AIに「使われる」か、「使いこなす」か〜今私たちが鍛えるべきメタ認知の力〜
MELONの代表 橋本大佑が毎月お届けするコラム。組織のウェルビーイングを高め、生産性向上や離職防止、さらにはパフォーマンス向上を実現するための最新トピックスをご紹介します。
この数年、AIの進化は私たちの生活や働き方を劇的に変えました。あらゆる場面で効率化が進み、AIはもはや切っても切り離せない人間のパートナーとなっています。
しかし、テクノロジーのパワーが強大になればなるほど、スマホ依存やSNS依存と同じように、その強力な副作用も無視できないものになっています。2025年には、生成AIへの過度な依存が脳の活動を停滞させ、集中力や意欲の低下を招くという研究結果(米MIT Media Lab等*)も報告されました。
私たちは今、無意識のうちにAIに思考を委ね、「自分で考えること」を放棄してはいないでしょうか。 今回はAI時代の人間にとって今最も必要な「脳の力」について考えたいと思います。
無意識な「選択」に危機感を持つ
AIが出した回答を疑わず、ただコピー&ペーストする。これは一見効率的に見えますが、自分の頭を介さない思考の外部化は、人間特有の思考力や、一次情報を感じる力をじわじわと奪っていきます。
テクノロジーの発展は決して悪ではありません。しかし、便利なツールほど依存性が高く、私たちの自律性を奪うリスクをはらんでいます。
「運動を習慣にしよう」と決意しても、階段とエスカレーターを前にすると無意識に楽な方を選択してしまうように、思考もまた知らず知らずのうちに手軽な方へ流されてしまうのです。
今、私たちに求められているのは、自分が今AIに依存しすぎていないか、ツールを自律的に選べているかを客観視する「メタ認知力」です。
AIの役割を再認識する
AIとの正しい共存とは、AIを「全ての答えをくれる魔法の道具」ではなく、「自分を高めてくれる優秀な先生」として扱うことです。
AIの出す答えは、一見完璧で、疑うことを忘れさせてしまいます。しかし、大切なのはその見栄えの良さに惑わされないことです。 一歩踏み込んで「本当にそうか?」と議論を交わし、納得がいくまで考え抜く。AIが出す答えを鵜呑みにせず、あくまで情報の選択肢を広げてくれるサポート役として位置付け「自ら考えた上で選択したものである」という認識を常に持っているべきです。
このように、自分の意思決定を無意識から意識的な選択へと引き戻すことこそが、メタ認知力の本質に他なりません。
「一次情報を感じる力」は奪われない

どれほどAIが進化し、精巧なレポートを書けるようになっても、現実に触れて「何か」を感じ、意味付けできるのは人間だけです。
大切なのは、AIがやるべきことと、人間がやるべきことを明確に分け、その役割分担を自分自身でコントロールすることです。
膨大な処理や情報整理はAIに任せればいい。しかし、その情報や自らが感じ取った情報を掛け合わせ、何を形にするのかを決めるのは、私たち人間にしかできない役割です。
便利なテクノロジーが発展し、何でも自動で進んでいく時代だからこそ、私たちはあえて立ち止まり、自らの「考える力」を最大限に発揮するべきではないでしょうか。
AIと人間のそれぞれの良さを引き出し、主体的に乗りこなしていく。テクノロジーに依存するのではなく、それらを高次元で使いこなすための「内面的な土台」を整える力が問われています。
MELONでは、最新の脳科学の知見に基づき、AI時代に不可欠な「メタ認知力」や「セルフマネジメント力」を育むプログラムを提供しています。
「便利さの中で、かえって集中力が続かなくなった」「自分らしい選択ができているか不安だ」といった、現代ならではの心身の課題に対し、私たちはマインドフルネスを通じて伴走します。
ご自身の、そして組織の「考える力」を取り戻したいと感じていたら、ぜひ一度お気軽にお話しください。
*Kosmyna,Nataliya et al., “Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task”
ご相談はこちらから
