【事例あり】理想の組織?「ティール組織」を解説!〜マインドフルネスとの関連性〜
コロナやデジタル化により社会が大きな転換期を迎えている現在、次世代の組織体として「ティール組織」に注目が集まっています。「ティール組織」とは、既存の組織と異なり階層性を持たず個人に意思決定を委ねるマネジメント手法を採る組織を指します。
本記事では、組織モデルの変遷や「ティール組織」の特性を紹介します。
ティール組織とは?〜歴史や注目のきっかけ〜
上下関係を作らず、構成員ひとり一人の意思決定に委ねる自由でフラットなマネジメント手法を採用する「ティール組織」。日本では2018年、書籍の出版を機に、新たな組織モデルとして広く知られるようになりました。
本の著者であるフレデリック・ラルー氏は、10年以上にわたり大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーで組織変革プロジェクトに携わった人物です。
独立後「組織は成長を遂げているのに、個人が幸福になれないのはなぜか。どうすれば個人の可能性をより引き出せる組織になるのか」をテーマに探求を開始。約2年半、世界中の組織を見て回り、既存とは違った手法で個人と組織が成果を出す「ティール組織」を見出しました。
組織名称は、鴨の頭から首にかけてみられる青緑の色を指しています。
「ティール組織」に至る組織モデルの5段階
本の中でラル―氏は、組織モデルを5段階であらわし、統率や管理方法の特徴とその向き不向きを考察しました。
その際、アメリカの現代心理学であるインテグラル理論が提唱する”意識のスペクトラム(人間の意識の成長を段階的にあらわしたモデル)”にならい、それぞれの組織モデルを「レッド」→「アンバー(琥珀)」→「オレンジ」→「グリーン」→「ティール(青緑)」に色分けし説明を行いました。
それぞれの組織モデルには次のような特徴があります。
【事例】ドイツの病院運営にみられる「ティール組織」の特徴
ラルー氏は、ティール組織のひとつとしてドイツの病院「ハイリゲンフェルト」の事例を紹介しています。
精神疾患を専門とする同病院は患者の治療だけでなく、組織運営にもホリスティックなアプローチを採用し成果を上げています。その実際の取り組みを見てみましょう。
組織文化の重視(全体性の実践)
はたらくスタッフが「組織文化」について対話する機会を頻繁に設け、経営層だけでなく組織のあらゆるレベルで議論を重ねる取り組みを継続しています。
繰り返し上がるキーワードを会社理念の理解に役立てるのはもちろん、常に「組織のあるべき姿」を問うことで個々の意識レベルを高め、組織の活性化に繋げています。
マインドフルであること
毎朝の全体ミーティング時にマインドフルネスのエクササイズを取り入れたり、会議前に詩の朗読や内省の時間を作るなど、業務の中でマインドフルネスを実践する仕組みを整えています。
日々の中で気づきや問いをキャッチできる状況を作り課題解決のサポートを行っています。
自己組織化
2週間に1度、すべてのスタッフを対象にした全体ミーティングを開き、情報共有や、少人数のグループトークを設定。話し合いや意見交感を通じ一人ひとりが次の行動のヒントを得て業務に活かします。
メンバー参加型のオープンな組織開発に継続して取り組み、個々の改善活動や組織のアップデートを行っています。
「ティール組織」にみられる3つの共通項
「ティール組織」は、前述した「ハイリゲンフェルト」以外にも世界中の組織に見られる組織モデルであり、その共通項としてラルー氏は「存在目的」「自主経営」「全体性」の3つをあげています。
存在目的(エボリューショナリー・パーパス)
階層性を持たないフラットな組織において意思決定の指針になるのが「存在目的」です。
「この組織は何を実現したいのか」「この組織の存在目的は何か」と問い続けることがティール組織の最も重要な要件といわれます。
通常の組織のように固定化した関係性や目的の上にあるのではなく、常に新たな可能性に開かれた状態を目指します。
自主経営( セルフマネジメント)
自らを律するという意味でなく、個々が意思決定の裁量を持つ状態を指します。
相互の信頼関係や情報の透明性を保障し、従来の組織であれば承認プロセスやコンセンサス形成が求められる場面(例えば、物品購入や予算策定など)も、個人が意思決定の権限を持ちます。
同時に、適切な意思決定を援助するため専門家や同僚から助言を得られる仕組みを確立しています。
全体性(ホールネス)
個の力を活かすティール組織では、組織やメンバーとの信頼関係や心理的安全性がベースとして不可欠です。
個人が本音を語り、ありのままでいられる組織を目指し、リーダーはそれぞれの能力を引き出すマネジメントを行います。
ホールネスの獲得に活用されているのがマインドフルネスです。マインドフルネスは他者とのコミュニケーションを円滑化し、組織の心理的安全性を高めます。
まとめ
ティール組織は万能ではありませんが、変化の激しい今の時代に合わせて進化した組織モデルのひとつです。前述した組織モデルの5段階を踏まえ、自社の現在地の把握やマネジメント方法を検討する一助としてお役立てください。
また、「ティール組織」の構築に必要なセルフマネジメントやホールネスを後押しする具体的な打ち手としてマインドフルネスに興味がある方は、こちらの記事もご覧ください。
【参考文献】
フレデリック・ラルー、『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』( 鈴木立哉・訳、 嘉村賢州・解説)英治出版株式会社
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