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「自己肯定感」が低いとは?意味や高める方法をわかりやすく解説

「他人の目が気になる」「失敗することを恐れて行動ができない」といった悩みはありませんか?

このような心理の多くが、「自己肯定感の低さ」からきているといわれています。自己肯定感が高まると、前向きになり、主体的にチャレンジできるようになるなど人生がより充実します。そうはいっても、自己肯定感をどう高めればいいかわからない人は多いのではないでしょうか。

そこで今回はMELONのインストラクターで公認心理師、精神保健福祉士でもあるNaoさん監修のもと、自己肯定感の意味や低下する原因、向上させる方法を詳しく解説します。

自己肯定感とは?自尊心・自己効力感・自信との違いも解説

ピンクの背景に青いクエスチョンマーク

そもそも自己肯定感とはどのようなものなのでしょうか?似た概念である「自尊心」「自己効力感」「自信」との違いを含めて解説します。

自己肯定感とは「ありのままの自分」を肯定する感覚のこと

自己肯定感とは、自分の好きなところや嫌いなところも含めて「ありのままの自分」を肯定する感覚です。また、自身に対してどの程度肯定的に捉えているのかという指標ともいえるでしょう。

自己を肯定することは、自身の性格や能力、考え方といったさまざまなものを認めることです。無理にポジティブに見ようとせず、ネガティブな面も丸ごと受け止めていきます。

心身の健康を保ち、自分らしく生きるためには自己肯定感を育むことが大切です。

自尊心には「プライド」という意味もある

自尊心の意味は、自己肯定感とほぼ同じです。しかし、「自尊心」は「プライド」という意味で使われる場合があります。

自尊心とプライドも基本的に同じ意味ですが、「プライド」には「傲慢」の意味合いが含まれることがあります。しかし、「傲慢」は虚勢を張る態度で、「自尊心」はありのままの自分を尊重する気持ち。この2つは対立するものです。


自尊心についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

自己効力感とは「目標を達成できる」と信じる感覚のこと

自己効力感とは、「自分ならゴールや目標を達成できる」と信じる感覚です。この概念は1977年にアメリカの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱されました。

自己効力感は、個人の行動やモチベーションに大きな影響を与えます。高い自己効力感を持つ人は、困難な課題に直面しても積極的に取り組み、目標達成に向けた努力を惜しみません。そのため、自己効力感は個人の成功や成長において重要な要素とされています。

自信とは「自分の能力や価値を信じること」

自信とは、文字通り自分の能力や価値を信じること。自分に自信がある人は、自分の行動や考え方が正しいと感じ、悩まずに行動できます。

自信と自己効力感の主な違いは、できると感じる方向性にあります。自信は自分自身の「能力や価値」を信じることに焦点を当てています。一方、自己効力感は「特定の目標やゴールを達成できる」と感じることに重きを置きます。

自己効力感がある人は、現時点で目標に対して自分の能力が足りないことを自覚していても、努力によって目標を達成できると信じることができます。

自己肯定感が高い人の特徴

湖の近くで手を挙げている女性2人

自己肯定感の向上にはさまざまなメリットがあります。ここからは自己肯定感の高い人の特徴を3つご紹介します。

自分の長所と短所を適切に認識できる

自己肯定感が高いと自分の長所と短所を適切に認識し、課題に対して前向きに行動できます。たとえ短所があったとしても、卑下せず、どうすれば弱点をカバーして課題を達成できるか具体的な方策を考えたり、適切に周囲に助けを求めることができます

自己肯定感が低い場合、周囲に迷惑をかけるのではないかという心配から助けを求められない場合があります。その結果、自分だけで問題を抱えて疲れたり、自分だけで処理しきれず失敗してしまうこともあります。

主体的にチャレンジできる

他人からどう思われるかを気にしすぎず、主体的にチャレンジできるところも自己肯定感が高い人の特徴です。また、チャレンジすることで経験値を上げ、失敗してもそれを成長につなげて自己肯定感がさらに高まるという好循環が生み出されます

一方で自己肯定感が低いと、短所を気にしてチャレンジができなかったり、失敗を引きずってしまったりします。その結果さらに自分を嫌いになり自己肯定感が下がるという悪循環に陥ってしまう場合もあるので注意が必要です。

フィードバックを素直に受け取れる

自己肯定感が高い人はフィードバックを素直に受け取ることができます。褒められれば素直に受け止め、指摘は前向きに修正し、成長していきます。

一方自己肯定感が低いと、褒められても何か裏があると勘繰ってしまったり、指摘に対して傷つき過ぎてしまったります。

自己肯定感が低い人の特徴

緊張している女性の様子

ここからは自己肯定感の低い人の特徴を紹介していきます。

自己肯定感が低いと、心が疲れてしまい幸せな気持ちになることが難しくなります。自分に当てはまる点がないかチェックしてみてください。

物事をネガティブに捉えやすい

自己肯定感が低いと、自分をネガティブに捉えがちになります。自分に自信が持てなくなると、できていない部分に目が行きやすくなってしまうためです。

また、他者の反応を過度に気にするようにもなります。相手が偶然体調が悪かったり、忙しくて元気がないときでも「自分が何か気に触ることをしてしまったのではないか?」「嫌われているのかも?」と心配しすぎてしまいます。

承認欲求が強くなりやすい

承認欲求も強くなる傾向があります。人に褒められることで自分の価値を確かめようとするあまり、他者の評価を過度に気にします。

自己の価値評価を他者に委ねるため、常に他者から認められていないと不安になります。その結果、無理に自分をアピールして自身も疲弊することにもつながりかねません。

人と比較して劣等感を感じやすい

人と比較し、劣等感を感じやすいのも自己肯定感が低い人の特徴です。

他者と過剰に比較して「他者より優れているか」という基準で自分を評価するため、自分の真の能力を認識できずに劣等感にさいなまれてしまう傾向があります。

自己肯定感が低くなる原因とは?

ノートにクエスチョンマークが記載されている画像

自己肯定感は充実した生活を送るために必要不可欠です。しかし、自己肯定感を高められず悩んでいる人も多くいます。ここからは自己肯定感が低くなってしまう原因について解説します。

育った環境によるもの

幼少期に周囲からの承認や達成感を得られる経験が少ないと、自己肯定感が育ちにくい傾向があるといわれています。

子どもの頃の親子関係と、子どもの自己肯定感の高さのつながりを示している論文では、親子間に信頼関係があり、お互い協力しあう円滑な親子関係が成立していると、子どもの自己肯定感が高まることが実証されています。

参考:入江和夫ら(2012). 大学生の自己肯定感及び死生観に影響を与える親子関係. 研究論叢. 芸術・体育・教育・心理, 62巻.

人間関係によるもの

人間関係の質も自己肯定感の低さに影響を与えます。

思春期の学生に関する研究では、友人関係が円滑であることは自己肯定感を育むにあたり重要な要因であると結論づけています。

思春期の子どもたちにとって、友人と気楽に話せることは、安心して学校生活を送るうえで不可欠な要素です。良い友人関係があることで、各種活動に積極的に参加でき、失敗を繰り返しても試行錯誤を繰り返して再びチャレンジできるようになります。

特に、自分を否定する人の言動によって自己肯定感が低下することがあります。一緒にいて心の安心・安全を感じる人とのつながりが大切です。

参考:粟谷初子ら(2009). 思春期の自己肯定感のあり方に影響を及ぼす要因について ―学校生活適応感,生活習慣との関係を中心に―.京都教育大学教育実践研究紀要, 第10号.

情報過多によるもの

現代はインターネットにより簡単に情報が手に入る時代となりました。

しかし、情報の過剰な流入により「正しいものは何か」「自分はどうあるべきなのか」といった問いを余計に考えてしまい、それが自己肯定感の低下につながる可能性があります。

そのような状態にならないためにも、ネガティブな気持ちになる情報とは距離を置く工夫も大切です。

自己肯定感を高める方法とは?

海辺で手を広げる女性

では自己肯定感を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?ここではその方法を3つご紹介します。

小さな目標を達成する

自己肯定感を高めるには、小さなものでもいいので目標を設定して実行することがおすすめです。達成感や成功体験の積み重ねが、自己肯定感の向上につながります

目標は、難しいものでなくても構いません。例えば「寝る前に本を1ページ読む」といったものから始めてみましょう。達成できたら記録をつけるのも、後から成果を見返せるため有効です。

こうした小さな積み重ねが自己肯定感を高めてくれます。

肯定的な雰囲気があるコミュニティに所属する

自己肯定感を育むには、自分を否定するようなコミュニティから離れることも効果的です。否定的な言葉を受け続けると、周囲の目が気になるようになり、自信も失われていきます。

だからといって、すぐに転職や転校などの大きな変化は難しいですよね。

そんなときは新しい仲間を探してみましょう。趣味の教室に通う、ボランティアに参加するなどもいいでしょう。職場や学校、家庭以外で、自分を安心して表現できるコミュニティに所属することで、少しずつ自己肯定感が育っていきます

マインドフルネスを実践する

自己肯定感を高めるには「マインドフルネス」も効果的です。

マインドフルネスとは、現在の自分に注意を向け、ありのままに気づき、ありのまま受け入れること

不安やネガティブな思考をありのまま受容することが、思考や感情に支配されないことにつながります。

マインドフルネスの実践を続けて自分を客観視すると、ありのままの自分を受け入れられるようになります。その結果、「良いところも悪いところも自分自身」と認識できるようになり、自己肯定感が高まっていきます


マインドフルネスをもっと知りたいと思った方は、こちらの記事をご覧ください。マインドフルネスとは何かから、効果や起源など、全体像を掴んでいただけます。

自己肯定感が低い人が周りにいた時の対処法

泣いている女性に手を差しのべている

周りに自己肯定感の低い人がいた場合はどのようにすればいいのでしょうか?対処法を2つご紹介します。

共感を示して具体的に褒める

自己肯定感が低い人は、自分に自信を持つことが難しい状況に陥っています。視野が狭くなって物事をネガティブに捉えがちになり、「わかってもらえない」と感じやすくなります。

そこで重要なのが、傾聴(アクティブリスニング)をし、相手への共感を示して、具体的に褒めることです。

例えば、会社の面談や1on1の場面で、自己肯定感が低い人の話を傾聴します。この時「相手が話したいことを話せているか」を意識するといいでしょう。そして、相手の気持ちをそのまま受け入れ、共感を示します。

また、褒めるときは具体的であることも大切です。「成果」よりも「努力していること」を褒めて、関心を示しましょう

例えば、「先月よりも〇〇の部分がよく伸びているのは、〇〇という取り組みの成果だ」と具体的な例を挙げることで、相手の行動を理解し、認めていることを示すことができます。

ただし褒めるといっても、「頑張っている!大丈夫!」のような具体性に欠けた内容はNG。相手が自分のことをわかっていないと感じ、心を閉ざしてしまう可能性があります。

アドバイスをしすぎない

自己肯定感の低い人を見ると、助けてあげたいという気持ちから「もっとこうした方がいいよ」などアドバイスをしたくなりますよね。ただし、自己肯定感の低い人は自分に自信がない状況なので、言葉の裏を読んで「自分はこのままじゃダメなんだ」と受け取られてしまう可能性があります。

そこで大切なのは、アドバイスをしすぎないこと。相手に「あなたはそのままでいい」と伝わる言葉選びや態度を心がけましょう。

もし変わってもらう必要がある場合や課題を伝えるときは、サンドイッチ話法が有効です。ダメな箇所を指摘するのではなく、まずはよく頑張っていることを認め、「課題」を整理し、次の目標を具体的に提示します。これにより、相手は前向きに課題に取り組むことができます。

まとめ|自己肯定感を高めて自分を愛そう

今回は、自己肯定感の意味や低くなる原因、どうしたら自己肯定感を高められるかなどを紹介しました。

自己肯定感を高めるためには、ありのままの自分を認めることが重要です。私たちは誰しも完璧ではありません。情報が溢れる社会では、人と自分を比較して「私なんて……」と思いがちですが、唯一無二の自分を受け入れることこそが自己肯定感を高める鍵となります。

自分をより客観的に捉えるのに有効なマインドフルネス瞑想と組み合わせながら、今回ご紹介した自己肯定感を高める方法をぜひ実践してみてくださいね。


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