マインドフルネスで怒りの感情を抑えられる?反芻思考(ぐるぐる思考)にも効果的
「些細なことで、すぐにイライラしてしまう……」「ついカッとなり、怒りが抑えられない……」といったお悩みはありませんか?ストレスの多い現代社会では、感情のコンロトールが難しくなることが誰にでも怒ります。
怒りの感情とうまく付き合うためにおすすめなのが「マインドフルネス」です。さまざまな研究により、マインドフルネスを日常に取り入れることで、イライラや怒りの感情を抑えられることが明らかになっています。
この記事では、マインドフルネスと怒りの感情の関係や、すぐにできる怒りを抑えられるマインドフルネスのやり方を紹介します。
また、グルグルと嫌なことを思い出してしまう「反芻(はんすう)思考」についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
「そもそもマインドフルネスって何?」という方は、「マインドフルネスとは?意味・効果・仕組みなど全てを体系的に徹底解説」で詳しく解説しているのでご覧ください。
マインドフルネスで怒りの感情を抑えられる
マインドフルネスとは「今、この瞬間に気づく」ことで、脳や心を整えるための方法の一つです。
怒りの感情を客観的に観ることができるため、冷静さを取り戻し、感情や行動をコントロールすることができるようになるのです。
関西大学の研究では、大学生を対象に4週間のマインドフルネスプログラムを実施した結果、怒りの感じやすさを測るスコアが有意に低下しました。このことから、マインドフルネスは、怒りの感情をコントロールし、心の安定をもたらす効果があると示唆されます。
参考:マインドフルネスによる大学生の怒り予防効果|風間書房
「怒り」を客観的に認識できれば、感情は落ち着いていく
心理学で注目されている「メタ認知」のように、自分を客観的に認識することで、自分の感情を「自分の一部」ではなく「今、自分が感じている感情」として捉えることができます。
感情と自分自身を分離することで、感情に飲み込まれることなく、客観的な視点から状況を分析できるようになります。
このメタ認知を行うのに、マインドフルネスは非常に有効です。
マインドフルネスを日常的に習慣化していくほど、自分自身を客観的に認識できるようになっていきます。
メタ認知とマインドフルネスの関係について詳しく知りたい方は「メタ認知とは?心理学的な意味や高い人の特徴、鍛え方を徹底解説」の記事もぜひご覧ください。
「映画を見ているとき」のように感情を客観視する
わかりやすいように、例え話をしてみましょう。
例えば、映画館でホラー映画を見ているとします。映画を見ている最中は、その世界に没入し、ストーリーに沿って恐怖を感じています。心臓がドキドキしたり、手に汗を握ったり、叫び声を出したくもなるでしょう。
でも、「これは映画だ」「私は映画を見ているだけ」と、引きの視点で現実を味わうと、たちまち怖さは軽減していきます。
このように、感じていた恐怖から距離を置いて観るということが自分を客観視している状態です。
マインドフルネスで怒りによる身体の変化に気づく
怒った時に、「頭がカッと熱くなる」「胃がぎゅっと縮む」といった感覚になったことがある人は多いのではないでしょうか。
実は、私たちは感情を心だけではなく身体でも感じているのです。
マインドフルネスの練習を重ねていくことで、身体の感覚に気づく能力も高まります。怒りの感情が沸いた時、同時に身体に起きている変化にも素早く気づけるようになります。
この「気づき」こそが最も重要な要素です。
「イライラの原因とは?怒りを感じたときすぐに実践できる対処法を紹介」の記事では、怒りを感じた時にすぐに実践できる方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
「怒り」の状態に気づくことで、行動がコントロールできる
自分の怒りの感情に気づくことができると、「一度立ち止まって深呼吸する」「今この場で言い返すのはやめておこう」という判断や対処ができます。つまり、怒りの感情が収まるまで、衝動的な行動を抑えることができるようになるのです。
怒りの感情自体は健康的な心の反応ですが、客観的に自分の状態に気づくことができれば、その後の行動をコントロールできるようになります。
マインドフルネスオンラインサービス「MELONオンライン」では、さまざまなマインドフルネスのレッスンを配信しています。
自分の状況を客観的に観る“メタ認知能力”を高める「Recognition」や、気持ちを落ち着かせるために有効なマインドフルネスの呼吸を学べる「Breath」など、あなたのお悩みにアプローチするクラスが見つかります。
マインドフルネス初心者の方でも、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧に分かりやすくレッスンを行うので安心です。
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グルグルと思考が繰り返される反芻思考から起こる「思い出し怒り」を止めるには?
ここまでお話しした瞬間的な怒りの他にも、何度もグルグルと同じことを思い出してしまう反芻思考(はんすう思考・ぐるぐる思考)による怒りもあります。
反芻(はんすう)とは一度経験した出来事や感情などを何度も頭の中で繰り返し思い出し、そのことに意識が集中してしまう状態です。
過去の怒りを何度も頭の中で反芻してしまうため、怒りの感情が再燃したり、新たな怒りやネガティブな感情を生み出してしまうこともあります。
そのため反芻思考は、精神的に大きな悪影響を及ぼす可能性があるといわれており、注意が必要です。
反芻思考について詳しく知りたい方は「反芻思考(ぐるぐる思考)が止まらない・やめたい|原因や止め方を紹介!」の記事で詳しく解説しています。
反芻思考を止めるのにもマインドフルネスが有効
ネガティブな反芻思考を止めるには、「今、ここ」に意識を向けることがポイントです。その集中力を育てるのにも、マインドフルネスが有効です。
怒りの感情に振り回されることが多くコントロールするのに困っている方は、マインドフルネスを日常に取り入れることをおすすめします。
怒りを抑えられるマインドフルネス瞑想3選
ここでは、怒りを感じた時にすぐにできるマインドフルネス瞑想をご紹介します。
特別な器具や場所は必要なく、いつでもどこでもできるので怒りを感じたり反芻思考が止まらない時には、ぜひ試してみてください
(1)基本のマインドフルネス瞑想
まず、基本となるマインドフルネス瞑想のやり方を紹介します。
主に、ストレス解消や集中力向上などの効果が期待できます。5分でできるので、いつでも手軽にできる瞑想です。
(1)まず楽な姿勢で座り、左右の坐骨に均等に体重をのせて骨盤を安定させます。その後、ゆっくりと気持ちよく背骨を伸ばしていきましょう。
(2)次に呼吸を観察します。身体から自然に生じる「吐く息」と「吸う息」を丁寧に感じましょう。
(3)途中で呼吸から意識が反れてしまったら、そっと意識を呼吸に戻してください。
(4)2〜3を数分間続けます。
(2)ジャーナリング
ジャーナリングとは、「書く瞑想」として知られる瞑想の一つで、頭に浮かんだことをそのまま紙に書くことで自分の状態を理解し、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上を図る手法です。ジャーナリング瞑想と呼ばれることもあります。
ジャーナリングを続けることで、思考を整理する力や新たな気づき、物事を客観視する力が養われます。
(1)まずは基本のマインドフルネス瞑想を5~10分ほど行います。
(2)ノートとペンを用意して、頭に浮かんだことをそのまま書いてみましょう。
(3)書いた内容を確認して、自分の心の状態を客観的に見つめてみましょう。その日すぐに確認する必要はありません。時間を置いてからでもOKです。
書くことは、良い悪いを判断せず、何も思いつかなければ「何も浮かばない」と書いてもOKです。文章の形になっていなくても構いませんし、誰かに見せるわけではないのできれいな字で書く必要もありません。
書くことで心の状態が可視化され、認識しやすくなります。時間を置いて見返すことで自分の成長を実感したり、過去の失敗が現在に活かされていることに気がつくなど、前向きに生きるための助けにもなります。
(3)慈悲の瞑想
慈悲の瞑想とはマインドフルネス瞑想の一種で、自分や他者を思い浮かべながら慈悲のフレーズを唱える瞑想法です。自己肯定感を高め、心の安定をもたらす効果が期待できます。
ネガティブな気持ちに気づいたときに、最大限の温かい気持ちを自分に向けて受容することで、セルフコンパッションにつながります。 怒りを感じている自分を責めるのではなく、優しく包み込むようなイメージで、辛い思いをしている自分に温かい言葉をかけ、励ましているような感覚になれます。
さらにその気持ちを広げていって、すべての人に向けて「幸せでありますように」という言葉を唱えていきます。
(1)座って姿勢を整える
(2)「自分自身」に向けて慈悲のフレーズを唱える
(3)「自分の大切な人たち」に向けて慈悲のフレーズを唱える
(4)「世界中のすべての人たち」に向けて慈悲のフレーズを唱える
まとめ|マインドフルネスで怒りの感情をコントロールしよう
今回は、マインドフルネスが怒りの感情や反芻思考に効果的ということや、おすすめのマインドフルネスのやり方をお伝えしました。
より詳しく知りたい人はMELONのChief Mindfulness Officerである吉田 昌生さんの著書『マインドフルネス 怒りが消える瞑想法』もおすすめです。忙しい毎日の中でも無理なく実践できる瞑想を紹介しています。
マインドフルネスを継続して、怒りの感情を上手にコントロールする方法を身につけていきましょう。