紹介しました。
しかし、マインドフルネスは最初のうちは効果が実感しづらく、「やってみたけどよくわからない」という人も多いです。
そこでここでは、初心者でも効果が実感しやすいマインドフルネス瞑想法を2つ紹介します。どちらもイライラや怒りを感じたときにすぐに実践できるので、ぜひ試してみてくださいね。
歩行瞑想
歩行瞑想とは、足踏みを行い、足の裏の感覚に意識を向けるマインドフルネス瞑想です。
その場で足踏みを繰り返して、足の裏にどんな感覚があるのかを観察します。
やっている途中にも、イライラの怒りが沸いてくるかもしれませんが、それでも大丈夫です。「イライラしているな、怒りの感情があるな」ということに気づいて、再度足の裏に意識を戻してください。
これを何度か繰り返すだけでも、怒りの感情は少しずつ鎮まっていきます。
歩行瞑想のさらに詳しいやり方や効果については、以下の記事をご覧ください!
食べる瞑想
食べる瞑想とは、何かを食べながら行うマインドフルネス瞑想です。
食べ物の「食感」や「味」「香り」などに、丁寧に意識を向けながら食事を行います。
食べ物はなんでも大丈夫ですが、イライラや怒りを感じているときは、飴を舐めるのがおすすめです。
飴を舐めているときの味や舌触りに、丁寧に意識を向けてみましょう。
以下の記事では、食べる瞑想についてさらに詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
怒りを抑える方法|まとめ
また、イライラや怒りを抑えるにはマインドフルネスもおすすめです。マインドフルネスを続けると心や体の変化に気付きやすくなり、怒りの奥にある一次感情にも気付けるようになります。
一次感情に気づけるだけでも、「イライラや怒りが抑圧されて爆発する」ことを防げるのです。そうなれば、日常生活も穏やかに過ごしていけるでしょう。
「マインドフルネスを試してみたいけれど1人では不安」「やり方が合っているのか分からない」という方は、是非「MELON オンライン」のマインドフルネスクラスに参加してみませんか?一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧に分かりやすくレッスンを行うので安心です。