テレワークによる職場環境への悪影響とは?具体的な改善策も紹介

コロナによって大きく変わった職場環境。中でも、テレワークによる「ストレス」や「心身不調」をいかに防ぐかが企業にとって大きな課題となっています。
この記事では、「テレワークによる職場環境への悪影響」と「具体的な改善策」をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
コロナ渦で「企業のテレワーク実施率」が上昇

新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが大きく普及しました。東京都が行っている「テレワーク実施率調査」(2021年9月3日発表)によれば、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は65.0%と過去最高を記録しています。
この1年間で、企業のテレワーク実施率は約3倍に上昇しているのです。
また、テレワークの実施回数も増加の傾向が見られます。最新の調査からは、週3日以上の実施が51.6%と、出社日よりもテレワークの時間が増えていることが伺えます。
テレワークによる職場環境への悪影響とは?

テレワークの普及により職場環境に関して様々な悪影響も生じています。
代表的なのは「長時間労働の問題」です。テレワークで長時間労働になってしまう原因としては、「仕事とプライベートの切り分けが難しい」ことが考えられます。
また、労務管理でも「社員の進捗管理や業務評価が難しい」という課題もあります。
これらは結果として、「仕事のやる気」や「パフォーマンスの低下」「ストレスの増加」「メンタルヘルスの悪化」につながってしまうのです。
(コロナ以前の試算として、厚生労働省によると、日本人のおよそ5人に1人が生涯を通じてこころの病気にかかると言われており、コロナで更に状況は悪化しているのです。)
従って、テレワークにおける職場環境の改善を検討する際は、「情報共有」や「ストレスチェック」を用いた社員の体調把握が必要です。
それに加え、テレワークにおける「コミュニケーションの方法」や「労務管理のルール作り」「新たな相談体制の構築」など既存の取り組み以外の対策が求められます。
ストレスチェックの詳細については、こちらの記事もご覧ください。
テレワークによる職場環境悪化の改善には「マインドフルネス」が有効

テレワークなどによる職場環境悪化の改善に有効な取り組みのひとつが「マインドフルネス」です。2021年に発表された研究論文では、マインドフルネスはテレワークによる職場環境悪化の改善に役立つ可能性があると示唆しています。
仕事のオンオフの切り替えがスムーズにできる
テレワークにより、仕事とプライベートの境界が曖昧になってしまいます。そのため、心理的な切り替えが難しくなるのです。
逆に、就業時間以外は仕事と距離をとるほど、身体の状態が回復し、ウェルビーイングな状態に近づくこともわかっています。
しかし、それを妨げる要因のひとつとして「反芻思考」が挙げられます。反芻思考とは、ネガティブなことを繰り返し考えてしまうことです。
例えば、資料作成が終わっていないことが頭から離れず、それがストレスや不安となり睡眠の質に影響を与えるケースです。
マインドフルネスを練習しておくことで「今、この瞬間」の自分の状態に意識を向けられるようになります。仕事で考えていたことが頭から切り離せるようになるため、不安の低減が期待できます。
集中力が向上し仕事のパフォーマンスが上がる
テレワークでは、オフィス勤務と異なり「家事や同居人とのコミュニケーション」や「周囲の騒音」など、集中が途切れやすい状況といえます。こうした中での業務では、集中力が求められます。
マインドフルネスは「今、この瞬間」への注意を高める練習によって、集中力を高める効果があるのです。あるいは、仕事以外に気が散っている場合に、呼吸に意識を向けてリセットすることで、その後、目の前のタスクに集中することができます。
オンライン会議やPCスクリーン疲れからの回復を促す
多くの会議がオンラインに移行する中で、ビデオ会議疲れや、PCスクリーンの見過ぎによる疲労も課題です。疲労を感じる場合は初期の状態で回復につとめること、PCやメール利用にルールを設けるのも有効です。
また、マインドフルネスは身体や感情への自己認識を促し自己調整能力やセルフケアの能力を高めることがわかっています。テレワーク中にスクリーン疲れやオンライン会議疲れを感じた際に、回復のための適切な行動を取るために役立つと考えられます。
企業における「マインドフルネス」の導入事例

最後に、テレワークの職場環境対策の一環としてマインドフルネスを導入している企業の事例をご紹介します。
若手社員のストレス対策にマインドフルネスを導入したA社
若手社員のストレス・メンタル課題
コロナ禍によって原則テレワークとなったA社では、就労経験の浅い若手社員にストレスやメンタル不調の兆候がみられるようになりました。
慣れない働き方や、周囲に相談できる状況がないことで長時間労働が常態化していることが要因でした。
ストレス対策としてマインドフルネスを導入
管理者は定期的に1on1の面談を設け、若手社員の状況を把握したり業務遂行の悩みを相談できる体制を作るとともに、テレワークにおいてもチームで業務に当たれるよう業務アサインを変更しました。
人事サイドでもストレスケアを目的にマインドフルネスの研修プログラムを導入し、社員それぞれが必要な時にマインドフルネスを実践できるようにしました。
バーンアウトやメンタル不調予防にマインドフルネスを導入したB社
社員のバーンアウト、メンタル不調の課題
以前からテレワークの導入を進めていたB社ですが、コロナ禍でこれまで出社を原則としていた社員についてもテレワークを実施するようになり、社員から「仕事のパフォーマンスが上がらない」「孤立感があり、やる気がおきない」といった声が上がり問題が顕在化しました。
メンタル不調の予防対策としてマインドフルネスを導入
社員の自己管理能力向上や、職場のチームの関係性構築を狙いとして部署ごとにマインドフルネスの研修プログラムを実施しました。
研修では、マインドフルネスの基礎的な考え方を座学で学びながら、身体の反応に注意を向け観察する「ボディスキャン」や「呼吸瞑想」を実践。
講習後もマインドフルネスをサポートするコンテンツを提供し、社員のメンタルヘルスケア対策を後押ししました。
具体的な「マインドフルネスを用いた改善事例」に関してはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
本記事では、職場環境の変化で生まれている課題と対策方法としてのマインドフルネス、その導入事例についてご紹介しました。
また、適切なマネジメントともに行う社員ひとりひとりの心身ケアは、単純な心身のケアにとどまらず、仕事・企業に対する従業員満足度とも大きく関わります。
トータルリワードという概念など重視する企業が増えている「従業員満足度」の詳細は、こちらの記事をご覧ください。