「従業員の生産性」を低下させない方法3選|マインドフルネスも有効
現代人の仕事に欠かせないツールになっているスマートフォンやPC。
こうしたデジタルデバイスやITの活用はフレキシブルな働き方を実現させる一方で、企業の新たな課題として浮上しているのが生産性を低下させる健康リスクへの対策です。
本記事では、従業員の生産性を維持するためのコツをご紹介します。
デジタル化による「働き方の大きな変化」とは?
コロナ禍で大きく進んだ働き方改革。2021年に総務省が発表した「情報通信白書」によれば、国内企業のICT導入・利用状況は、「持ち運び可の端末(ノートPC、タブレット)支給」が2020年度に63%と最も割合が高く、次いで遠隔会議システム(Zoom、Microsoft Teams、Webex等)が57.5%、また、「コミュニケーションツール(Slack、Workplace等)」が34.9%の回答となるなど、1年前と比べても各種ツールの導入が進んでいることがうかがえます。
IT活用は場所を問わない働き方の選択肢を増やしたり各種業務を効率化するばかりか、少子高齢化による働き手の不足が深刻化する中、労働の担い手を確保したり生産性を高める面からも更なる促進が望まれています。
デジタルを活用した働き方の落とし穴とは?
一方、デジタルを活用した働き方の普及に伴い、企業の新たな課題として浮上しているのが従業員の健康への影響です。
キーボードやマウスなど、デジタル情報端末を使用するVDT(Visual Display Terminals)作業作業における健康への影響は、①視覚機能に関するもの ②骨格筋系に関するもの ③精神・心理的なものの3つに大別でき、その具体的な症状としては次の通りです。
- 視覚機能への影響…眼疲労、眼精疲労、ドライアイ など
- 骨格筋系への影響…首や肩のこり、腰痛、背部痛 など
- 精神・心理面への影響…疲労感、いらいら など
デジタル端末での作業時間がメンタルヘルスに及ぼす影響
VDT作業時間がメンタルヘルスに及ぼす影響についても指摘があります。
コンピュータ情報処理事業所で勤務する従業員を対象としてVDT作業時間と精神状況の関係を調べたところ、作業時間の長さは「緊張ー不安」、「疲労」、「混乱」が有意に高くなっていたのです。
メンタルヘルスの悪化により、生産性は低下する
こうしたメンタルヘルスの影響を考慮することは、企業にとって大きな経営課題となっています。従業員のメンタルヘルスの悪化は労働生産性を下げる要因となるためです。
それだけでなく、メンタルヘルス休職者比率は、2年程度のタイムラグを伴い業績にマイナスの影響を与えることも報告されています。
従業員の生産性を低下させない3つの方法
デジタル情報端末を使った作業による健康リスクを予防し、労働生産性を損なわないためにはどのような対策をすればよいのでしょうか。
VDT作業における労働衛生対策の取り組みとして国は「VDTガイドライン」を策定。VDT作業に従事する従業員に対して、次のような管理の実施を企業に推奨しています。
- 作業環境の管理
照明、パソコン機器、椅子、机が作業に適した状態であるか等のチェック - 作業や作業環境の維持管理
作業時間、作業姿勢、機器の位置調整や、作業に必要な用具・機器等の点検 - 健康管理
健康相談や健康診断のほか、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動の実施
生産性を低下させないためには「マインドフルネス」も有効
こうした基本的な対策に加え、VDT作業の健康リスク予防に効果があると注目されているのが、マインドフルネスに含まれる「アクセプタンス」です。
アクセプタンスとは、自身が置かれた現状について、変化したり抵抗しようとせずそのまま受け入れ、理解しようとする在り方です。
アクセプタンスの獲得による心理的柔軟性の強さが、生産性にポジティブな影響を与えるといった報告もあります。
近年、マインドフルネスを用いた従業員への健康や生産性にアプローチする試みが始まっており、その科学的検証が進んでいます。
法人がマインドフルネスを導入するにあたってのポイントや実際の導入事例については、こちらの記事もぜひお読みください。
参考文献
ポール・E・フラックスマン、フランク・W・ボンド,フレデ リック・リブハイム(武藤崇、土屋政雄、三田村仰監訳)『マインドフルにいきいき働くためのトレーニングマニュアル 職場のためのACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)』星和書店
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