“休む”を戦略に。疲弊のループを断ち切る方法|MELON CEOコラム
MELONの代表取締役CEO・橋本大佑が毎月お届けするコラム。組織のウェルビーイングを高め、生産性向上や離職防止、さらにはパフォーマンス向上を実現するための最新トピックスをご紹介します。
元気かと聞かれると、つい「疲れている」と答えてしまう。にもかかわらず、今期も結局有給を取りきれなかった。そんなビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
トレンド化する「休息」と蔓延する隠れ疲労
疲労が慢性化する状況の中、「休息」という言葉への関心は確実に高まっています。Google トレンドで見ても、この数年で注目度は上昇し、直近1〜2年は過去5年間で最も高い水準を示しています。
もちろん、検索する理由は人によってさまざまです。ただ、それでも「休むこと」自体が、いま多くの人の心に引っかかるテーマになっているのは間違いないでしょう。本来なら自然に得られるはずの“休む時間”が、特別な意味を帯び始めているように思えます。

背景には、日本社会特有の慢性的な疲労があります。10万人に調査をした「日本の疲労状況2025」(※1)では、男性の76.9%、女性80.2%が疲労を自覚していると回答しており疲労が日常化している実態が浮かび上がります。
休めない日本人が陥る人手不足の悪循環
なぜ私たちは、こんなにも休むことが難しいのでしょうか。
人手不足の中で「自分が休むと周囲に迷惑がかかるのでは」という罪悪感。さらに日本人に根強い「頑張ることが美徳」という意識。この二つが、私たちから休息の優先順位を奪ってしまいます。さらに、テレワークやフレックスなど柔軟な働き方の普及が実は、仕事と生活の境界を曖昧にし、心身を完全に休ませる時間をますます減少させているとも言えます。
このままでは、個人はもちろん、組織にも深刻な悪循環を生みかねません。
十分に休めないと、
・ 疲労が蓄積し、生産性が低下
・ 職場の雰囲気やコミュニケーションが悪化
・離職や休職者が増える
・さらに人手不足が進む
→ ますます休めない。
「人が足りないから休めない」と思っていても、実は「休まないから人が足りなくなる」構造に陥っているのです。
休むために働く。生産性を上げる逆転のアイデア
ではどうすればよいか。
重要なのは「休息」をサボりではなく「戦略」として捉え直すことです。短期的な成果のために働き詰めになるのではなく、「絶対に休む時間を作る」ことを目的に据え、業務の生産性を上げる方法を模索し続ける。休むことによって集中力が高まり、結果として生産性も改善する。そんな好循環を意識的につくり出す必要があります。デンマークの働き方を紹介した『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』には、その実例が示されています。
また、休息のスタイルは人によって異なります。短い昼寝や軽い運動、趣味への没頭など、それぞれが自分に合った「生産性の上がる休息法」を見つけることも欠かせません。
休息は一人ひとりが自分の目標やキャリアを俯瞰する時間を取ることにもつながり、バーンアウトのリスクも減らせます。もし最近、「疲れている」「パフォーマンスが上がらない」という兆候を感じているなら、それは“休息への意識”を見直すべきサインかもしれません。
MELONでは、科学的手法に基づいた、脳と心を休めるためのオンラインプログラムや研修をご用意しています。戦略的に「休む」習慣を根づかせ、パフォーマンスを底上げする第一歩を始めてみませんか。
もし今、「届けたい人に届かない」と感じているなら、それは組織に変化を起こす絶好のタイミングかもしれません。
※1 一般社団法人 日本リカバリー協会「日本の疲労状況2025」

