法人

悪化し続けている、働く人のメンタルヘルス。企業が「セルフケア」の効果を高めるには?

カウンセリングを受ける男性の手元

2015年12月より、ストレスチェックが労働者50人以上の事業場に義務付けられました。これによりストレスチェックの受検率は上がったものの、メンタルヘルスに問題を抱える人は増え続け、メンタルヘルスに関わる労災請求も増え続けています。

メンタルヘルスの未然防止のための代表的な方法である「セルフケア」ですが、多くの企業では研修だけに留まっている場合が多いといいます。今回の記事では株式会社Melonが過去に実施した企業人事向けオンラインセミナーの内容を元に、企業のメンタルヘルス対策の実態と、セルフケアの効果を高めるために企業にとって必要な取り組み方について紹介していきます。

従業員の定着率が課題の人事担当の方、企業の健康経営担当の方などはぜひご覧ください。

企業にとってメンタルヘルス対策が必要な理由

厚生労働省のメンタルヘルス患者調査の概況によると、過去20〜30年でメンタル疾患による患者の数は増え続け、WHOも将来的には疾患の中でメンタルヘルス疾患が最も多くなるのではないかと予測しているといいます。社会的なメンタルヘルスの悪化を受け、メンタルヘルスに関わる労災請求件数もうなぎ登りに上がり続けています。

企業にとってメンタルヘルス対策が必要な大きな理由として、以下の4点が挙げられます。

1.個人の生産性の低下

アブセンティーイズム(健康問題による仕事の欠勤)とプレゼンティーイズム(欠勤には至っていないものの、健康問題が理由で生産性が低下している状態)はWHOによって提唱された、健康問題に起因したパフォーマンスの損失を表す指標です。いずれも従業員が本来持っている力を出すことができず、会社全体の生産性の低下に繋がります。

2.周囲への影響

例えばメンタルを崩した人のサポートを同僚が行わなければならない、面談や仕事のアサインを変えるなど、上司のやるべき作業が増えるなど、同僚・上司の負担増に繋がります。

3.人件費のコスト増

以前と比べて採用が非常に厳しくなっているため、メンタルヘルス不調による休職・離職者が増えるほど採用費用や研修、教育コストがかかります。ある調査によると退職理由にストレスを上げる人の割合は全体の8割を占めるといいます。

4.労務リスク

労災認定の可能性や訴訟に発展してしまうようなケースも多々あります。

5.企業イメージへの影響

メディア、SNS、社員口コミサイトなどを通して会社外に情報が拡散し、ブラック企業のような口コミが広がることで採用、売上、ブランドイメージへ悪影響が出ることも。

このような理由から、企業にとってメンタルヘルス対策は欠かせないものになってきています。

ストレスチェック義務化以降もメンタルヘルスの状況は悪化。「セルフケア」がより重要になってきている

カウンセリングを受ける男性の手元

2015年12月より、労働者が50人以上の事業場にストレスチェックが義務付けられました。厚生労働省のデータによると、ストレスチェックの義務化後、従業員1000名以上の事業所では98%がストレスチェックを実施しています。ストレスチェックの義務化によりある程度ストレスの状態が見える化できるようになってきましたが、厚生労働省の調査によると、ストレス解消に繋がったと感じている従業員の割合はわずか3%に留まり、ストレスチェック義務化以降もメンタルヘルスの状況は悪化し続けています。

また、ストレスチェックにより高ストレスと判定されても、高ストレス者(全体の5〜20%)が産業医面談まで進むケースはごく稀だといいます。理由のひとつとして、従業員が自ら会社側に自分が高ストレスであることを申告しなければならないことが挙げられます。ストレスの有無と人事評価は結びつかないというルールがあったとしても、仕事を続けていく上で不利になるのではないか?という不安があることで、産業医面談まで申し出る人は非常に少ないことが実態です。

ビジネスパーソンとしてパフォーマンスを出していくために、体のケアと同じくらい心のケアも大事だと考える人はまだ少なく、ストレスが溜まっていても「自分は心が弱くないからメンタルケアは必要ない」と思い込んでいる人も非常に多いようです。

人事担当者に相談に来るときにはすでに休職、退職寸前であることも多いといいます。自分自身でケアをすることができたらメンタルヘルスの重症化を防ぐことができるため、メンタルヘルス対策の一次予防であるセルフケアがより一層重要になってきており、厚生労働省もセルフケアを非常に重要視しています。

研修止まりになりがちな「セルフケア」。効果を出すために必要なこととは?

ストレッチをする従業員たち

セルフケアを推奨したり、メンタルヘルス研修を行ってもなかなか効果が見えない、産業医・カウンセラーとの面談が活用されていないという課題を持つ企業がとても多いといいます。研修だけに留まりがちなセルフケアを従業員の行動変容に繋げるために必要なこととして、大きく以下の2点が挙げられます。

・企業側が率先して継続的にサポートしていく仕組み

ダイエットと同じように、一人で継続的にやり続けることはなかなか難しいもの。例えば朝のラジオ体操が社内で習慣化されているのであれば、その後に短めのマインドフルネス瞑想をセットで行うなど、継続できる仕組みを作ることがとても大切です。

・自分に合った選択肢を選べるように複数のメニューを用意すること

こちらの記事でも紹介していますが、人によって合う合わないもあるため、何かひとつの方法を全員に強制させるのではなく、例えばマインドフルネス、運動・エクササイズ、ジャーナリング、認知行動療法、睡眠改善など、複数の実践型プログラムを用意して、従業員それぞれが選べる状態を常に作っておくとより効果的です。

このような包括的な取り組みによって、組織でウェルビーイングを高めていくことができるはずです。

「心を整えていくことは決して特別なことではなくどんな人にも必要なことであり、目に見えないことだからこそ、体重計に乗るように定期的にチェックすることが大事である」という意識を広げていくことも、これからの企業に求められていることではないでしょうか?


従業員セルフケアにマインドフルネスを取り入れるなら「MELONオンライン」法人定額プランがおすすめ

従業員のセルフケアメニューのひとつとして、マインドフルネスの導入は幅広い解決に効果的です。MELONではマインドフルネスの法人プログラムをご用意しています。

医療機関にて復職リワークプログラムとして提供してきたノウハウを活かし、月額定額で従業員の方のストレスケアを行い、高ストレス者の対策、要注意者のメンタルケア予防、プレゼンティーイズムの改善に寄与します。(早稲田大学との研究で効果を実証

企業の中では高ストレス者に産業医やカウンセリングを紹介する対処療法的な対策が主となっていますが、産業医やカウンセリングが有効に活用されていないのが現状です。

そこで、MELONのプログラムをご提供することで、月額定額の低価格で確実に従業員の方のストレスをケアし、高ストレス者、休職を余儀なくされてしまう方の予防から改善まで対応することができます。

資料ダウンロード