ブログ

「自分を受け入れるのは強さ」MELONインストラクターインタビュー〜田中えりさん〜

マインドフルネス インストラクター インタビュー 田中えり エリ MELON

金融業界でキャリアウーマンとして働いていた田中えりさん(以下、えりさん)。 体調とメンタルを崩したことが、それまでの人生を振り返る大きなきっかけになりました。えりさんが、自分を受け入れてきた道のりと、…

金融業界でキャリアウーマンとして働いていた田中えりさん(以下、えりさん)。

体調とメンタルを崩したことが、それまでの人生を振り返る大きなきっかけになりました。えりさんが、自分を受け入れてきた道のりと、今だから伝えることのできるメッセージを聞きました。

田中えり
一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師、マインドフルネス瞑想指導者養成講座修了、陰ヨガ指導者養成講座 終了、ヨガ指導者養成講座修了、乳ガンリハビリヨガ指導者養成講座修了

突然の入院で気づいた「当たり前の大切さ」

金融業界でいわゆる「バリキャリ」として働いていたえりさん。会社の中でステップアップすることが生き甲斐、という日々を送っていました。そんなえりさんに、30代に入ってすぐの頃、それまでの生き方も価値観も大きく変える出来事が起こりました。

それは突然の入院でした。ある日、首が横を向いたまま動かなくなってしまったのです。「その時にまず思ったのが『仕事ができなくなる!』ということでした。どれだけ仕事人間だったんでしょうね」とえりさん。

仕事 OL バリキャリ 金融業界

治療で首を固定するため、トイレに行く以外は動けないという入院生活が始まり「自分の存在価値って何なんだろう」と激しく悩みます。

「それまで、どんなこともがんばれば何とかなると思っていました。けれど、思いどおりに動かない身体を目の前にして、現実を受け入れざるを得ませんでした」


頭部の手術が必要かもしれない、と言われた時に、次の日に命があるかどうかわからないことを強く意識し、立つ、歩く、話す、食べる、家族と過ごすという、今まで当たり前だと思っていたことがとても貴重なことだとわかったと言います。

ヨガとマインドフルネスで受け入れた自分自身

退院後、仕事をそのまま続けたえりさんでしたが、今度は出産を機に、産後うつになってしまいました。外出することも怖くなり、ギリギリの精神状態の中、本当に自宅の中で倒れてしまいます。

その時、まだ生まれて間もない子どもがワーッと泣いたことで「生きたい!元気になりたい!」と我に返りました。

「これまでずっと、自分がどうしたいかではなく、人からどう思われているかという他人の物差しで生きてきたことに気づいたんです。何かができるからすばらしいのではなく、生きているだけで価値があるということにも気づかせてもらいました」

えりさんは、これは「生き直しなさい」というメッセージなのだととらえ、少しずつ行動を始めます。その中で、外出の練習も兼ねて、近くのヨガ教室に通うことに決めました。

ヨガ マインドフルネス 海

「ヨガの先生がすべてを受け入れてくれたこともあり、実践するうち、身体も心も軽くなっていくのがわかりました。ヨガを続けるうちマインドフルネス瞑想と出会い、吉田マサオ先生の講座を受けながら知識と経験を深めていきました」

こうやって出会ったヨガやマインドフルネス瞑想を通じ、「今、ここにいる自分」を大切にしたいという思いが大きくなっていったというえりさん。これまで鎧を着て生きてきた自分を認め、それをひとつずつ手放していくことができるようになっていきました。

「でも、すぐにできたわけではないんです。今までの自分は何だったのだろうと葛藤しましたし、できない自分を認め、弱さを受け入れていくのはすごくつらかった。仕事を辞めてからも、強がる自分を手放し、ありのままの自分でいいじゃない、と思えるまでには何年もかかったんですよ」

自分はウサギとカメで言うとすごく不器用なカメ。それなのに、要領のいいウサギに憧れ、沈着冷静さを装い、自分じゃない何者かになろうと演じて生きてきた、と振り返るえりさん。

「それは、自分を否定して生きてきたということですよね。でも、自分自身に素直に生きるということが身体でわかり始めると、すごく楽になっていきました」

自分ひとりでは立ち上がって来ることはできなかった

ヨガやマインドフルネスを深めるうち講師の資格を取ったえりさんですが、それは、健康な自分を取り戻すために、もっと学びを深めたかったから。講師になりたいという思いが最初からあったわけではありませんでした。

「ところが、あるタイミングで、通い続けていたヨガ教室の先生から声をかけていただき、生徒さんに教えるようになりました。続いて、吉田マサオ先生を通じてMELONでマインドフルネス瞑想のインストラクターになることになったんです」

えりさんは「自分の力で人生を切り開いてきたわけじゃなく、学んできたことをシェアできる場を作ってくださった方のおかげで、今の私がある」と言います。

シェア 学び 助け コミュニティ

「振り返ると、要所要所で出会った人や、助けてくれた人がいました。どんなときも応援してくれる家族もそうです。そのおかげで今、命があります。自分ひとりでは決して立ち上がって来ることはできなかったからこそ、人とのつながりに感謝しています」

えりさんの価値観が変わるにつれ、周囲にいる人もがらりと変わったと言います。さびしさもあったけれど、今はそれも自分の人生、と受け止めることができています。

自分とコミュニケーションしてあげてほしい

これまで「強くありたい」と思って生きてきたというえりさん。今では、それは、無理をして仕事や遊びに全力を使うことではなく、自分ではない何者かになるために重い鎧を着ることでもなく、「自分自身をありのままに受け入れること」だと知っています。

「与えられた自分を生きていくことこそが、強さなんだと知りました。いつ訪れるかわからない最期の時に『我が人生に悔いなし』と思って終えられるよう、自分らしい今日一日を積み重ねていきたいと思っています」

そんなえりさんがもっとも大切にしているのは、マインドフルネスを日常に広げていくことです。

「知識を学ぶだけじゃ、もったいないと思うんです。マインドフルネスは健康で幸せに生きていくためのスキル。一度きりの人生を、自分らしく、今を楽しんで生きていけるよう、マインドフルネスを実践してほしいと思っています」

健康 幸せ マインドフルネス

そのためにも、「身体でわかる」ことが大切だと、後世に伝えていこうとしています。

「もっと自分とコミュニケーションしてあげてほしいと思います。私は身体や心の声を無視しつづけて、体調やメンタルを崩しました。生まれてから命を終えるまで、自分とはずっと一緒。身体や心の声をよく聞いて、自分と仲良く、より深くつきあっていってほしいですし、支えあえる温かい世の中を子どもたちの世代に残していくことができたらと思っています」