「マインドフルネスとは一生、親友のようにつきあっていきたい」MELONインストラクターインタビュー~湧川絵模さん~
手に職を付けるためにヨガインストラクターへの道を選び、その後マインドフルネスに出会った湧川絵模 (わくがわ・えも) さん (以下、絵模さん) 。
マインドフルネス瞑想を通じて初めて「私は自分自身を大切にしていなかった」と気がついたという絵模さんに、これまでとこれからについての思いを聞きました。
湧川絵模
一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師、全米ヨガアライアンスRYT200修了
手に職を付けるためにヨガインストラクターに
もともとは、生まれ育った沖縄でアパレルの販売員だったという絵模さん。仕事もお酒も大好きで、若者らしい不規則な生活を送っていました。20代の終わりの頃、だんだん体型維持について気になるようになり、運動のために近所のヨガスタジオに通い始めました。
「激しい運動が苦手だったので、ヨガなら大丈夫かなと思って始めたんです。でも、ヨガって想像より動くなあと思いましたけれど(笑)」
身体を動かすことを目的に通い始めたヨガでしたが、最後に行うシャバアーサナ(屍のポーズ)がたまらなく心地良く感じて、ヨガは気持ちいい、という感覚を深めていったといいます。
転機が訪れたのは30歳の時。務めていた店が入っているファッションビルが閉鎖になることが決まったのです。次の仕事をどうしよう、と考えていた時に、母親が「何か手に職を付けてはどうかしら」と勧めてくれました。
絵模さんの母親は、オーダーメイドで服を作るデザイナー兼職人。自分の技術で食べていくことの喜びと尊さをさりげなく教えてくれたのです。
新鮮に感じたマインドフルネス瞑想との出会い
手に職を付けるのだったら、ヨガにしよう。そう決めた絵模さんは、1年間、契約の仕事をしながらヨガのインストラクターになるためのレッスンを受けました。
そして、無事に大手ヨガスタジオで職を得ます。自分自身でこの道、と決めたヨガの世界で、必死にせわしなく働く日々。でもそこは厳しい「評価」にさらされる場所でもありました。
「お客様から毎日、評価されるのでプレッシャーを感じていました。心を穏やかに保つために取り入れたのが瞑想でした。ヨガの瞑想は頭(心)を無にすることが目的ですが、とても難しく感じて続けることができず、勝手に瞑想は自分には向いていないとジャッジをしていました。インストラクターである自分が瞑想できてないじゃん、と自分を責めてもいました」
無理がたたって、いったん退職することを決意。その時に出会ったのが吉田マサオ先生のマインドフルネス瞑想でした。
「こんな瞑想があるんだ!と知って驚きました。マインドフルネス瞑想は、無になることを目指すのではなく、今の感情や思いを観察するという考え方が、とても新鮮だったんです」
すぐにマインドフルネス瞑想のインストラクターになるためのレッスンを受けることを決心し、石垣島へと向かいました。
自分自身に優しい目を向けていなかった
合宿で楽しく学んでいた絵模さん。ところが最終日、皆の前で行う誘導のロールプレイングの時に、緊張で声が出なくなってしまいます。
目の前は真っ白。でも「こういう時は呼吸に戻るんだ」と意識して「今ここ」に戻ってくることができました。その瞬間、見守ってくれていた周囲の仲間達の「大丈夫だよ」というあたたかい雰囲気に包まれ、「私は、自分自身にこういう優しい目を向けていなかった…」と初めて気がついたのだと言います。
「ヨガのインストラクターとしてちゃんとしなくちゃ、がんばらなきゃとと思いすぎていたんでしょうね。これをきっかけに、これからは自分に負担をかけない生き方をしたい、好きなことをとことんやろうと決めました」
それからは、ヨガとマインドフルネス、そして心身に良い食に関わる仕事を故郷の沖縄で続けています。
「今は、がんばりすぎず、みなさんよりちょっとだけマインドフルネスを先に知ったので、おすそ分けしますねという感覚でインストラクターを続けています。とても充実しています」と、柔らかな笑顔で話してくれました。
これからは自分自身に寄り添っていきたい
絵模さんは、無理しなくてもいいんだよ、と伝えても、がんばっている顔をしている人が多いと感じています。でも、そんな人も、マインドフルネス瞑想を続けるうちに、穏やかな気持ちで過ごせる日が増えましたと言ってくれるのがとても嬉しいです。
「毎日、みなさんと一緒に瞑想を楽しんでいるという感じがしています。受講した方からも、共感できます、という言葉をかけてもらえることが多くて、とてもうれしいです」
絵模さんにとって、マインドフルネスとはずっと学び続けるもの。それは、父親の影響もあります。
「一生学び続けなさいと言葉をくれた父には感謝しています。後から知ったたのですが、父もずっと瞑想を実践していたみたいなんです。あれ、お父さんも瞑想してる!?しかも立ちながらするタイプなんだ‼︎と驚きました」
30代になってから、両親や兄弟と素直に話せることが多くなったという絵模さん。親子なので、時にはつい、きつい言葉を言ってしまうこともありますが、今では「あんなことは言いたくなかったんだ」と気がついて、すぐに電話をかけて謝ることができるようになりました。
家族を始めとして、出会ってきた人、見守ってきてくれた人との大切なご縁があって、今があるのだなと感じており、感謝が尽きないといいます。これからは、自分自身に寄り添って、自分だけのマインドフルネスを見つけていこうと考えています。
「私にとってマインドフルネスは、一生、親友のようにつきあっていきたいと思う存在になったんです」