ニューヨークのメディテーション事情

 今回の旅の1番の目的であるNYのメディテーション(瞑想)事情についてアップデートしたいと思います。日本を出発する前に西海岸と東海岸でどのようなプレーヤーがいるかざっくり見てきましたが、サンフランシスコやロサンゼルスよりNYの方が多くの店やスタジオがあると感じていました。実際に回ってみると、それぞれ昔からある宗教(主に仏教)をベースにしたスタジオは一定数あるのですが、新興系(と私が呼んでいる)の宗教性よりもマインドフルネスやエビデンスを強調したスタジオはNYの方が多かったです。理由は不明ですが、一番考えられるのは環境とストレスレベルなのかもしれません。SFやLAは比較的いつも天気が良く、中心部から近いところにも公園や緑が多くあります。またビーチまでのアクセスも良く、リラックスしやすい環境にあると言えます。一方でNYの特にマンハッタンの中は人口密度が高く、交通量も非常に多いです。心なしか人々の歩くスピードも速く、無意識に私もハイピッチな街の雰囲気に圧倒されてしまいました。また世界のビジネスや金融の中心ですので、働いている人は常に非常に大きなプレッシャーを抱えて競争しているはずです。おそらくこのような理由で心の安らぎや脳のメンテナンスを必要としている人達も多いのではないでしょうか。

 今回見てきた中で特に注目したのはMNDFLとInscapeというスタジオです。MNDFLは従来からある瞑想のトレーニングを、宗教色を薄くし、おしゃれなスタジオでカジュアルに楽しめるというものです。既にマンハッタンに2拠点、ブルックリンに1拠点スタジオを構えており、アプリやネットでのサービスも提供しています。Inscapeは少し変わっていて、スタジオの中に特殊なドームを設けて、その中で録音された音声ガイダンスが流し、照明も内容に合わせて変化させていくものです。こちらの方が没入感はありましたが、通常の瞑想というよりや軽いトランス状態に入るための仕組みという印象を受けました。(セッションの前に大麻から抽出したCBDオイルというサプリメントを摂取するオプションもあります。)

 これらのスタジオを見学し、体験してきて感じたポイントはいくつかあるので簡単にまとめてみます。まず客層ですが、MNDFLに関しては80〜90%が女性でした。店の雰囲気やブランドも柔らかいイメージで、全体的に明るく観葉植物や木製の設備が多く自然を感じるような内装になっています。自分が参加した3セッションの稼働率は20~30%でしたが、おそらく時間帯や曜日によってかなり変わってくると思われます。プログラムはBreath(呼吸法)、Emotion(感情)、Sleep(睡眠)などニーズに応じて10種類程度が用意されており、それぞれに得意とする分野を持つインストラクターが担当します。どのインストラクターも特徴があるので、お客さんは自分と相性の良い先生を選ぶのではないでしょうか。スタジオをオープンして3年半ほど経つようですが、自分が参加したセッションでも初めて参加するという方が数名はいました。Inscapeの方は若干男性が多く、店の雰囲気はMNDFLよりは暗めでミステリアスな印象を受けました。プログラムは音声ガイダンスですが、設備などを案内してくれる男性と少し話すことができました。平均的なセッションの参加人数は15名程度と言っていましたが、自分が参加した2回のセッションではMNDFLと同じく20~30%という印象でした。お客さんでリピートをする人の中には「ナチュラル・ハイ」(アルコールやドラッグを用いずに、意識が高揚する状態)にハマっている人もいるそうです。両者ともターゲット顧客が明確に分かれており、実際に来ている客層も異なっていたので面白いと感じました。

 価格帯は両方とも1回30~45分のセッションで20~30ドル程度、1ヶ月無制限の会員料金は$150~170ドルです。全体的に物価が高いマンハッタンの中にしては比較的安く感じられましたが、稼働率があまり高くないので、これ以上価格を上げることは難しそうです。どちらも広めのラウンジスペースを設けてあり、お茶などを自由に飲むことができます。個人的にはMNDFLのラウンジスペースは開放感や落ち着ける雰囲気があるので好きでした。メディテーションをビジネスとして考えた時のボトルネックになるのが、顧客体験の中にいかに付加価値を感じて貰えるかという部分です。基本的には脳の筋トレですので、効果を明確に感じられるようになるまで数週間は必要だと思いますが、そこまで継続する前に諦めてしまう人が多い可能性があります。例えば、ヨガであれば終わった後に身体がすっきりしたという感覚を持って貰いやすいと思いますが、瞑想はその感覚が最初は薄いのではないでしょうか。そのため継続して貰えるための仕掛け作りが必要なのかもしれません。Inscapeは没入感や非日常性を感じられる仕組みを付加価値にしようとしていると感じた一方で、MNDFLはスタイリッシュなカフェのような落ち着ける空間を付加価値として提供しようとしていると感じました。

 私がゴールに掲げている「メディテーション文化を創る」という価値観を前提とすると、「瞑想はいつでも、どこでも、だれでも行える脳の休息方法」でなければならないと考えています。従って究極的には特別な設備など必要ないのかもしれません。一方で日本ではまだほとんどの人は瞑想を日常的には行っていないのが現状です。この理想と現実をいかに埋めていくかが私たちに課せられたミッションと言えます。まだ誰も正解を知らない世界に飛び込んでいくことになりますが、これこそやり甲斐のあるチャレンジと感じています。

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