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【瞑想の種類による効果の違い】どの瞑想方法が自分に合っている?

自分に合った瞑想方法を実践する女性や男性

「髙橋徹先生」によるマインドフルネスに関する研究や論文の連載コラムです。第三回のテーマは「瞑想の種類による効果の違い」です。

どのような瞑想方法が自分に合っているのか迷っている方も多いと思いますので、瞑想の種類による効果の違いは気になるところかと思います。お楽しみ下さい!

髙橋 徹
MELONアドバイザー
早稲田大学人間科学学術院助教
公認心理師・臨床心理士

東京大学教育学部卒業後、早稲田大学大学院でマインドフルネス研究の第一人者である熊野宏昭教授の指導のもと、マインドフルネスのメカニズム研究に従事。日本学術振興会特別研究員を経て、早稲田大学人間科学学術院助教として、マインドフルネスの研究・教育に携わっている。専門は心理学・脳科学。Biopsychosocial medicine、 Psychological reports、 Journal of cognitive psychotherapyなど国際的な学術誌で、マインドフルネスの効果やメカニズムに関する研究成果を多数発表。日本マインドフルネス学会優秀ポスター発表賞(2018年)、日本健康心理学会アーリーキャリアヘルスサイコロジスト賞(2019年)、早稲田大学小野梓記念賞(2021年)受賞。

自分にはどの瞑想方法が合っているのか?

ハテナマーク・問いかけ

マインドフルネス瞑想といっても、座って行うものやヨーガなど色々な種類があり、どれを行えばよいか迷う方も多いと思います。

基本的には色々試してみて、やりやすいもの・続けやすいものでいいと思いますが、決められない方は今回ご紹介する研究が役立つかもしれません。

アメリカのボストン大学とケンタッキー大学の研究者が、静坐瞑想、マインドフルネスヨーガ、ボディスキャンといった3つの瞑想の効果の違いを調べた研究です。まずは、それぞれの瞑想方法について簡単にご紹介します。

>> 参考論文・エビデンス : Sauer-Zavala, S. E., Walsh, E. C., Eisenlohr-Moul, T. A., & Lykins, E. L. (2013). Comparing mindfulness-based intervention strategies: Differential effects of sitting meditation, body scan, and mindful yoga. Mindfulness, 4(4), 383-388
タイトル訳「マインドフルネスに基づく介入戦略の比較:静坐瞑想、ボディスキャン、マインドフルネスヨーガの効果の違い」

静坐瞑想とは?

姿勢を正して坐りながら、呼吸の感覚に気づくベーシックな瞑想から始まって、注意を広げて音や思考、感情などにも気づいていく瞑想法です。

マインドフルネスヨーガとは?

身体の感覚や状態に気づきながら、身体をのばしたりポーズをとる瞑想的なヨーガです。

ボディスキャン瞑想とは?

身体の一部に注意を向けて観察し、その注意をうつしていって、身体全体をすみずみまで観察する瞑想法です。

3つの瞑想方法の効果の違いに関する研究概要

この3つの瞑想のクラスのどれかに参加するように、アメリカの大学生141人が3つの群に振り分けられました。それぞれの群の参加者は、1週間に1回1時間のクラスに参加し、どれかひとつの瞑想法を教わって、自宅でも実践することを3週間行いました。

例えば、ボディスキャン群に割り振られた人は、ボディスキャンだけを3週間訓練するというような建て付けです。

瞑想の種類によって効果の違いが確認

瞑想で効果を確認している人

3週間の実践の前後でアンケートを取って分析した結果、瞑想の種類によって効果が違う部分が見られました。比較的大きな効果が確認された重要なものに絞って、次のようにまとめてみました。

  • 静坐瞑想 ⇒ 思考や感情を評価判断しないスキルの向上
  • マインドフルネスヨーガ ⇒ セルフコンパッション,心理的ウェルビーイングの向上
  • ボディスキャン ⇒ 反すうの減少

静坐瞑想によって評価判断の傾向が減少

評価判断して自分を責める人

まず、静坐瞑想を実践した群では、「こんなことを考えちゃダメだ」「こんな風に感じてはいけない」など、自分の思考や感情を評価判断してしまう傾向が減りました

これは、静坐瞑想では身体感覚だけでなく、思考や感情に気づいて手放すことを繰り返し訓練していたためであり、自分を批判したり責めてしまいやすい人に向いているかもしれません。

マインドフルネスヨーガによってセルフコンパッションとウェルビーイングの向上

セルフコンパッション

次にマインドフルネスヨーガは、セルフコンパッションと心理的ウェルビーイングへの効果が見られました。

セルフコンパッションは、自分の苦しみに思いやりをむけ、それを和らげようとすることを意味しています。ヨーガに取り組んで自分の身体と向き合う中で、筋肉の緊張など身体に蓄積されてきたダメージに気づき、それをゆるめてあげようとすることがセルフコンパッションの訓練になったのかもしれません。

心理的ウェルビーイングとは、自分を受容できている状態や、他者との関係が良い状態、人生をうまくやれている感覚など、心理的に良い状態を総合的に表す言葉です。

自分の身体との付き合い方を学ぶマインドフルネスヨーガを行っていくと、自分の苦しみを認めて受け入れられるようになり、人生を主体的に生きられるようになると言えます。

ボディスキャン瞑想によって反すう思考の減少

過去の失敗や自分のネガティブな部分を反すう思考している人

最後にボディスキャンは、過去の失敗や自分のネガティブな部分をぐるぐる考えてしまう、反すうというものを減少させることが示されました。

動かずに身体の色々な部位に注意を向けていると、様々な記憶や思いにとらわれることがありますが、それに気づいて手放す訓練をすることで、少しずつ反すう自体が減るのだと思います。過去のことを思い出して後悔しやすい人に向いているかもしれません。

自分にとって効果的な瞑想法を取り入れよう

自分に合った瞑想方法を実践する女性

注意点として、この研究は全体的に訓練の時間が少ないことが挙げられます。研究参加者は、最低限3回のクラスに参加すればよく、クラス以外の時間も毎日実践することが求められていましたが、どれだけやっていたかの記録はとっていなかったそうです。

静坐瞑想もボディスキャンも継続すれば、心理的ウェルビーイングが向上しそうなのに、と思うのですが、そういった訓練時間の短さが今回の結果に繋がっているのかもしれません(この論文の著者たちも、論文内でこれを認めています)

ひとつの研究結果として参考にしつつも、自分の実感や気付きを信じて、自分にとって最も良い実践プログラムを探索していきましょう

静坐瞑想、マインドフルネスヨーガ、ボディスキャン瞑想以外にもいろいろな種類のマインドフルネス瞑想がありますので、合わせてご覧下さい。