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「マインドフルネスは、ありのままの自分でいていいんだと教えてくれた」 MELONインストラクターインタビュー 〜古町 奏さん〜

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子どもの頃から虚弱体質でかんしゃく持ち。将来がうまく思い描けず苦しみを抱えたまま生きる中でヨガを始め、瞑想を深める中でマインドフルネスに出会ったという古町 奏(ふるまち そう)さん。

「本当に大事なものは何かということに気づかせてくれるのがマインドフルネスだった」という奏さんに、これまでのことと現在地を聞きました。

古町 奏(ふるまち そう)
企業勤めを経てマインドフルネス/ヨガインストラクター、パーソナルトレーナーに。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会認定講師(吉田マサオ先生)、マインドフルネスヨガ指導者(中島正明先生)、マインドフルネススペシャリスト(精神科医・禅僧 川野泰周先生)

感情を押し殺して生きていこうと決めた学生時代

「僕、トランスジェンダーなんですよ。加えて小さい頃から身体は弱くていつも体調が悪い。イライラして家族ともうまくコミュニケーションが取れない。学生の頃は悩みが多くストレスも強くて、自分は将来どうやって生きていったらいいんだろうと思っていました」という奏さん。

親にも話せず、自分自身がトランスジェンダーという言葉もまだ知らなかった頃。周囲が将来のことを話し始める時期に、自分だけがそのスタート地点にすら立てていない。

そう絶望し、死んでしまった方がいいんじゃないかとすら思い詰めたことがありました。

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「でも、怖くてとても死ぬなんてことはできなかったんです。ということは、苦しみを抱えたまま生きていかなくちゃいけないということですよね。もう悩むのに疲れすぎて、トランスジェンダーである自分をなかったことにしてしまおうと、女性という体に合わせて生きることにしました」

自分の内側にある思いはすべて封印し、感情も押し殺して「こうすればきっと嫌われないだろう」という理屈を頭の中で組み立てて人生を歩いて行こうと決め、大学時代、社会人時代を過ごしました。

しかし、そのストレスはだんだん奏さんの中に積もっていきます。

ヨガ仲間に打ち明け話を受け止めてもらえた

大学卒業後に、山梨県の宿泊施設に就職。厨房で働き、そのハードさに身体が悲鳴を上げていたとき、職場の仲間がヨガを勧めてくれました。

「会社の寮の近くの温泉施設で、月に1〜2回ヨガのレッスンを受けて温泉に入っていました。ヨガってもともと何なのかよくわからないまま始めたんですけれど、自分の心が落ち着いてきて、あれ、なんだか少し安定してきたなと感じました」

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ちょうど、自分がトランスジェンダーであるということと向き合おうと決心するきっかけがあり、仕事を辞めて山梨から東京の実家に帰ってくることになりました。それでもヨガを続けたいと思い、東京で本格的にクラスを受け始めます。

転機は2011年。

もっとヨガを深めてみたいと受けたティーチャーズトレーニングの時、大勢の仲間の前で初めて自分がトランスジェンダーであると打ち明けることができました。

「40人くらいいたかな。どんな反応をされるんだろうとすごく怖かったんですけれど、ああ、そうだったんだねとみんな温かく受け入れてくれました。ちょうど2011年の東日本大震災の直後だったので、とても苦しい事情を抱えている人もいらっしゃいました。僕だけじゃなく、みんなが自分の人生を一生懸命に生きているんだなということが、この時よくわかったんです」

この出来事がとても支えになっているという奏さん。
ただ、ヨガのインストラクターとして独立するにはまだ心のハードルが高く、会社員としての生活と、合間に少数の人にヨガを教えるという生活を続けていくことになりました。

マインドフルネス瞑想との出会いと救い

奏さんがマインドフルネスに出会ったのは、個人事業主として独立した2017年のことです。

「その前の年にホルモン注射を打って男性として生きていくことを決心したんですけれど、転職先の仕事がハードでまたもや身体を壊し、体力をつけるためにパーソナルトレーニングに通い始めたんです。測ってみたら、体脂肪率がなんと3%しかなかった。疲れるはずですよね。そこで、食事を変えて、筋肉をつけていくというトレーニングを始め、肩幅が出てきたり胸板が厚くなってきたりして自信がついてきました」

そしてヨガとトレーニングのティーチングを仕事にしていきたいという気持ちが芽生え、独立を決心。同時期、ヨガの先輩でもあった吉田マサオ先生の発信するマインドフルネスの情報を得るうち、ピンと来ました。

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「それまではヨガを通して瞑想してきたんですけれど、改めてマインドフルネス瞑想と向き合ってみて、ああ、瞑想ってこういうことだったのかと合点がいきました。その頃は独立してやっていくことへの不安でいっぱいだったんですけれど、瞑想すると、今、この瞬間に意識が向いて悩みからふっと離れるわけです。過去と未来から離れて、今に戻ってきてすごく落ち着きますし、深くリラックスできるんですよね」

マインドフルネスに救われるという経験をして、自分も教える立場になりたいと、吉田先生のもとでマインドフルネス瞑想協会認定講師の資格を取得。
それから、マインドフルネスとヨガのインストラクター、パーソナルトレーナーという3つの柱で活動しています。

「今」に帰ってそこから歩きだそう

奏さんは、マインドフルネスのレッスンをやっていて「みんなと同じようにやっていれば安心」という傾向が強い人が多いことが気になっています。

「先生教えてください、先生と同じようにやりますという人が多いんです。みなさん真面目だから、ついがんばっちゃうんですよ。でも、合わせなくていいんです。本当に自分が動きたいように動くと心地よさがまったく違いますし、瞑想の中に深く入っていけるので、その感覚をぜひ味わってほしいんです」

自分がやりたくないんだったらこのポーズはすっ飛ばそう、くらいの気楽さでいい、と奏さんは言います。

「僕たちは、社会生活の中でより良くなろう、成果を挙げようと、向上していくのを常としています。でもマインドフルネスが目指すのは、ただ感じること。上手にやろうとしなくていい。もっと上手になろう、ということは今の自分じゃない誰かになろうとしているということですよね。その前に、まず自分でいましょうということを伝えたいです」

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「今」という土台があるからこそ先に進んでいけるのであって、「今」をおろそかにしていては未来はない、と奏さん。

「頭があっちこっちにさまよって、未来への不安や過去への後悔に振り回されているという人は多いと思います。でも、頭が未来や過去に行っている間は、今のことができていないですよね? だから、今に帰ってきましょう、そしてそこから歩き出していきましょうね、というのがマインドフルネスです。僕自身も、今でもいつも自分にそう言い聞かせているんですけれど」