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憂鬱な気分から抜け出せないときに試したい5つの対処法

憂鬱な気分から抜け出せない

「気分が落ち込む日が続く」「理由もなく憂鬱な気分に襲われる」「ネガティブなことばかり考えてしまう」。このように、憂鬱な気分から抜け出せず、お悩みではありませんか?

今回は、MELONインストラクターで公認心理師、精神保健福祉士の資格を持つNaoさんへのインタビューをもとに、憂鬱な気分になる原因や憂鬱な気分から抜け出せないときの対処法をご紹介します。

憂鬱な気分から抜け出せないのはなぜ?

ピンクの背景に青いクエスチョンマーク

一度憂鬱な気分になってしまうと、その気分からなかなか抜け出せないことがあります。その原因を見ていきましょう。

反すう思考に陥っている

憂鬱な気分から抜け出せない原因のひとつは「反すう思考に陥っている」こと。反すう思考とは、過去のネガティブな経験や気持ちを何度も思い返すことです。

例えば、「あのときの自分の言葉で相手を傷つけてしまっていないかな……」「あの人に嫌われていないかな……」など、ネガティブなことを繰り返し考え続け、それを止めたくても止められない状態です。

ネガティブな反すう思考は、憂鬱な気分の持続や脳疲労につながることもあります。


反すう思考についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

休息がとれていない・生活が不規則

休息が十分にとれず、心身に疲れが溜まりエネルギーが低下している場合も憂鬱な気分が続きやすくなります。

疲労により気分転換が難しくなったり、不眠や緊張によって気持ちが不安定になったりすることもあります。特に、毎日の睡眠時間が不規則でバラバラな生活を送っていると、自律神経が乱れる原因となり、身体だけでなく精神面にも影響がおよび、憂鬱な気分が継続しやすくなります。

憂鬱な気分になる原因とは?

女性が椅子に座って考え事をしている

憂鬱になる原因には、さまざまなものがあります。ここでは3つの具体例を紹介していきます。

未来への不安

憂鬱になる原因のひとつに「未来への不安」があります。

例えば、「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」など未来への出来事に対して不安を抱くことです。このような不安は、考えれば考えるほど「うまくいかなかったらどうしよう」という不安感を増大させ、憂鬱な気分が続いてしまいます。

ネガティブな思い込み

「ネガティブな思い込み」も憂鬱になる原因のひとつです。

例えば、恋人からなかなか連絡が来ない場合、連絡がない理由を「自分が嫌われてしまったからだ」とネガティブに思い込んでしまうと憂鬱な気分につながります。背景には、気持ちが沈むと視野が狭くなり、ネガティブな思い込みが事実のように感じられるということがあります。

季節や年度の変わり目

季節の変わり目は、温度や湿度の変化といった外的要因に自律神経が適応しようとするためエネルギーをいつも以上に使い、それが疲れやだるさとして出やすい時期です。

また季節に限らず、新学期や新年度といった年度の変わり目も、新しい環境に慣れるためエネルギー不足になりがちで、憂鬱さを感じることがあります。これは、新入生や新入社員といった当事者だけでなく、新しい人を迎える側にも同様に表れる可能性があります。

なかでも5月は、大きな環境の変化に対処しながらようやく慣れてきたタイミングで連休が訪れます。強い緊張から解放される一方で、休暇が終わって再びエネルギーを使う変化に耐えられず、「5月病」の症状が出やすくなります。

もしかしてうつ病?憂鬱な気分のときに出やすい症状

薬の画像

憂鬱な気分が2週間以上続き、さらに身体の不調も感じている場合には、単なる「憂鬱な気分」ではなくうつ病の可能性があります。

具体的には以下の9つの項目のうち、1か2を含む5つ以上が2週間以上続いた場合は、精神科や心療内科の受診をおすすめします。

  1. 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  2. これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
  3. 食欲が減る、あるいは増す
  4. 眠れない、あるいは寝すぎる
  5. イライラする、怒りっぽくなる
  6. 疲れやすく、何もやる気になれない
  7. 自分に価値がないように思える
  8. 集中力がなくなる、物事が決断できない
  9. 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う

今回ご紹介する対処法を実践してもなかなか心の苦しさが解消されない場合は、無理せず医師の診察を受けてください

出典:うつ病|厚生労働省

憂鬱な気分から抜け出せないときの対処法5選

女性が頭を抱えている様子

日常生活に取り入れやすい憂鬱な気分を抜け出すための対処法を5つご紹介します。

ただし、憂鬱な状態が続くときは病気が隠れている場合もあるので、「無理をしないこと」「つらいときは専門機関に相談すること」を忘れずに実践してみてください。

(1)無理をせずに休息をとる

憂鬱な気分になっているときは、体がエネルギーを使いすぎて疲れているサインです。しかし、サインに気が付かず、「もっと頑張らなきゃ」「気合いが足りない」と頑張ってしまうことがあります。

よくある例だと、休職や休暇を取ったにもかかわらず「家にいるだけではダメ」と、運動や買い物、外出など無理をしてしまうなどです。しかし、これではかえって疲れが増してしまいます。

憂鬱な気分を抜け出すための一番の近道は、休むことです。憂鬱な気分なのに、自分を奮い立たせて無理に出かけたり、何かに夢中になる必要はありません。

「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニンは、無理をしてストレスがかかることで減少してしまいます。セロトニンを減らさないためには、「ほっとできること」「楽しいこと」「心がワクワクすること」を意識してみましょう

「何かやろう」と思ったら、まず自分に「それは楽しい?」と聞き、自分のこころやからだの状態をじっくりと観察する「セルフモニタリング」を行ってみましょう。ポジティブな答えが返ってくるなら問題ありませんが、それ以外のことは、今は手放すことで体力の回復が早くなるでしょう。

(2)睡眠時間と質の向上

憂鬱な気分から抜け出せない原因のひとつとして、睡眠の質が低下していることが考えられます。良質な睡眠が取れているかの判断は、日中の眠気で判断します。

厚生労働省が定めた不眠症の基準に「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」とあるように、昼間に眠気や、頭がぼーっとしてだるさを感じるといった症状がないかを確認しましょう。

睡眠時間や質を向上させるには、睡眠のリズムを意識することが重要です。特に、起きる時間を早めの時間で一定にし、多くのメラトニンを生成することが大切。メラトニンは睡眠を促し、質の高い睡眠を実現してくれる「睡眠ホルモン」とも呼ばれる物質です。

メラトニンは起床後14時間以降の日暮れ頃から分泌が始まり、その量が多いほど良い睡眠が得られます。メラトニンを分泌する材料となるのは、太陽の光に当たることで分泌されるセロトニンです。

つまり、太陽光を浴びる時間が少ないとセロトニンが十分生成されず、結果メラトニンも減ってしまいます。起床時間がバラバラだとメラトニンの分泌時間が定まらず、眠気が来る時間もバラバラになり、確保できる睡眠時間に変動が生まれます。

そうはいっても、すぐに睡眠の質を改善するのは難しいものです。そんなときには、短時間の昼寝(パワーナップ)をおすすめします。

ただし、30分程度が望ましいとされ、それ以上眠ってしまうと夜間の睡眠の質に影響がある場合があります。昼寝前にカフェインを摂取すると、カフェインの効果が30分で現れるため、起きやすくなるのでぜひ試してみてください。

参考:不眠症|厚生労働省

(3)適度な運動を行う

憂鬱な気分を改善するには、一定のリズムでできる適度な運動を行うのもおすすめです。

セロトニンが活性化すると、気分の安定や脳の活性化につながり、憂鬱な気分も緩和されていきます。セロトニンの活性化には呼吸・歩行・咀嚼などの一定のリズムで行うことができる「リズム運動」が効果的です

日光浴でもセロトニン量がアップするため、30分程度太陽の下を散歩すると効率的にセロトニンを増やせます。ながら作業ではセロトニンの活性化につながらないので、集中して行うのがポイントです。

運動を習慣にするとより高い効果を得られますが、40~60分程度の中強度の運動を一度行うだけでも憂鬱な気分の緩和や、反すう思考の抑制に効果があることが研究によって判明しています。

参考:Serge Brandら (2018). Acute Bouts of Exercising Improved Mood, Rumination and Social Interaction in Inpatients With Mental Disorders. Frontiers in Psychology.

(4)自然の中を散歩する

自然の中で散歩をするのも有効な手段です。

研究によると、自然の中で90分間散歩をすると、脳の反すう思考に関与する部位の神経活動が減少し、反すう思考が抑制されることが判明しました。なお、これらの効果は都市部での散歩では見られなかったようです。

参考:Gregory N Bratmanら (2015). Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation. Proc Natl Acad Sci U S A, 112, (28).

(5)ジャーナリング

頭の中のもやもやを吐き出す方法として、ジャーナリング(日記を書くこと)も効果的です。ジャーナリングを通じて、気持ちを整理し、「自分はこうするべきと考えているけど、本当に正しいのだろうか?」というように思考の癖に気づいて客観的に考えられるようになります。このプロセスは「外在化」とも呼ばれ、自分の内面を客観的に見る助けとなります。

また、ジャーナリングの一種であるエクスプレッシブライティングもストレス軽減に効果的です。エクスプレッシブライティングとは、個人的な感情や出来事について自由に書き出すことで、実験で被験者が自分の感情やストレスフルな出来事について書いた結果、ストレスや抑うつ症状の軽減が見られました。

ただし、ジャーナリングによって嫌な記憶を思い出し、気分が悪くなる場合があります。そのようなときは無理せず、別の方法を試してみましょう。

参考:Karen A. Baikieら(2005). Emotional and physical health benefits of expressive writing. Advances in Psychiatric Treatment, 11, (5). 


ジャーナリングについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

憂鬱な気分を改善するには「マインドフルネス」も効果的

女性が座ってマインドフルネス瞑想をしている様子

ストレスがかかると、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)が過剰に働き、私たちの脳では「常に心がさまよってしまうモード」がループし、憂鬱な気分から抜け出せなくなります。この状態に陥ると、論理的かつ冷静に状況を判断しづらくなります。

そんなときに取り入れたいのがマインドフルネスです。マインドフルネスは「今この瞬間の経験や思考に、評価や判断をせずに意識的に注意を向けることにより表れる気づき」と定義され、心がさまよった状態から立ち止まり、意識的になる方法として有効です。

ありのままの自分の思考を観察することで、ストレスフルな状況に気づき、問題の本質を見極めることができるようになります。これにより、問題に対して適切な対処法を見つけられることで状況の改善につながり、ストレスが軽減されます。


基本的なマインドフルネス瞑想のやり方はこちらの記事で解説しています。

まとめ|憂鬱な気分から抜け出す方法

今回は憂鬱な気分になる原因や憂鬱な気分から抜け出せないときの対処法についてご紹介しました。

憂鬱な気分は誰にでも訪れるものですが、それが続くと仕事や日常生活に支障をもたらす場合もあります。今回でご紹介した対処法を参考に、早めに対処することをおすすめします。

ただし、「やらなきゃ!」と思わず、自分が心地いいと思う範囲で行い、まずは十分な休息をとるようにしてください。憂鬱な気分が長く続くようであれば専門機関に相談し、適切な処置を受けるようにしてくださいね。


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