新入社員の受け入れ準備佳境の今考える、新卒世代の『相談力』
MELONの代表 橋本大佑が毎月お届けするコラム。組織のウェルビーイングを高め、生産性向上や離職防止、さらにはパフォーマンス向上を実現するための最新トピックスをご紹介します。
2月は人事担当の皆様にとって、4月入社の新入社員受け入れ準備がいよいよ大詰めを迎える時期かと思います。配属先の最終調整や研修プログラムのブラッシュアップなど、1年で最も神経を使う季節かもしれません。
毎年それぞれの特徴があると言われますが、来年度入社する2026年度入社の世代は、どのような特徴を持っているのでしょうか。
多くが2004年(平成16年)に生まれ、幼少期からスマホやSNSが当たり前に存在した彼らは、Z世代のコア層であり、デジタルネイティブの完成形とも言える世代です。ゆとり教育の最終期に育ち、個性や多様性を尊重する教育を受けてきた彼らは、高い情報収集能力を持ち、社会問題への関心も強く、競争よりも「安定」や「共感」を重視する傾向があります。
しかし、この優れたデジタルリテラシーとさとり世代的な堅実さの裏側で、現場では相談力の欠如とフィードバック耐性の低下という、新たな課題が浮き彫りになっています。
親友・母に並ぶ新たな相談相手の存在

電通が2025年6月に対話型AIを週1回以上使用する全国12~69歳の1000人を対象に行った調査によると、「対話型AI」に感情を共有できる人は、64.9 %にのぼり、相談相手にはAIが「親友」(64.6%)、「母」(62.7%)に次いで3位にランクインしています。また、20代と10代では、他の世代よりも対話型AIへの信頼が厚い傾向にあることも判明しました。
彼らにとって、AIは単なるツールではなく、今や最も身近で、かつ「否定しない」相談相手です。効率(タイパ)を重視する彼らは、何か壁にぶつかった時、隣の先輩に声をかける前にAIに答えを求めます。
AIは即座に回答をくれ、何よりユーザーにとって耳障りの良いことしか言いません。 常に肯定され、最適な1つの解を与えられ続ける環境は一見効率的ですが、そこには成長に不可欠な「耳の痛いフィードバック」や、自分とは異なる価値観との衝突が不足してしまいます。
その結果、上司からの正当な指摘を「攻撃」や「否定」と捉えてしまい、心が折れてしまう。あるいは、周囲が異変を察知する前にAIとだけ対話し、一人で悩み、一人で「辞めます」という結論を出してくる。そんな「レジリエンスの低下」と「サイレントな離職」が、今の現場のリアルなリスクとなっています。
仕事は「工場」ではなく「有機農業」

AIが導き出すのは、過去のデータに基づいた規格品のような正解です。しかし、実際のビジネスは工場で製品を作るのとは違います。
天候や土壌の状態によって育ち方が変わる「有機農業」のように、現場は常に、人間関係や背景といった「有機的で非合理な文脈」で動いています。SNSの共感や横のつながりを大切にする彼らだからこそ、AIには見えない、その場の空気感や相手の感情を理解し、泥臭く納得のいく解を作っていく「ウェットな価値」の重要性を伝えていく必要があります。
組織に必要な「内面的なインフラ」の再構築
今、必要なのは単なるスキル研修だけではないかもしれません。AIを初めとした効率化を求めるツールという「正解」を超えて、人間同士でオリジナルな正解を作るための内面的な土台作りです。
1.新入社員:AIを使いこなす「相談力」と「レジリエンス」
AIの心地よい回答を鵜呑みにせず、「今の自分の状況ではどうすべきか」を自ら問い直すメタ認知力が必要です。また、フィードバックを成長の糧として消化するレジリエンス(心の回復力)を養うことが、長く活躍するための鍵となります。
2.マネジメント層:AIには真似できない「聴く力」効率を重視する部下に対し、上司は「正解」を急ぐのではなく、相手の置かれた状況や感情を深く理解するための、真の聴く力が求められます。AIにはできない細やかな背景理解、時には過去の生々しい失敗すらも示すことで初めて、部下は安心して心を開き、本音の相談ができるようになります。
新年度と共に新しい組織のあり方を考える
価値観が急速にアップデートされるなか、これまで培ってきた育成の「正解」が通用しない場面も増え、人事を担う皆様にとっては戸惑いや難しさを感じることも多いのではないでしょうか。変わりゆく世代への対応は、一筋縄ではいかない挑戦の連続かもしれません。
しかし、あらゆるものが効率化されていく今だからこそ、あえて人間らしい「ウェットな関わり」を大切にする。そんな姿勢を会社として示し続けることが、新入社員にとっても、そして日々現場で彼らと向き合う管理職にとっても、一つの救いになるのではないでしょうか。
MELONは、人事の皆様、そして組織の伴走パートナーとして、時代の変化に合わせた心のマネジメント方法を共に考え、サポートさせていただきます。
多忙を極める2月ですが、新しい世代を迎え入れる準備のなかで、もし迷いや悩みがありましたら、ぜひお気軽にお話しください。貴社の課題に寄り添い、最適な解決策をご一緒に考えさせていただきます。

