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セルフアウェアネスとは?自己認識を高めるマインドフルネス実践法

セルフアウェアネス

心の健康や自己成長において、近年、セルフアウェアネスとマインドフルネスが果たす役割が注目されています。

この記事では、MELONインストラクターの金田絵美さんへのインタビューをもとに、公認心理師・臨床心理士の南舞さんがセルフアウェアネスとは何かを詳しく解説します。

また、マインドフルネスとの関わりや、セルフアウェアネスを高めることで得られる効果、私たちの日常生活に活かすための具体的な方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

セルフアウェアネス(自己認識)とは?

セルフアウェアネスは、日本語で自己認識・自己理解と訳され、感情や思考、行動パターンなど自分の中で起きていることに気づき、それを意識できている状態のことです。

セルフアウェアネスは、「外面的自己認識」と「内面的自己認識」の2つから成り立っています。

外面的自己認識とは、他者が自分をどのように見ているかを理解している状態のことを指します。一方、内面的自己認識とは、自分自身の強みや弱み、価値観などを正確に理解している状態のことです。この両方の認識が高く、バランスが取れていることは、セルフアウェアネスが高い状態にあるといえるでしょう。

外面的自己認識自分の振る舞いが他者に与える印象や影響を察知し、それに応じて行動を調整できる【例】プレゼンテーションで相手の反応を観察して、即座に調整できる
内面的自己認識自分の感情や欲求、価値観、強み・弱みを客観的に理解し、それに基づいて選択や行動ができる【例】自分が緊張しやすい性格であると自覚しているため、事前準備やプレゼン前のリラックス法を怠らない

セルフアウェアネス(自己認識)を高めるメリット5選

MERITのブロック画像

では、セルフアウェアネスが高まることによって、具体的に私たちの日常生活にどのような影響があるのでしょうか。ここではセルフアウェアネスを高めるメリットを5つ解説します。

(1)自分への理解が深まる

私たちは生きていく中で、就職、転職、結婚、出産、子育て、介護などのさまざまなライフイベントを経験します。これらのライフイベントによって自分に与えられる役割が変化したり、はたまたいくつかの役割が重なったりすることがあります。

すると、「私って一体なんだろう?」「私って何がしたかったんだっけ?」など、疑問や葛藤が湧き上がるかもしれません。そんな迷いが生じたとしても、セルフアウェアネスを高めることで、自分の本当の気持ちや望みに気づいて行動したり、自分に合った方法を選択することができるようになります。

(2)感情のコントロールが上手くなる

セルフアウェアネスは、自分の感情を理解し、調整することにも役立ちます。

自分の中にどんな感情が湧き上がりやすいのか、それはどんな時に起こるのかに気づくことができると、感情を抑える、あるいは爆発させるという方法ではなく、必要な場面で適切に感情表現をすることができるようになります。

(3)ストレスの軽減

セルフアウェアネスの向上によって自分に対する取り扱いが上手になると、ストレスになりそうな場面を回避することができるようになります。

また、自分がストレスを感じていることに気づき、早期にケアを施すことで、ストレスが重症化するのを防ぐことができます。結果として、ストレスの軽減に役立ちます。

(4)人間関係がスムーズになる

セルフアウェアネスは、自己理解を深めるだけでなく、人間関係にも良い影響を与えてくれます。

自分は他者との関わりの中でどういうことを感じ、どう行動しやすいのかを理解すると、程よい距離感で接したり、個々に合わせたコミュニケーションをとることで関係がスムーズになります。すると、人間関係にまつわるストレスの軽減や、それにともなって起きるネガティブな感情を減らす効果も期待できます。

(5)自己成長につながる

自分を理解するということには、自分の価値観や信念を知ることも含まれます。自分の中の価値観や信念を知り、それに沿って行動することで、目標を達成する、自己実現を叶えることへとつながっていきます

セルフアウェアネス(自己認識)が低い人の特徴

落ち込む女性

「日常的にさまざまな悩みがあるけれど、その理由がわからない……」と悩んでいたら、セルフアウェアネスが低いことに原因があるのかもしれません。

ここでは、セルフアウェアネスが低い人の特徴を紹介します。心当たりがないかチェックしてみましょう。

いつも人間関係に悩む

セルフアウェアネスが低いと、自分の感情や思考への理解が乏しかったり、自分が本当に必要としていることがわからないために人間関係の摩擦や問題をくり返しやすくなります。例えば、他人に過剰に期待してしまう、逆に自分の意見を抑え込み過ぎてしまうなどです。

人間関係のトラブルが続くと、「なぜ自分ばかりいつもこんな想いをしないといけないのだろう……」という経験が続き、自尊心の低下にもつながりかねません。


自尊心とは、自己に対する肯定的または否定的な態度や自己価値の感情(feelings of self-worth)のこと。詳細はこちらの記事をぜひご覧ください。

自分の気持ちがわからない

自分の気持ちについて聞かれても「わからない」と答える人がいます。あるいは、なんとなくモヤモヤするけれど、何が原因なのかわからない、好きなことや趣味を聞かれても、「特にない」と答えがちなど、これもセルフアウェアネスが低い人の特徴といえるでしょう。

自分の感情や欲求に意識を向ける習慣がなかったり、他人の意見に振り回されて自分の価値観を無視していたりすると、自分が何を求めているのかわからずに、日常生活や人間関係の中で迷いや混乱が起きやすくなります

人からどう思われるかを気にしすぎる

他者から「嫌われたくない」「変に思われたくない」と考え、他者の期待に応えることを優先してしまいがちな人も、セルフアウェアネスが低い人といえるかもしれません。

自分の価値=他者の評価と捉え、そこに依存する傾向が強まると、本来の自分を見失ったり、他者の言動に一喜一憂するなど、心身ともに疲弊してしまいます。 

セルフアウェアネス(自己認識)を高める方法

セルフアウェアネスを高めるためには、さまざまな方法があります。ここでは、生活に取り入れやすい3つの方法を紹介します。ぜひご自分に合うツールを見つけてみてください。

(1)書き出して視覚化する

Selfawareness

ふり返りのためのツールとしておすすめなのが、書き出すことです。ここでは、ジャーナリングと3コラム法についてご紹介します。

ジャーナリング】
ジャーナリングとは、自分の頭や心の中に浮かんだことをありのままに書き出すことです。日々の出来事やそれに対して起こる感情、考えを紙やスマホなどに自由に書き出すことで、自分の思考パターンや感情の傾向が見えてきます。


ジャーナリングのより詳しい方法はこちらの記事をご覧ください。

3コラム法
3コラム法とは、自分の中に起きていることを出来事、感情、思考に分けて記録する方法です。認知行動療法という心理療法の中でも用いられます。

例えば、それぞれ書き出していくことで、自分の思考の中にある思い込みや非合理的な考え方、自分の思考が感情や行動にどのように影響しているかを視覚化でき、客観的に観察できるようになります。また、パターン化された反応や行動を変えたい時にも役立ちます。

ぜひ自分に合いそうな方で続けてみてください。これはどちらの方法にも共通することですが、書き出した後に、「なぜそのように感じたのか」「その時に何を考えていたのか」など、深掘りする質問を取り入れるとより自己理解が深まるのでおすすめです。

参考:うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料)|厚生労働省

(2)コーチングやカウンセリング

カウンセリング

「1人でふり返るのは難しい、自信がない……」という方は、専門家と一緒に行うことがおすすめです。

心理カウンセリングやコーチングは、自己理解をサポートしてくれる有効な手段といわれており、カウンセラーやコーチなど専門家との対話を通して、自分の価値観や信念について深掘りすることができます。

(3)マインドフルネス瞑想

海辺でマインドフルネス

マインドフルネスは、今この瞬間の感覚や思考、感情に気づきを向けることです。そうした習慣は、自己理解を深めるのに役立ちます。

マインドフルネスを通じて自己認識を高めることが、心理的および職場での成果にどのように影響するかを調べた研究では、マインドフルネスを活用した介入やトレーニングは、自己認識のポジティブな側面(洞察や積極性)を強化し、ネガティブな側面(反芻や不安)のリスクを管理する方法としての活用が期待できるとしています。

マインドフルネス瞑想を行うことで、身体と心の状態を感じる力を養い、感情を観察し、調整する力を育むことができるでしょう。

参考:Anna Sutton(2016).Measuring the Effects of Self-Awareness: Construction of the Self-Awareness Outcomes Questionnaire.Europe’s Journal of Psychology,12,(4).


マインドフルネスについて、より詳しい解説はこちらをご覧ください。

セルフアウェアネス(自己認識)を高めるマインドフルネスの実践とは?

自然の中で瞑想をしている女性の手

マインドフルネスによって日々の気づきが増すことで、自分の内側に起こっていることを理解する習慣が身につきます。これはセルフアウェアネスの基盤であり、より深い自己理解を促してくれます。

また、両者を組み合わせることで、ストレスやネガティブな感情に対する反応がコントロールしやすくなり、冷静な判断や行動が可能になります。

ここでは、セルフアウェアネスを高めるのに有効といわれている、マインドフルネスの具体的なやり方と、それぞれどのように有効なのかについて説明します。

マインドフルネス瞑想

マインドフルネス瞑想では、主に呼吸に意識をむけることで「今ここ、この瞬間」に意識を集中させていきます。その時に浮かんでくる思考や感情に対して評価をすることなく、ただただ観察することを練習をします。

「今ここ、この瞬間」に集中することで、自分が何を感じているのか、考えているのかに気づきやすくなったり、思考や感情に巻き込まれず、客観的に観察して行動する力を養うことができます。


マインドフルネス瞑想の詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。動画と詳しいポイントを紹介しています。

ラベリング瞑想

ラベリング瞑想とは、自分の思考や感情、内側に起きている感覚に名前をつける瞑想法です。内側から湧き上がってくる体験をひとつひとつ観察し、その体験に対して、例えば、不安、怒り、悲しみなど名前をつける作業をします。

感情や思考など、内側で起きていることに名前をつける作業は、私たちに冷静さや客観的な視野を与えてくれます。思考や感情任せに行動して後悔するのではなく、冷静になって考え、その時に必要な行動をとることができます。

ボディスキャン瞑想

ボディスキャン瞑想は、体の各部位に丁寧に意識を向けていく瞑想法です。体の各部位に起きている感覚(体の温度、血液が流れている様子などの体の内側の感覚、皮膚の表面の感覚など)を繊細に感じ取りながら、心身をゆるめていきます。

体の感覚を観察することを通して体と心のつながりを密にしていくと、感情やストレスの蓄積のサインに早めに気づき、セルフケアの意識を高めることができます。


ボディスキャン瞑想の詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。動画と詳しいポイントを紹介しています。

MELONオンラインでセルフアウェアネス(自己認識)を高めよう

MELONオンライン

MELONオンラインでは、セルフアウェアネスを高めるのに役立つマインドフルネスのクラスが複数あります。その中で特におすすめのクラス3選をご紹介します。

(1)Basic

基本的なマインドフルネス瞑想を学ぶクラスです。セルフアウェアネスの基盤作りをサポートしてくれます。初めてマインドフルネスを行う方にもおすすめです。

(2)Recognition

思考や感情と一体化しすぎず、自分を客観的に観察する習慣を身につけるのに役立つクラスです。先にご紹介したジャーナリングを行うこともあります。感情に振り回されてストレスフルになってしまう方におすすめです。

(3)Body Scan

ボディスキャンもMELON オンラインで体験できます。仰向けになって、体の隅々をありのまま観察する瞑想法で、見落としがちな体のサインに気づけるようになります。寝る前の心身をゆるめるのに役立ててみてください。


マインドフルネスは日常生活の中でコツコツ実践することにより、さらに効果を感じることができます。

瞑想を習慣化したいけれどなかなか続かない方や、マインドフルネスに興味のある方は、「MELONオンライン」をぜひお試しください。今なら2週間無料でお試しいただけます。

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まとめ|マインドフルネスでセルフアウェアネスの基盤を強化する

今回は、セルフアウェアネスが私たちに与えるメリットやその理由などについて紹介しました。セルフアウェアネスを高めるための方法のひとつにマインドフルネスは、セルフアウェアネスの基盤を作ってくれたり、自己理解をより深めたりするのに役立ちます。

もっと自分のことをよく知り、日常に生かしていきたいという方はぜひマインドフルネスの学びを始めてみませんか?

参考文献:ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(2019).『セルフ・アウェアネス』.ダイヤモンド社.