研究・論文紹介

マインドフルネス瞑想の「科学的エビデンス」を研究論文に基づき徹底解説!

書類や計算機、ボールペンが置いてある机の画像

マインドフルネス瞑想には「科学的に裏付けられた効果がある」ということをご存知ですか?近年では、心理学や脳科学の分野で研究が進み、様々な効果に対するエビデンス、論文が発表されています。

本記事では、海外や日本で行われているマインドフルネス、瞑想の様々な効果についての研究成果・論文を紹介します。

マインドフルネスは実践してすぐに大きな効果は出ませんが、継続することで大きな効果が出ることが数々の研究で裏付けられています。ぜひマインドフルネス継続のモチベーションにしてみてください!

ストレス軽減に効果あり!驚きの改善効果をご紹介

空の下で手を広げている女性の画像

まず最初にご紹介する研究は、マサチューセッツ大学医学部のマインドフルネスセンターで行われたもので、論文のタイトルは以下の通りです。

Baer, R. A., Carmody, J., & Hunsinger, M. (2012). Weekly change in mindfulnessand perceived stress in a mindfulness-based stress reduction program.Journalof clinical psychology,68(7), 755-765.

タイトル訳「マインドフルネスストレス低減プログラムにおける、マインドフルネスと感じたストレスの週ごとの変化」

研究目的

この研究では、毎週1回、合計8セッションを行うマインドフルネスストレス低減プログラムの参加者を対象に、ストレスの感じ方の変化を調査するために行われました。

研究内容

この研究の参加者は、慢性的な病気や痛み、仕事に関するものなど、ある程度のストレスを抱えた人たちです。彼らに対してマインドフルネスとストレスに関するアンケートを毎週実施し、変化を数値化しました。参加者は87名、平均年齢は48.83歳で、範囲は24~79歳までと幅広い年齢の人が参加していました。

研究結果

ストレスの感じ方については、最初の3週間ほどはあまり改善が見られませんでした。しかし4週目からは少しずつストレスも改善していき、プログラムが終わるころには、最初と比べて偏差値9~10程度の大きな改善が見られるという結果になりました。

ちなみに偏差値10の改善とは「1000人の模擬試験を行った結果の順位が【500位 → 150位】に改善する」といったイメージです。このように考えると、とても大きな改善があったということが分かります。

マインドフルネスの効果を検証したランダム試験

芝生で瞑想している様子

以下の論文は、2021年1月に発表された世界各国で行われたランダム化比較試験の結果をまとめたものです。

Galante, J., Friedrich, C., Dawson, A. F., Modrego-Alarcón, M., Gebbing, P.,Delgado-Suárez, I., … & Jones, P. B. (2021). Mindfulness-based programmes formental health promotion in adults in nonclinical settings: A systematic reviewand meta-analysis of randomised controlled trials.

タイトル訳「非臨床的なセッティングにおけるマインドフルネスプログラムによる成人のメンタルヘルス向上:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ解析」

研究目的

マインドフルネスプログラムは、精神科や心療内科などの医療機関で、精神疾患の患者さんに対する効果を検証した研究が多いです。しかしこの研究論文は、医療機関ではない場所(セッティング)で、一般の人あるいは日常的なストレスを抱えている人たちに対して、マインドフルネスが平均的にどのくらい効くのかを検証するために行われました。

研究内容

この研究は、うつ・不安・ストレス・ウェルビーイング(Well-being)という4つの指標に対する効果を、ランダム化比較試験という方法(対象となる人をランダムにグループに分けして効果を検証する方法)で、検証しています。

参考:Randomized Controlled Trials (RCTs). unicef.

研究結果

研究の結果は以下のようになりました。

うつ効果量 −0.53 (偏差値で言うと5.3程度のうつの低減
不安効果量 −0.56(偏差値で言うと5.6程度の不安の低減
ストレス効果量 −0.45(偏差値で言うと4.5程度のストレスの低減
ウェルビーイング効果量 0.33(偏差値で言うと3.3程度のウェルビーイングの向上

この論文の中でまとめられたランダム化比較試験の数は136で、これらの試験の参加者を合計すると、合計11605人でした。これほど多くの人を研究対象とした場合でも効果が現れたことから、マインドフルネスが持つ可能性はとても大きいことが分かりますね。

「ぐるぐる思考」が徐々に減っていく

色違いの飴の画像

次にご紹介する研究は、名古屋経済大学の家接哲次先生が、マインドフルネス研究のメッカの1つである、オックスフォードマインドフルネスセンターと共同で行った研究です。論文のタイトルは以下の通りです。

 Ietsugu, T., Crane, C., Hackmann, A., Brennan, K., Gross, M., Crane, R. S., … & Barnhofer, T. (2015). Gradually getting better: Trajectories of change in rumination and anxious worry in mindfulness-based cognitive therapy for prevention of relapse to recurrent depression. Mindfulness, 6, 1088-1094.

タイトル訳「だんだん良くなる:再発性うつ病の再発防止のためのマインドフルネス認知療法における反すうと心配の変化の軌跡」

研究目的

この研究は、うつ病を悪化させる要因である、過去の失敗等をぐるぐる考える「反すう」と、悪い未来を予想する「心配」に着目しています。この反すう心配が、マインドフルネス認知療法によってどのように改善するのかを検証するのが目的です。

反すう思考(ぐるぐる思考)については「反芻思考(ぐるぐる思考)が止まらない・やめたい|原因や止め方を紹介!」という記事も参考にしてみてください。

研究内容

うつ病を繰り返し発症した経験があるけれど、現在はほとんど症状がない104名が、イギリスで行われたこの研究に参加しました。彼らは8週間のマインドフルネスのプログラムに参加し、毎週「この1週間に、反すうや心配をすることがどれくらいあったか」を尋ねられました。

研究結果

個人差はありましたが、全体的には8週間で、反すうや心配が確かに減っていっているのが確認できました。

薬物療法と同等の治療効果が得られる

薬と水を手で持っている画像

最後にご紹介する研究は、不安障害の治療において、マインドフルネスが薬の治療と同じくらい治療効果があるかを検証した初めての臨床試験です。論文のタイトルは以下の通りになります。

Elizabeth A. Hoge, MD; Eric Bui, MD, PhD; Mihriye Mete, PhD; et al. Mindfulness-Based Stress Reduction vs Escitalopram for the Treatment of Adults With Anxiety Disorders A Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry. 2023;80(1):13-21. doi:10.1001/jamapsychiatry.2022.3679

タイトル訳「成人の不安障害の治療におけるMBSR(マインドフルネスストレス低減法)とエスシタプラムの比較(ランダム化比較試験)」

研究目的

不安障害とは、過度の心配や不安に関連し、行動や日常の生活に支障が出る症状を指します。日本人が一生のうちに不安障害になる確率は4.2%で、アルコール乱用、うつ病に次ぐ身近な精神疾患です。この研究は、不安障害に対するMBSRの効果を明らかにすることを目的に行われました。

参考:不安障害. 厚生労働省.

研究内容

今回の試験では276名の不安障害の成人患者を対象にマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を実践したグループと、薬物治療(抗うつ薬のエスシタプロラム服用)のグループに分け比較することで、MBSRの治療効果が検証されました。

研究結果

評価判定はGCS-Iという重症度評価(1点が正常、7点が最重症)が用いられました。結果としてGCS-Iスコアが8週間でマインドフルネスストレス低減法のグループは1.35点、薬物治療グループは1.43点減少し、統計的に不安障害の治療においてMBSRは薬物治療と同等の治療効果があることが示されました。

MELONと早稲田大学が行なった共同研究について

MELONでは早稲田大学と共同で「オンラインマインドフルネスクラス」の効果を実証しました。オンラインマインドフルネス受講者におけるうつや不安症の改善効果を実証した取り組みは日本初(※当社調べ)です。

参考:日本初!*オンライン・マインドフルネス受講者におけるうつや不安症の改善効果を実証〜新サービスとして法人向け定額プラン&うつと不安症の方向けの無料サービス提供を開始〜早稲田大学とマインドフルネスのプラットフォーム「MELON」の共同研究の成果を発表

対面で受けるレッスンは時間や場所が制限されてしまうことが多いですが、オンラインのクラスであれば、好きな時間に好きな場所で受けられます。さらに効果も得られるということであれば、「やってみたい!」と感じる人も多いのではないでしょうか。

まとめ | マインドフルネスの効果は様々な研究によって裏付けられている

デジタル機器を触る研究者の画像

今回は4つのマインドフルネスに関する研究、そしてMELONが早稲田大学と共同で行った取り組みをご紹介しました。どれもしっかりと効果が証明されていることが分かりましたね。

このような実績を知り「マインドフルネスを始めてみたい」と思った方は、MELONが提供する「MELON オンライン」というオンライン・マインドフルネスサービスがおすすめです。

マインドフルネス初心者の方、独学だと上手くできない方、やり方が正しいのか不安な方も、一般社団法人マインドフルネス瞑想協会の資格を持つプロのインストラクターが丁寧に分かりやすくレッスンを行うので安心です。科学的に効果が実証されている「マインドフルネス」を一緒に深めていきましょう!

MELONオンラインの画像