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「エンジニアの“使い捨て構造”を変える」株式会社Saitekiが挑む、キャリアと心を守る施策とは?

Saiteki様アイキャッチ

IT業界に根づく「エンジニアを使いたい時だけ使う」という構造は、エンジニアのキャリアや心の健康に大きな影響を及ぼしています。
こうした課題に向き合い、エンジニアの働き方そのものを変えようと奮闘しているのが株式会社Saitekiです。

本記事では、業界構造の問題点を踏まえながら、同社が従業員のセルフマネジメント力向上に取り組む背景や工夫、そして人々が健やかに働き続けるための新たな挑戦についてうかがいました。

導入前の課題

SESの業態は現場エンジニアの声が届きづらく、孤独感や不満が蓄積。キャリア設計やメンタルケアが後回しとなり、離職や心身不調のリスクが高まっていた。

導入のきっかけ

適応障害により離職したエンジニアを目の当たりにし、日常的に心の状態を可視化して主体的にケアできる仕組みの必要性を痛感。受動的なケア方法ではなく、従業員が主体的に習慣化できるマインドフルネスに着目した。

導入の効果

パルスサーベイにより従業員のコンディションを可視化しやすくなり、離れた環境でも状況把握が可能に。また、積極的な周知活動と柔軟な参加設計により、徐々に従業員のセルフケアの習慣化が進み、組織としてのフォロー体制が強化された。

「使いたい時だけ使う」、IT業界の構造的課題

Saiteki様 男性2人がミーティングをしている様子

――まず、Saiteki様の事業内容について教えていただけますでしょうか?
私ども株式会社Saitekiは、SES業界特化SaaSの開発やAI駆動型SI事業を行う会社です。
SESとは、エンジニアを企業に派遣し、技術力を提供する形態のことですが、数多くのSES会社がある中で、Saitekiは商流が浅い案件のみを取り扱うこと、そしてエンジニアが健やかに働き、技術を学び続けられるよう育成していることが強みです。

――SES業界の構造的な「課題」とは、具体的にどのようなものなのでしょう?
SESが活用される理由の一つが、日本特有の「厳しい解雇規制」です。日本では、正社員を雇用すると会社の都合で簡単に解雇できません。そのため、「必要なときだけ人材を確保したい」というニーズから、外部エンジニアを柔軟に活用できるSESが広まりました。
特にIT業界では、案件ごとに必要なスキルや人数が変動するため、雇用リスクを負わずに「使いたい時だけ使う」構造が慣行的に成立していきました。

実はこの「使いたい時だけ使う」発想が、エンジニアを調整可能なコストとして扱う構造を生みやすくしています。なぜならSES企業は案件の継続性が不安定になるため、売上のために案件確保を優先せざるを得ず、エンジニアのキャリア設計が後回しになってしまい、エンジニアの給与も上がりづらくなってしまうのです。

さらに、日本のIT業界は、クライアントが1次請け企業に開発依頼し、さらに2次請け、3次請け……と、開発工程の一部を切り出して発注を重ねる多重下請構造になっています。

この構造により、システムに対して改善要望があったときに要望が最下流のエンジニアに届くまでに時間がかかったり、要望の内容が正しく伝わらず、修正を繰り返して納期が逼迫する……というようにエンジニアが疲弊する労働環境が生まれてしまっています。

――そのような業界構造だと、そこで働く人々は疲弊していきますよね。
エンジニアが営業に伝えた要望が顧客まで届くまでに時間がかかる上、伝言ゲームになって誤解が生じていく。するとエンジニアからは「会社が対応してくれない」との不満が溜まっていきます。そんな状況が続くと、エンジニアは「会社に頼っても無駄だ」と転職を繰り返したり、必要以上に自責した結果、心身を壊してしまうこともあります。

わたしも実際に、適応障害と診断され退職したエンジニアを見てきました。そのエンジニアは、トラブルが起きたときに相談する相手がいなかったため孤独を感じ、急激に心の状態が悪くなってしまったとのこと。気軽に相談しやすい接点を作れなかったことを反省しました。

このような状況を予防するために、日頃からエンジニアの心のケア状況の可視化と介入の仕組みが必要だと再確認しましたね。

「受け身のケア」からの脱却──セルフマネジメントの仕組みをどう作る?

Saiteki様とのミーティングの様子

――そのような状況の中で、Saiteki様でセルフマネジメント力向上の取り組みを行った理由はどこにあったのでしょうか?
企業が従業員に対して提供するメンタルケアの方法として、カウンセリングだと受動的になりがちなので、従業員が主体的に取り組める習慣を作りたいと思ったからです。マインドフルネスであれば従業員の日常に取り入れるきっかけを会社で用意することで、離職率低下と案件稼働中も継続的に従業員をフォローする体制を強化できると期待し、導入を決めました。

また、Saitekiが従業員のメンタルヘルスケアに積極的に取り組む姿勢を対外的に打ち出すこと自体にSES業界にポジティブな影響があると考え、業界改善のためにはマインドフルネス習慣化の取り組みなどのセルフマネジメント力向上のための取り組みが必要不可欠だと考えました。

――従業員の方々に効果的に活用してもらうために、工夫した点はありますか?
効果を実感するにはまず体験してもらう必要があるので、従業員にそれぞれがオンラインでプログラムを視聴してもらうだけでなく一緒に実践できる場を作りました。
さらに、就業時間に差があったり勤務場所がバラバラだったり、というSES特有の状況を踏まえて柔軟に開始時間を設定したこと、また非同期でも参加できるようにも配慮しました。

また、導入初期はSlackでの定期告知、広報動画の共有、チラシ配布など地道な周知を実施し、少しずつ従業員に浸透してからは、強制ではなく自発性を促すコミュニケーションを意識しました。

――MELON法人向けプログラムの「パルスサーベイ」も活用いただいていますが、どのように使っていただいていますか?
従業員に週次でストレス度合いを入力してもらった結果をダッシュボードで簡単に確認できるので、勤務場所が離れていたり、勤務時間がズレていても従業員それぞれの状況を把握しやすくなりました。

エンジニアの働き方を“最適化”する挑戦はつづく

男性がPCの前で座っている(Saiteki様)

――働く人のメンタルヘルスケアやセルフマネジメントに関して、今後やりたいことはありますか?
MELONのプログラムについて、従業員からは好意的な反応がある一方で、私はまだ価値を十分に伝えきれていないと思っています。
これからも対象者の職種特性に合わせて活用事例を伝えるなど、引き続きセルフマネジメント力向上の価値を訴求していきます。

さらに今後は、エンジニアに限らず、システムコンサルタントなど折衝が多く心理的に負荷がかかりやすい職種にも活用を広げていきたいです。忙しく緊張感が高まるシステムリリースの時期などに「一息つける」ツールとして使ってもらえたらいいですよね。

日本では、いまだに精神疾患に対する風当たりが強すぎると思っています。一度適応障害と診断されたとしても、適切な人に適切な方法で頼ることができれば、きっと改善し次第に自己効力感も回復していくと私は信じています。そのための環境づくりに全力を尽くす想いです。

Saitekiは、従業員のメンタルヘルスケア、ひいてはセルフマネジメント力向上に繋がる機会を導入することでキャリアの継続性を支援していきます。
スタートアップでは目の前の課題に偏りがちですが、従業員が長く健やかに働き続けるためのケアを優先すべきだと私は強く感じています。


今回は、株式会社Saiteki様から、従業員のセルフマネジメント促進の重要性についてお話しいただきました。
ケア重視の文化が当たり前になるよう、私たちもMELONも働く環境の“最適化”に挑戦し続けていきます。

MELONの法人プログラムの詳細

研修プログラムバナー

MELONの法人向けプログラムは、マインドフルネスによる「心と感情のセルフケア」で、働く人のウェルビーイングを高め、離職・休職予防と生産性向上を効率的に実現します。

早稲田大学との共同研究で高い効果が実証されたプログラムは、導入企業の1か月後のサーベイで、平均してストレスが19%軽減。さらに、睡眠の質が20.9%、レジリエンスが23.4%、疲労感回復が20.6%それぞれ向上しています。