タクシードライバー

土曜日の昼にチャイナタウンで飲茶を食べようと思い、ホテルからタクシーに乗ったところ、パスポートとクレジットカードを忘れたことを思い出し、ホテルに戻ってもらいました。
運転手さんのホテルの下で待っててくれるという言葉に甘えて、10分程待たせてしまったのですが、嫌な顔ひとつせずニコニコと話しかけてきました。最初はマンハッタンの道路工事の多いことと、そんなに公共工事は必要ないはずだという話から始まり、税金や政府の話になりました。NY州にアマゾンを誘致する計画が地元住民の反対に遭い撤回を余儀なくされたことにも触れ、これ以上金持ちが増えたらますます地元住民の生活が苦しくなるとのことです。この数年の賃料の上がり方はクレイジーだし、こんなことがいつまでも続くことは絶対にないと。(ちなみに現在のマンハッタンの平均的なアパートメントの大きさは65平米、賃料は46万円程度のようです。)金持ちは20部屋もある大きな家を買い、車や服や必要ないほど買い込み、本当に大切なことをおろそかにしている、仕事は生きるための手段なのに仕事をするために生きてる奴が多い、本当に大切なのは家族と友人と人生で得られる経験だ等、耳の痛い点も多々ありましたが含蓄に富んだ話を聞くことができました。
彼は長くマンハッタンでタクシードライバーをしているようですが、昔はオランダでベジタリアンのレストランを経営していたらしいです。しかしお金が貯まった後はヨーロッパ中を旅して使ってしまって、金を貯められないのが俺の問題だと。
とてもナイスなドライバーさんで彼が話していた価値観が滲み出るような人柄でした。自分が新しいビジネスの立ち上げ準備のためにNYに来ていることを伝え、座禅やメディテーションを日本人がほとんどしていないと言うと驚いていましたが、最後はGood Luck!と笑顔で見送ってくれました。わずか15分の乗車でしたが、自分のプロジェクトの社会的な意義を再確認できる時間でした。