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反芻思考(ぐるぐる思考)とは?原因や止める7つの方法を解説

女性が頭を抱える様子

「同じことばかりを考えてしまう。」
「過去の失敗ばかり頭に浮かんできて、前に進めない気がする。」

ある特定の事柄を反復して、何度も考えてしまう思考パターンは「反芻思考(ぐるぐる思考)」と呼ばれます。反芻思考は心を疲れさせるだけでなく、集中力や判断力にも悪影響を及ぼします。

反芻思考を止めるには、反芻思考の原因や対策方法を把握することが大切です。

そこで今回は、公認心理師でMELONインストラクターでもあるNaoさんへのインタビューをもとに、反芻思考の正体や対策法など、前向きな思考を取り戻すためのヒントを紹介します。

反芻思考(ぐるぐる思考)とは?

頭を抱えて悩む女性

反芻思考(ぐるぐる思考)とは、ある考えが頭の中でぐるぐると繰り返される状態のことです。

反芻思考によって巡る考えの多くはネガティブな内容ですが、ネガティブな反芻思考には、「良い反芻」と「悪い反芻」の2種類があります。

例えば、失敗を悔やむ反芻思考が生じたとします。そのとき「次はどうすればこの失敗や後悔を防げるのか」と生産的な考えにつながる反芻思考であれば「良い反芻」に該当します。良い反芻のことを、「リフレクション」と呼びます。

一方で、ネガティブな思考を巡らせることで、自分を責めたり気持ちがどんどん沈んでいったりするだけの非生産的な思考は、「悪い反芻」です。悪い反芻思考のことは「ブルーディング」と呼びます。

つまり、反芻思考で悩む方の多くは、ブルーディングに苦しめられているのです。

こんなこと考えてませんか?反芻思考(ぐるぐる思考)のよくあるパターン

反芻思考(ぐるぐる思考)は、次のような思考パターンで現れる傾向にあります。

・過去の失敗や不快な出来事について、何度も思い返してしまう
・自分の言動を振り返り、間違いがなかったかを1人で思い悩む
・人に傷つけられた際「自分に原因があるからだ」と自分の欠点を深堀しすぎてしまう

反芻思考は「ひとり反省会」と呼ばれることもあり、思考内容は他責ではなく自責に焦点をあててしまいがちです。

答えのない考えをループし延々と自分を責めることは、自尊心や自己肯定感を傷つけ、自信の喪失につながります。

そのため、反芻思考に気付いたらいかに早く抜け出すかがポイントになります。方法については、「反芻思考(ぐるぐる思考)を止める7つの方法」の項で解説します。

反芻思考(ぐるぐる思考)がもたらす影響とは?

反芻思考(ぐるぐる思考)が繰り返されると、過去の嫌な体験や後悔するできごとが自分の中で大きく浮き彫りになります。その結果、思考や性格がネガティブに偏ってしまうこともあります。

思考や性格においてネガティブな要素が強くなれば、現在の状況を正しく捉えたり、明るい将来を想像したりすることも、困難になるかもしれません。

また、反芻思考が続くことで、ストレスや不安感も高まります。気分を落ち込ませるだけでなく、集中力や判断力の低下や病気の発症を引き起こす可能性もあります。

反芻思考(ぐるぐる思考)と関係する病気

反芻思考には、神経伝達物質である「セロトニン」が関与している可能性があります。

セロトニンの減少によって反芻思考や不安が増幅すると、うつ病や不安障害などの精神疾患が発症するリスクが増します

また、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症の人々は、特定の出来事や考えに執着する傾向にあるため、反芻思考に陥ることも少なくありません。

このように反芻思考は、特定の病気や症状と密接な関係にあります。病気や症状が反芻思考によって悪化する前に、適切なケアを行うことが大切です。

参考:Ehring, T. (2021). Thinking too much: rumination and psychopathology. World Psychiatry, 20, (3).

参考:Rumination: A Cycle of Negative Thinking|American Psychiatric Association

反芻思考(ぐるぐる思考)になってしまう原因

反芻思考に悩む男性

反芻思考(ぐるぐる思考)が生じる原因は人によって異なりますが、以下に該当する人は、反芻思考が生じやすい傾向にあります。

・完璧主義
・感受性が高い
・気分が落ち込んでいる
・反芻思考が問題解決につながると期待してしまう

それぞれの詳細を、解説します。

完璧主義

反芻思考の原因のひとつとして、完璧主義が挙げられます。

完璧主義とは、「自分のやることはひとつのミスもなく、完璧でありたい」という考え方のことです。

完璧主義な傾向にあると、「自分の言動や行動がその場にふさわしかったか」など心配になったり反省したりすることが多いため、結果的に反芻思考に陥りやすくなります。


完璧主義については「完璧主義をやめたい人へ。今日からできる治し方とやめる方法」でも詳しく解説しています。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

感受性が高い

感受性が高いことも反芻思考になる原因といわれています。

感受性が高い人は、相手の表情や変化などを繊細に感じ取ります。そのため、「自分の言動が相手を傷つけたり悲しませたりしていないか」などを気にしすぎる傾向にあります。

気配りができたり空気を読んだりといった感受性の高さゆえの優しさが、自分を責める反芻思考の原因となるのです。

気分が落ち込んでいる

気分が落ち込んでいるときも、反芻思考が強まりやすくなります。これは気持ちが落ち込んでいると、脳がネガティブな情報に注目しやすい状態になることが原因と考えられます。

心が弱っているときほど、暗い思考を払拭することが難しくなるもの。反芻思考を抑えるためにも、気持ちが沈んで暗い思考に飲み込まれる前に適切なケアを取り入れ、気分の落ち込みを防ぐことが大切です。

反芻思考が問題解決につながると期待してしまう

反芻思考を繰り返す背景には、「考え続ければ答えが見つかる」「これだけ悩んだのだからプラスになっているはず」という無意識の期待が隠れていることも少なくありません。

しかし実際には、反芻思考で解決策につながる考えを巡らせることは少なく、自分の失敗や後悔への叱責だけを繰り返してしまいがちです。

自分を責めるだけの反芻思考は、心身を消耗させ、問題解決から遠ざける原因になることもあります。そのため問題解決の糸口として思考を繰り返す場合、どこかで意識を切り替え、思考の着地点を設けることが大切です。

反芻思考(ぐるぐる思考)を止める7つの方法

光の中を歩く人

反芻思考(ぐるぐる思考)に陥った際は、繰り返される考えから抜け出すための“スイッチ”を知ることが大切です。

ここからは、反芻思考を止めるスイッチとなる7つの方法を紹介します。

(1)適度な運動を行う

反芻思考の対策には適度な運動がおすすめです。

軽く息が切れる程度の運動を行うと反芻思考の症状が改善しやすいことが、運動と心理機能の関係性を調査した研究によって明らかになっています。

反芻思考が湧いてきたらウォーキングや筋トレ、ストレッチなどに取り組み、頭と心をリフレッシュして、気分を切り替えてみましょう

参考:Serge Brandら (2018). Acute bouts of exercising improved mood, rumination and social interaction in inpatients with mental disorders. Frontiers in Psychology, 9, (249).

(2)自然の中で散歩をする

自然の中で散歩をするのも、反芻思考の対策として有効です。

自然体験と反芻思考の関連性を調査した研究では、自然の中で散歩をすることは、都市環境で散歩をするよりも反芻思考の回数が減少するという結果も判明しています。

ネガティブな思考に悩まされているときは、20〜30分程度、公園の中など自然を感じられる場所を散歩してみるといいでしょう。

参考:Gregory N. Bratmanら (2015). Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation. Proceedings of the National Academy of Sciences, 112, (28).

(3)小さな目標を立てる

反芻思考を改善する上で、小さな目標を立てることも有効です。

目標を達成することで、「やればできる」という感覚を得られます。その結果、自己肯定感が高まれば、ネガティブな出来事によって自分を責めたり、落ち込みすぎたりするのを防ぐ助けになるでしょう。

「10分間だけ掃除をする」「1杯のコーヒーを丁寧に淹れる」といった簡単な内容で良いので、達成できる小さな目標を、日常の中でいくつか設けてみましょう

参考:People with depression tend to pursue generalised goals|University of Liverpool

(4)気晴らしをする

反芻思考は、頭の中を同じ考えが占拠している状態です。意識を別の活動や出来事に向けることで、思考のループを断ち切ることができます。

102名の若者を対象におこなった研究では、気晴らしが反芻思考のプロセスを止める効果を持つことも判明しています。

読書や映画鑑賞、音楽を聴くなど、気晴らしの内容は何でも構いません。頭の中が楽しさや満足感で満たされる気晴らしを行い、反芻思考が入り込む余地をなくしましょう。

参考:Lori M. Hiltら (2012). Getting out of rumination: comparison of three brief interventions in a sample of youth. Journal of Abnormal Child Psychology, 40, (7).

(5)自己否定をしている自分に気づく

自己否定的な人はネガティブな反芻を強化することを、示した研究も存在します。

反芻思考のなかで自分を責めて苦しむことの多い方は、反芻思考が発生した時点で「自分を責めているな」と気付くことが大切です。自分を責めている自分に気付くことで、反芻思考と距離を取れます

また、自分を責める自分に気づいたら、「つらかったね」「責めることはないよ」と自分を優しく受け止めてあげることも、忘れないようにしましょう。

自己否定に苦しむ自分を受け入れることで、自己受容が進み、反芻思考を減少させられます。

神谷慶 (2015). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. 桜美林大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻修士論文.


困難な状況に直面した際、自分を責めるのではなく、親友に接するように自分自身に優しい言葉をかける考え方のことを「セルフコンパッション」といいます。

以下の記事では、セルフコンパッションについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

(6)物事がうまくいったときのことを思い出す

過去の失敗などネガティブな反芻思考にとらわれているときは、物事がうまくいったときの出来事を思い出してみましょう。

ポジティブな内容を思い出すことで、自分への自信を取り戻せます。自分に対する自信が増せば、気持ちも切り替わり、ネガティブな反芻思考から抜け出しやすくなるでしょう。

参考:Rumination: A Cycle of Negative Thinking|American Psychiatric Association

(7)反芻思考の原因から距離を置く

反芻思考の原因がはっきりしている場合は、原因から距離を置くことも視野に入れてみましょう。

例えば、特定の人との関わりによってネガティブな反芻思考が生じる場合は、その人から一時的に離れることも、選択肢に含めてみてください。また、一人になると反芻思考が生じてしまう場合は、なるべく人と過ごせるようにスケジュールを調整するのも有効な方法です。

反芻思考の原因と距離を取ることで、状況や頭の中に変化が生じます。その結果、新しい考え方を得られることもあるでしょう。

反芻思考(ぐるぐる思考)を止めるにはマインドフルネスも効果的

マインドフルネスを部屋の中で行う女性

反芻思考を止めるにはマインドフルネスも効果的です。

マインドフルネスとは「今この瞬間の出来事」に評価や判断を加えずに、ありのまま受け止めるセルフケアのことです。マインドフルネスを実践することで今、この瞬間の「反芻思考に囚われている自分」に気付くことができます。

反芻思考に陥っている自分に気付き、意識的に気持ちを切り替えることで、ネガティブな思考の渦から抜け出せるでしょう。

マインドフルネス瞑想のやり方

ここでは、マインドフルネスの基本となる呼吸瞑想のやり方を紹介します。

【マインドフルネス瞑想の基本のやり方】

1、まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。
2、次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる「吐く息」と「吸う息」を丁寧に感じましょう。
3、途中で呼吸から意識が反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。
4、2〜3を数分間続けます。

文字では難しいと感じた方は、こちらの動画も見ながら試してみてくださいね。


マインドフルネスとは?意味・効果・仕組みなど全てを体系的に徹底解説」では、マインドフルネスに関するより詳しい内容を紹介しています。マインドフルネスを取り入れる際は、ぜひ参考にしてください。

まとめ|反芻思考(ぐるぐる思考)を手放し、前向きな思考を取り戻す

反芻思考(ぐるぐる思考)は誰にでも起こり得るものです。適切な対策を講じることで、日常生活への悪影響を減らし、前向きな思考を取り戻すことができます。

反芻思考に悩む方は、紹介した7つの方法の中でできそうなものをぜひ実践してみてください。ネガティブな考えのループから抜け出せるきっかけになるかもしれません。

また、反芻思考の改善を長期的に目指すには、マインドフルネスを日常に取り入れ、習慣化することをおすすめします。


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