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『白黒思考』とは?原因や特徴、治し方を詳しく解説!

「一番になれないのなら、今までやってきたことは全て意味がなかったということ」

「あの人に嫌われたら、もう生きていけない」

「一度決めたことは必ず最後までやりきる必要がある」


このようなことを言っている人がいたら、「ちょっと極端だな」と思うかもしれませんね。どうしてこんな極端な発想につながるのでしょうか? もしかしたらその背景に「白黒思考」があるのかもしれません。

この記事では「白黒思考とは何なのか」「白黒思考があるとどういうことが起きるのか」などを解説していきます。

白黒思考とは

白黒思考とは、その名の通り「物事を白か黒かと二分して捉える思考」のことです。「全か無思考」「0か100思考」といった言われ方もします。

いずれの言われ方であったとしても、本当はバリエーション豊かな捉え方ができるのにもかかわらず、両極端な意見しか見えなくなってしまう思考を指している点で共通しています。

白黒思考が引き起こす問題とは

上述したように、両極端な意見になるのが白黒思考の特徴です。極端な見方になることでどのような問題が引き起こされるのでしょうか。代表的な事柄をみていきましょう。

後悔しやすい

白黒思考に基づいた判断をすると、後悔するリスクが高まると考えられます。なぜなら、白黒思考は「良い‐悪い」「好き‐嫌い」といった感情的な判断になりがちだからです。

感情的な判断は、合理的な推論を経て至った結論ではないために、往々にして誤解や偏見に染まっています。「面白そうだからちょっとくらいいいだろう」との判断で飲食店に対する迷惑をし、その様子を撮影した動画をSNSに投稿してしまう。

これなどは典型的な白黒思考に基づいた判断であると言えるでしょう。「知らなかった」「そこまで考えていなかった」では済まないこともあるのです。

影響を受けやすい

白黒思考を持っている人は、人の意見に影響を受けやすいと言えます。それも極端な意見であればあるほど影響を受けやすいと言えそうです。

「陰謀論」と呼ばれるような言説に傾倒していくタイプの人は、白黒思考が強いと考えられるでしょう。「その可能性もあるけど、そうじゃない可能性もある」と多くの人が判断を保留するような事柄に対して、「こうに違いない!」と白黒思考で決めつけた判断をとった結果が「陰謀論への傾倒」と言えるからです。

「素直」ということもできるかもしれません。しかし、騙されて自分が損をしたり他人への迷惑に繋げたりしないよう、「この意見はあまりにも極端すぎないか?」「他に考えられることはないか?」「根拠はしっかりしているか?」などと考えることで、それっぽい意見に振り回されないことが大事になってくると思います。

融通が利かない

白黒思考があると「こうだからこう」と固定的な考えを持ちます。それゆえ融通が利きにくくなる問題が見られることもあります。

「100点でないと意味がない。99点は0点と同じ」といった具合に100点しか認められず、それ以外は全て0点と同じと捉えるのは典型的な白黒思考ですが、こうなると99点が取れた自分の努力を一切認めることができません。

ですからいくら周りが「99点でも十分すごいよ」と慰めたところで、その労いが本人に届くことはないでしょう。「100点じゃなかったんだけど、努力はしたよね」などと柔軟に捉えることができないと、100点を取ったとき以外は常に苦しむことになってしまうリスクがありそうです。

白黒思考の人の特徴とは

ハートと明るい緑の背景

どのような人が白黒思考になりやすいのでしょうか。その可能性についても検討していきたいと思います。

完璧主義

「何事も完璧にこなさなければならない」などと考える「完璧主義」が根底にあると、思考様式も「100か0か」の白黒思考になりやすいでしょう。

完璧主義と白黒思考は、同じものを別の角度から見て言い表したものと言えるくらい、両者の間にはくっきりとした類似性があります。

完璧主義があると、本人が「完璧だ」と納得できるまで物事を突き詰めないと気が済まなくなります。これは「100点の状態を常に目指すべきである。それ以外の段階で満足するようなことがあってはいけない」との白黒思考のためと言えそうです。

このように、完璧主義を採用すると必然的に思考様式も白黒思考となるのです。

曖昧さに対する耐性が低い

白黒思考があると白か黒かしか認められないので、その中間である灰色を認めることができません。灰色は黒とも白とも言えない曖昧な色ということができますが、そんな曖昧な状況を曖昧なまま抱えることがなかなか難しいのです。

他人がどっちづかずの態度をとっていると、白黒思考が強い人はそんな相手の態度に「どっちにするのか早く決めろ!」とついイライラしてしまうこともしばしばです。

発達障害がある

発達障害があると、白黒思考になりやすいと言えます。発達障害とは生まれつきの脳機能の障害のために行動面や情緒面に特徴がある状態です。生まれつきの障害ですので、この傾向は幼児のころから見られます。

発達障害の特徴として、「興味関心の狭さ」や「比喩表現などの『ニュアンス』がつかめない」などがあります。このような特徴を持ったまま成長するので、物事の解釈の仕方が限定的になったり独特なものになったりし、それが白黒思考として定着していくのです。

なお、「白黒思考だから発達障害」というわけでは決してありません。その点はご注意ください。

白黒思考の原因とは

ハートとケアする様子

白黒思考の原因についても見ていきましょう。原因を知ることで、白黒思考を治すための手がかりが得られるかもしれません。

判断材料の少なさ

突然ですが、ピカソの絵を見てどのような感想を抱かれるでしょうか?多くの方は「よくわからない」「うまいとは思わない」などといった感想を持たれるように想像します。

しかし、ピカソの画家としての経歴や当時の時代背景を知っていれば、ピカソのキュビズムが絵画界にもたらした革命的な凄さがわかり、評価が変わるかもしれません。

このように、判断材料が少ない状態だと「好き‐嫌い」といった感情に基づく極端な判断になりがちです。まさに白黒思考ですね。ですから、冷静に合理的な判断をするためには複数の判断材料から多面的に検討することが重要となってきます。

幼少期の体験

幼少期の体験も白黒思考の原因になります。特に白黒思考を持つ親(養育者)に長らく育てられたことが、子どもが白黒思考になる可能性を高めると言えそうです。

例えば、親が100点を取ったときは褒めてくれるけど、それ以外の点数のときには全く相手にしなくなるか怒るような人だったとしたら、子どもは「100点以外は取ってはいけない」と強く感じるようになるでしょう。

このようなことが繰り返されれば、白黒思考が自分の思考スタイルにも浸透されてしまったとしてもまったく不思議ではありません。

白黒思考の治し方・改善方法とは

白い花が咲いている様子

最後に白黒思考の治し方・改善方法を見ていきます。

ただ、ここでいう「白黒思考の治し方・改善方法」とは、「白黒思考を0にするための方法」ではありません。「白黒思考が出てきてもそのことで自分が苦しくならないための方法」だと思っていただければと思います。

なぜなら、多かれ少なかれ白黒思考は誰もが持っている思考の癖の一つで、これ自体は決して悪いものではないからです。悪くもないものを0にする必要はありません。

しかし、もし白黒思考のために「いつも苦しい」といった状態になったのなら、話は別です。ご自身が苦しくならない程度にまで白黒思考の強度を低減させることを目指した方がいいでしょう。

「いつも」「絶対」に要注意

ものごとを「好きか嫌いか」などの極端に捉えてしまう白黒思考は、言ってみれば思考の癖の一つです。ですから急に「止める」はなかなか難しいでしょう。まずはその思考に気づくだけでも十分です。

白黒思考があると「いつも」「絶対」「~に違いない」「~べき」などといった言葉がよく出てきます。ですので、自分の頭に沸き起こる思考をモニターし、これらの言葉がないかよくよく調べてみると白黒思考に気づきやすくなるでしょう。

「絶対あの人は私を嫌っているに違いない」などといった思考がでてきたら、それは白黒思考の可能性は極めて高いです。

まずは「いつも」「絶対」になどの言葉に気づけるようになっていただければと思います。その後、次にお伝えする方法を試してみてくださいね。

「~かもしれない」を付け足す

自分の白黒思考に気づけたら、今度はその白黒思考に「かもしれない」を付け足してみてください。

「絶対あの人は私を嫌っているに違いない」ではなく「あの人は私を嫌っているかもしれない」と、判断をいったん保留にするのです。

判断を保留にできれば、後悔するような結論を出してしまうリスクをかなり低減させられるでしょう。

根拠を10個挙げる

続いて実践してもらいたいのは、結論に対する根拠をできるだけ多く案出することです。できれば10個挙げられれば御の字でしょう。

「絶対あの人は私を嫌っているに違いない」と思ったとしても、「目を合わせてくれない」「私と話すときだけ声が小さくなる」などとその結論に至った根拠を挙げていくのです。

そうすると、「これだけ根拠があるのだから妥当な判断だろう」と思うかもしれませんし、「根拠が弱いな」と思うかもしれません。確かに、「目を合わせてくれない」「私と話すときだけ声が小さくなる」は、あなたのことを好きな人も取るかもしれない態度ですしね。

いずれにせよ、根拠を挙げていくことで、しっかりと推論の過程を経た合理的な結論となっていくことは間違いありません。

白黒思考|まとめ

白い花が咲いている様子

この記事では「白黒思考とは何なのか」「白黒思考があるとどういうことが起きるのか」などについて解説してきました。

白黒思考は、あくまでも思考の癖の一つであって、必ずしも悪いものではありません。ですが、症状がひどい場合、日常生活にも影響が出てしまう場合があるんですね。

そのため、この記事で紹介した白黒思考の原因や治し方を参考にして、白黒思考が出てきてもそのことで自分が苦しくならないように対策しておくことをおすすめします。