『自動思考』とは?止まらない理由や気分を改善する方法も解説!

『頭の中がごちゃごちゃしてしまって落ち着かない』
『こんなこと考えても仕方がない!ってわかっているけど、どうしても同じことをグルグル考えてしまう』
こんな風に、「考えたい」と思っていなくても頭の中に勝手に色んな思考が出てきて、それをコントールできなくて困ってしまうことはありませんか?
勝手に頭の中を目まぐるしく行ったり来たりする思考のことを心理学では「自動思考」と呼んでいます。
思考はときとして感情の原因の一つになります。ネガティブな思考が頭の中にあると、気持ちもネガティブなものになってしまいがちなのです。
自動思考をコントロールして、気持ちを落ち着ける方法なんてあるのでしょうか?
この記事では、そんな疑問に答えつつ、自動思考と上手に付き合っていくためのコツについてご紹介していきます!
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自動思考とは?

自動思考とは、ふとした瞬間に頭によぎる考えやイメージのことを指します。
さて、今この文章を読んで、皆さんはどう思いましたか?「なるほど」と思いましたか? それとも「どういうこと?」と思われたでしょうか?
いずれにせよ、頭の中にふと浮かんだ思考やイメージがあったなら、それこそが自動思考です。
人が1日に考える回数は6万回
自動思考はその名の通り「自動」で生じるものです。ですから、普段気にしていないと自分が今どんなことを考えているかは案外わからないものです。
実際、人は一日に6万回もの回数何かしらの思考を巡らしているとさえ言われています。でも、そんな実感はありませんよね?私たちはそのほとんどの思考やイメージをスルーしてしまっているのです。
自動思考の内容が気分に影響する
このように私たち人間は自動思考の存在になかなか気づかないのです。しかし、自動思考の内容は確実に私たちの気分に影響をもたらしています。
例えば、うつ病の方の自動思考は通常よりもネガティブになっていることが知られています。
『自分なんていない方がいい』
『誰からも愛されない』
『生きてたっていいことなんて何もない』
こういった類の自動思考が生じていることが知られているのです。このような自動思考があれば誰だって気分が落ち込んでいきそうですよね。
自動思考が止まらない2つの理由とは

「自動思考の内容は確実に私たちの気分に影響をもたらしています」と書くと、中にはこんな風に考えた人もいるかもしれません。
『そうか、気分の原因は自動思考だったのか。だとしたらネガティブな気分になったときは、その原因の自動思考を考えないようにしたらいいんじゃないか』
確かに、思考を止めることができれば、気分もニュートラルなものに変化していくかもしれません。
しかし、残念ながら自動思考を止めることは極めて難しいのです。ここでは、その理由を2つ解説していきます。
理由その1:自動で生じるものだから
自動思考は自動で生じるものなので、コントロールできません。なので止めることはできないのです。
もし「止める」といったコントロールができるのなら、初めから「ネガティブな自動思考を生じさせない」といったコントロールもできたはずです。
でもそれができないから困っているのです。誰だってネガティブな気分になるのがわかっていたら、ネガティブに考えようだなんて思いませんものね。
理由その2:止めると余計にそのことを考えてしまうから
仮に自動思考を止められたとしても、それは長くは続きません。
なぜなら、人の考えは「考えないようにしよう」と思うと余計にそのことを考えてしまう性質があるからです。
試しに『他の何かについてはいくらでも考えてもいいけど、シロクマのことだけは絶対に考えないでください。アイスのことも、遊園地のことも、パンダのことも考えていいけど』と言われたら…。どうでしょう?
もうすでにシロクマのことが頭の片隅にちらついているのではないでしょうか?
このように、人はどうしても「考えちゃいけないと言われたことを、今考えていないかな?」と考えてしまうので、結局考えてしまうようにできているのです。
「アイス」について考えているつもりでも「アイスって、シロクマと関係ないんだっけ?」とつい「シロクマ」についても考えてしまうのですね。
自動思考を扱う方法

『ネガティブな気分になっても、その原因の自動思考を止めることができないなんて…。ネガティブになったらどうしたら良いんだ?』と考えると、なんだか絶望的な気分になってきますよね(それこそ自動思考の力!)。
でも大丈夫です。止めるようなコントロールこそできませんが、他の方法を使えば自動思考によって影響を受けた気分を改善していくことができます。
そのためのステップをご紹介します。ステップは全部で3つです。
気分を改善する方法ステップ1:自動思考に気づく
自動思考は放っておくと垂れ流し状態になってしまいますが、不思議なことに「意識しよう」と思うとそれほど困難なく意識することができるようになります。
試しに「今自分は何を考えているだろう?」と自分に意識を向けてみてください。「お腹空いたな」とか「明日何しよう」とか何かしらを考えていることに気づけたのではないでしょうか。
上記の要領で、自動思考に気づく練習をしていくと「自動思考を考えている自分」の他に、「自動思考に気づいているもう一人の自分」の視点を得ることができるようになります。この視点のことを心理学では「メタ認知」と呼びます。
気分を改善する方法ステップ2:自動思考を受け入れる
自動思考に気づけるようになったら(つまりメタ認知できるようになったら)、次はその自動思考を「こんな考えがあるんだ。ふーん」という感じで、あるがまま受け入れましょう。
あるがまま受け入れるためのコツの一つは、その思考のお尻に「と考えていることに気づいた」との言葉をつけることです。
「あ、『お腹空いたな』と考えていることに気づいた」といった感じです。こうすることで、自動思考からの気分への影響をかなり和らげることができます。
というのも、人は一度ネガティブな自動思考が生じると、関連するネガティブな自動思考が芋づる式に頭をよぎるため、それに伴って気分までどんどんネガティブになってしまうからです。
「お腹空いたな」程度であればそんなに問題はないかもしれませんが、これが「生きていてもいいことなんてない」といった自動思考なら大変です。
知らず知らずのうちに「こんな風に考えるから自分はダメなんだ」などと連想し、ますます気分は落ち込んでいきます。ですから、「と考えていることに気づいた」と連想をそこで断ち切って、ただその自動思考を受け入れることがとても大切になってくるのです。
気分を改善する方法ステップ3:自動思考に変わる思考を考える
メタ認知ができ、あるがまま受け止めることができたら、最後のステップです。
それは「自動思考に代わる思考を考える」です。この代わりとなる新たな思考のことを「代替思考」と言います(伊藤絵美著『世界一隅々まで書いた認知行動療法・認知再構成法の本』)。
例えば「自分には取り柄がない」との自動思考に対して「本当にそうなのか?」「そう考えるメリットは何だ?」「自分がこう考えていることを知ったら、自分の親しい人はなんて言ってくれるだろう?」「自分の親友がもしそう言っていたら、なんと答えるだろう?」と様々な角度から検討を加えることで代替思考を案出していくのです。
くれぐれも「自動思考を変える」のではなく、「自動思考の代わりとなる思考を考える」のだということには注意してくださいね。
自動思考は勝手に出てくるので、コントロールできないのでしたね。それに自動思考を否定するとますますその自動思考を考えてしまうこともお伝えしました。「変えよう」としてもその努力は報われそうにありません。
でも「代わりになる思考を考える」のなら可能です。「Aという自動思考を否定してBと考える」のではなく、「AはAでOKとし、それに加えてBもCも考えていく」イメージです。
この3ステップを踏むことで、元の自動思考の影響力はかなり低下し、それに伴って気分も相当改善していくことが期待できます。
自動思考にはマインドフルネスも効果的

自動思考は「意識しよう」と思うとそれほど困難なく意識することができるようになり、練習をしていくと「自動思考を考えている自分」の他に、「自動思考に気づいているもう一人の自分」の視点を得ることができるようになるとお伝えしました、そう、メタ認知のお話でした。
マインドフルネスとは、今この瞬間の出来事に評価や判断を加えずありのまま気づいてゆくこととされています。
マインドフルネスのトレーニング法は様々なものがありますが、続けることで、今この瞬間に浮かぶ自動思考に対しても、ただそのまま「そうなんだ」と受け入れて思考している自分に客観的に気付いていく力を養うことができるのです。
そうすると、自動思考が湧き無意識的に思考が連鎖してしまい、脳疲労へと繋がってしまうような状態の軽減にもなります。
また、自動思考がポジティブなものだけでなくネガティブなものもあるのは、危険を回避するための自己保存本能といえる面もあるのです。
浮かんでくる自動思考をマインドフルに受け入れる練習は、自己受容の練習とも言えます。
以下の記事では、マインドフルネスについてより詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
まとめ

自動思考はときとして気分に影響をもたらします。楽しい気分ばかりであればいいのですが、いつもいつもそうとは限りませんよね。辛い気分になったときには、その原因となった自動思考を何とかしたいと思うものです。
しかし自動思考はその名の通り、自動で出てくる思考。コントロールするのも一苦労です。
しかし、自動思考の存在に気づき、受け入れたあとであれば対策が取れます。「自動思考の代わりとなる思考を考える」ことができるのです。
自動思考に気づくことも、受け入れることも、代わりの思考を考えることも、最初は難しく感じるかもしれません。でも練習すれば必ず誰もができるようになります。是非この記事を参考に練習してみてくださいね!
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