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 7月25日に初のお寺でのマインドフルネス瞑想ワークショップを開催しました。今回の企画は「お寺ステイ」を運営する株式会社シェアウィング様とのコラボイベントで、日蓮宗 松流山 正傳寺様の「Temple Hotel正伝寺」のオープンを記念して、特別にお寺の本堂を使用させて頂きました。マインドフルネスのルーツである仏教寺院でイベントを開催できたことは、個人的にとても感慨深く、また瞑想時の参加者の皆さまの雰囲気も凛としたものがあり、心に残るイベントとなりました。

 弊社はScientific Meditation Studio(科学的な瞑想スタジオ)ということを謳ってはおりますが、科学でまだ解明されていない心のメカニズムや、マインドフルネスに含まれている仏教のエッセンスとなる価値観も大切にしています。本来お寺は、お坊さんが修行をしたり、仏の教えを説いたり、地元の人々が悩み事を相談したりする機能を持っていました。Melonが広げようとしている「心と向き合う場」というコンセプトも、宗教色はないものの現代版のお寺のようなものと言えるかもしれません。世界中の寺院は、それぞれ宗教的な違いはありますが、そこに一歩踏み込むと日常と切り離され、真摯に自分の心と向き合えるような空間が漂っています。このような場を、この時代にも日常の中に作っていけたらと考えています。

 突然ですが「サ活」という言葉をご存知でしょうか?この数年でちょくちょく耳にするようになった言葉ですが、これが意味するのは「サウナ活動」です。今さらサウナ?と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、確かに私の周りでもサ活に打ち込む友人が徐々に増えてきているような気がします。このようにサ活に打ち込んでいる人々は「サウナー」と呼ばれており、かく言う私も実はにわかサウナーの一人です。サウナーを虜にしているのは、サウナと水風呂を交互に繰り返していくうちにに訪れる「整い」の境地。正しくサ活を完了すると「整った」状態に心身を持っていけると言われています。

 その効果やメカニズムについて調べてみると、科学的根拠がどこまであるのか不明なものの、交互浴によって自律神経が正常化されるということや、血行の改善による老廃物の除去、HSP(ヒートショックプロテイン)というタンパク質が生まれることにより細胞の再生を活性化するなどという解説がなされています。このようにサウナの効果については、主に身体的な影響が注目されているようです。

 ここからは私個人の感想なのですが、実はサウナーを虜にしている「整った」状態というのはマインドフルネス瞑想後の状態に近いのではないかなと感じています。というのは、サウナにおける交互浴は極端に高い室温のサウナと極端に低い水風呂を行き来するため、否が応でもその皮膚感覚や身体の状態に意識が集中するからです。個人的な感覚では、その間にゆっくり考え事をする余裕はほとんどありません。サ活中は意識が思考ではなく、感覚に向けて研ぎ澄まされていると言えるのではないでしょうか。結果として、30分のサ活は30分のマインドフルネス瞑想に近い効果をもたらしている可能性はありそうです。

 そこで私が提案したいのは「メ活」です。サウナに行かずとも、いつでも、どこでも、だれでも手に入れることができる「整い」。それは「メディテーション活動」を通じて得ることができます。近年、見直されているサウナの効果と同じように、瞑想の効果も再発見されてきています。「メ活」してみませんか?

 私が大学に入学し初めて経済学入門のクラスで習った公式の一つにこんなものがありました。

  Y=f(K, L)

 Yは生産高で世の中に生み出される付加価値、Kは資本ストック、Lは労働力とされ、fは関数です。経済学では経済活動を単純な数式モデルに当てはめて考えるので、この数式が意味していることは、お金と人間の労働力によって世の中に付加価値が生み出されるということです。当時は分かったような気になっていましたが、よく考えるとこの数式から抜け漏れている要素はたくさんありそうです。

 近年、その中でも経営理論の中で注目されるようになってきているのが人間の心です。例えば、マインドフルネスをはじめ、労働環境における様々な革新的取り組みを行っているGoogle社が数年前から提唱している新しい概念があります。それは「心理的安全性」と呼ばれ、簡単に言えば組織の中で不安や恥ずかしさを感じることなくリスクある行動を取ることができるかということです。最近注目を浴びている「ティール組織」においても心理的安全性は重要な要素と考えられているようです。組織の中でお互いをチームの一員として認め合い、各メンバーが自由に意見を出し、チャレンジができる雰囲気を醸成できるかがチームリーダーや経営者に求められています。

 また次のようなことを提唱する研究者も出てきました。

米カリフォルニア大のソニア・リュボミアスキー教授によると、「自分は幸福だ」と感じている人はそうでない人より仕事の生産性が31%高く創造性は3倍になることが分かった。幸福心理学の第一人者である同教授は「成功が幸福を招くのではない。幸福(だと感じること)が成功を生むのだ」とも指摘する。

日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46719530Y9A620C1TCR000/

 成功するから幸せになるのではなく幸せな人が成功するという、今までの考え方とは因果関係が真逆の考え方です。この理論に基づけば、組織のリーダーはメンバーの幸福度を高めることにより、より高いパフォーマンスを得られることになります。逆に言えば、不安や悲しみを心に抱えているメンバーが多い組織は悪循環に陥っていきそうです。

 このように人間の心とビジネスや経営の世界は次第に距離が縮まりつつあります。人間を単純な労働力として扱い、会社の利益を最大化させようとする経営スタイルは今後しだいに淘汰されていくことになるのでしょう。(既にブラック企業という言葉が普及してますが。)もしかしたら冒頭に挙げた数式は次のように変えていかないといけないのかもしれません。

  Y=f(K, L, M)

もちろんMはマインド(心)です!

 2019年2月にニューヨークタイムズにある記事が掲載されました。それはイギリスの370の学校で、マインドフルネスを含むメンタルヘルスを向上させる取り組みが実験的に行われることが決まったという内容です。現時点ではあくまで実験的な取り組みですが、学校で子供向けにマインドフルネス瞑想、リラクゼーション法、呼吸法などを授業の一環として教え、どのような方法に効果があるかを調査するようです。

 この政策が決定された背景には、イギリスの5歳から19歳までの青少年のうち、8人に1人が何らかの精神的な不調を抱えているという事実があります。またその数字は過去10年で徐々に増加傾向にあるようです。Action for Childrenという慈善団体の代表者によると、現在の状況は「子供の精神的健康の危機」(children’s mental health crisis)であり、彼らは子供や10代の若者がますます複雑化する現代の世界(学校でのプレッシャー、いじめ、家庭問題、SNSへの依存など)にどのように向き合うべきか悩みを抱えているのを目の当たりにしているとのことです。

 日本でも状況は似通っているようです。昨年、文部科学省によって発表された小中学校での不登校児数は14万人と前年比1万人増加しました。子供の数自体は減少傾向にあるので、不登校児数の全生徒に占める割合はそれよりも大きく増加していることになります。この理由については専門家の間でも意見が割れており、「複合要因」という言葉で片付けられてしまいそうですが、何らかの精神的不調を一定割合の子供が感じており、その割合が増加している可能性はありそうです。日本でもSNSやいじめによる問題は日々ニュースになっており、この原因究明と予防は喫緊の課題となっています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiishiko/20181029-00101956/

 一方でストレスを感じている子供がどのようにそれを解消できるのか、教育の現場ではその方法を教えているのでしょうか?筆者の不勉強かもしれないですが、精神的な不調を訴える子供に対して具体的な解決策を学校で教えているという事実は聞いたことがありません。もしかしたら学校側ではそれを家庭で解決すべきことと捉えているのかもしれませんが、家庭でもどのように対応すべきか悩んでいることでしょう。イギリスでの取り組みに一定の効果が認められるのであれば、日本の教育機関や家庭でも積極的に取り入れていくことが期待されます。

 6月6日と6月12日に都内でワークショップを開催しました。今回のイベントでは初めてマインドフルネス瞑想を学ばれる方を対象に、マインドフルネス瞑想の効果や歴史的な背景、なぜ今マインドフルネス瞑想が広がり始めているのかなど簡単なレクチャーを行いました。その後に実際にインストラクターの方の指導のもと、基本的なマインドフルネス瞑想のトレーニングを行いました。どちらの会場でも、イベント終了後に参加者の方からまたやって欲しいとの声をかけて頂いております。ワークショップは不定期開催となりますが、また今後も企画をしていきますので、今回参加できなかった方もぜひ足を運んで頂けたら嬉しいです。

 ワークショップや友人や知人と話す中でよく聞かれる質問の中に、「それで瞑想してどう変わったの?」というものがあります。この記事ではマインドフルネス瞑想の効果に関して、実感していることをベースに書いてみたいと思います。

 マインドフルネス瞑想の効果は大きく分けて、短期的・即時的な効果と、中長期的な効果があると感じています。即時的なものとしては、瞑想直後に頭がスッキリし、脳の疲労が取れた感覚があります。例えば疲れている時に軽い昼寝をすると、PCが再起動するように、頭がシャキッとする感覚を持つ方も多いのではないでしょうか。覚醒した状態でマインドフルネス瞑想をした場合も、同じようにリセットされる感覚は持てると思います。また睡眠とは違うので、起きた後のぼーっとした感覚はあまりないです。例えば、仕事に煮詰まって集中力が落ちてきたり、複雑なことを考えるパワーがないなと感じたら、デスクやカフェで5分間の瞑想をするだけでも、効果は感じられると思います。

 
 次に中長期的な効果について私が感じていることをご紹介しますが、こちらの方がより本質的で重要な効果だと感じています。一番分かりやすく効果が出たのは、イラっとしたり怒りの感情を持つことが非常に少なくなることです。日常生活の中では、小さなことから大きなことまで怒りのトリガーとなる出来事はたくさんありますが、その都度反応していると疲れてしまいます。マインドフルに自分の心の状態を観察できるようになると、一瞬怒りが心に浮かんだ瞬間に、それをある意味で客観的に認識できるようになりました。不思議なことに自分の怒りを観察できるようになると、怒りのパワーはどこかに行ってしまいます。そして気づくと、怒りの原因となった出来事も客観的に分析できるようになります。結果として、より人間関係がスムーズになったり、日々以前よりもハッピーに生活できています。


 もう一つは将来のことに関して不安に感じることが激減したことです。例えばサラリーマンを辞めて新しい事業を興すタイミングであれば、普通はかなり不安に苛まれることと思います。私ももちろん不安は無数にありますが、考えても解の出ないことに関して、漠然と不安を感じ続けるということはあまりないです。マインドフルネス瞑想を通じて、何かのきっかけで生産的でない将来の可能性について色々考え始めたことに気づいたら、意識的に心を「今ここ」に戻せるようになりました。もちろん将来の計画を立てることは必要ですので、それはそれで漠然とした不安を持つこととは別にやっています。過去のことも同じく、過ぎ去ったこととしてあれこれ悩むことはほとんどありません。人によって元々の性格もあるとは思いますが、マインドフルに生きることで、気持ちが安定するということは実感できると思います。


 次に聞かれる質問が「どれくらいやると効果が出るの?」というものです。様々な論文で証明されているのは、2ヶ月程度毎日マインドフルネス瞑想のトレーニングを継続すると効果が出るということです。ただしそれより短くても効果が出るという論文もあります。これは人によってまちまちかも知れませんが、私は1ヶ月程度継続すると効果が実感できると思います。時間は5分、10分でも良いので毎日継続することがポイントです。日本人は1日3時間(!)スマホを使用しているという統計がありますので、そのうちの10分をマインドフルネス瞑想に使ってみるのも良いかも知れませんね。

今回は約800年前に日本に生まれた禅僧で曹洞宗の開祖である道元の言葉をご紹介します。

「瞑想を行い、そこから様々な功徳を得ている人は数知れない。あまりにも単純な方法だからといって、その可能性を疑ってはならない。今、自分が存在している場所で真実を見つけることができないというなら、一体どこに真実があるというのか。人生は短く、何人も次の瞬間が何をもたらすかを知ることはできない。心を養いなさい。その機会はいくらでも訪れる。やがて、すばらしい知恵を発見することになるだろう。そうすれば、今度はその知恵をほかの人びとと十分に分かちあい、彼らに幸福と平和を与えることができる。」

現代ほど科学技術や医療が普及していなかった当時、病気や死がより身近な世界だったはずです。様々な不安や恐怖に苦しんでいる人は多かったのではないでしょうか。そのような世界で心の平安を保ち、幸せに生きる術の一つが瞑想だったのです。物資的に満たされた世界においても幸せを感じることができない現代人に、道元は同じ言葉をかけるのでしょうか。

 こんにちは、Melon代表の橋本です。前職の会社を退職し早数カ月が経ち、この間にたくさんの友人・知人やご紹介を受けた方々にお会いさせて頂きました。その会話の中では、私の経歴や動機、想いなどをお話しさせて頂きましたが、まだお会いできていない方々や初めてMelonを通じてこのブログを読んでいらっしゃる方も多いと思います。そこで、この記事では私がなぜこのプロジェクトを始めたのかについて書いてみたいと思います。

 もう半年ほど前になりますが、自分の一番親しい友達や先輩にこれから始めるプロジェクトについて打ち明けました。多くの人の最初のリアクションは「・・・。・・・瞑想??」というものだったと記憶しています。まあ、当然だと思います。笑 マインドフルネスという言葉を聞いたことがある人のリアクションは「あー、マインドフルネスね。流行ってるよね。」という感じでした。特に最初のリアクションをした友人達はもともと私のバックグラウンドが全く違う分野だったことから、そのイメージのギャップに驚いたのだと思っています。

 私はこれまでの15年間、金融機関で仕事をしてきました。新卒で入社したのは外資系投資銀行でM&Aや株や債券の引き受けなどの仕事を学びました。3年後に先輩に誘われて、米国の資産運用会社で日本株の運用の世界に飛び込み、12年間市場と対峙する仕事をすることになります。結果として金融のプロとして様々な課題やハードルに直面しながらも、15年間生き残ることができました。そこから全く違う世界に飛び込むと宣言をしたので、多くの友人は本当に大丈夫なのかと心配してくれたのだと思います。(今も心配していると思います…。)

 なぜこの事業を始めるのか。一言で言えば、「自分を含め、人を幸せにしたいから」です。非常にありきたりで新味は微塵もありません。でも、本当に突き詰めて言えばこの一言に集約されます。当然のことですが全ての人間は生を受けた以上、幸せに生きていきたいと感じていると思います。人類がこれまでに発明、発見、開発してきた新しいモノ、コト、システム、技術はほとんどの場合、人間がより幸せに生きていくことを目的とされてきたはずです。翻って現代、私たちは20年前、10年前、5年前より幸せでしょうか?もちろん個人的にはそうだと言い切れる方も多いかもしれません。しかし様々な統計が示唆しているのは、幸福度が下落傾向にある可能性です。先日の記事でもご紹介したように、国連が公表した世界幸福度レポートでは米国の若者の幸福度が顕著に下落しており、日本でも気分障害者数は上昇傾向にあります。私はこの社会的な現象に歯止めをかけることができる可能性があるのがマインドフルネスと瞑想なのではないかと考えています。

 私がマインドフルネスや瞑想に興味を持つきっかけとなった個人的な経験がいくつかあります。それらは自分の中ではそれぞれ独立した経験として頭の中に残っていましたが、数年前にマインドフルネスという言葉が普及し始めた頃に、全てが結びついて、ガーンという衝撃を受けました。私が個人的に大切だと思ってきたことの本質が実は同じところにあったという気づきでしょうか。一つ一つの話をすると長くなってしまうので、簡単にまとめると以下のような経験です。

 近年、エクササイズへの注目は高まっており、多くの人が様々なスポーツやアクティビティを学び、楽しんでいます。人が健康で幸せである上で、このトレンドは歓迎するべきと思っていますが、一方で心や脳への関心は未だそこまで高まっていないように感じています。近年の脳科学の研究で、数千年前から人類が取り組んできた瞑想が実は直接的に人を幸せにするツールであったということが証明されつつあり、私はこの可能性に賭けてみたいと感じました。そこで友人や知人にヒアリングをしたところ、私が意識が高いと思っている人ですら、まだまだマインドフルネスや瞑想の実践をしている人は少ないという事実が判明しました。そしてその大きな理由の一つは「学ぶ場」がないというものでした。マインドフルネス瞑想を学ぶアプリや本は多く存在していますが、物理的な場がないと人間は習慣化できないと思います。そこで実際にマインドフルネスのスタジオを作ってしまおうと考えるに至りました。

 以上が私の個人的な経験とプロジェクトを立ち上げた動機です。同じような志を持つ仲間を巻き込みながら、大きなムーブメントにしていきたいと思っています。

 今年の3月に国連が毎年発表している世界幸福度レポートが発表されました。ここで発表されている世界の国々の幸福度ランキングでは、一人当たりGDP、社会的支援、健康寿命、人生選択の自由度、寛容さ、社会の腐敗度を幸せを構成する重要な要素として「幸せ度」を説明しています。各国の人々が幸せと感じているとすれば、それらの要素が満たされているからだという仮定を元に、それぞれの寄与度を計算したものです。一番右端の薄紫はそれらで説明できない誤差です。

 このランキングでは例年、北欧が上位を占め、次いで欧米オセアニアの先進国が上位に入ってきます。アジアの上位国は25位の台湾、34位のシンガポールになります。日本は昨年は54位でしたが、今年は58位になりました。また幸福度の変化度合いのランキングもあり、日本は前回の調査から幸福度が若干下がっているため95位です。変化度合いのランキングで上位に入っているのが東欧、アフリカ、アジア、南米などの比較的GDPが低い国であり、一方で幸福度ランキングでは上位に入っている先進国では、米国の112位、フランスの102位など低下傾向にあることが読み取れます。

World Happiness Report 2019 (https://worldhappiness.report)

 次にデータソースは違うのですが、一人当たりGDPと幸福度の時系列の変化を見てみます。このグラフでは横軸に一人当たりGDP、縦軸に自分が幸福と感じている人の割合を取っています。当然ですが、世界は時間の経過と共に裕福になってきており、矢印は右方向に伸びています。一方で幸福度については、若干様子が異なっており、特に右端にある先進国では一部の国で幸福度が下落しています。裕福になる途上にある国の人々が、物質的に豊かになるとともに幸せを感じるようになっていくのは感覚的に理解できますが、既にある程度、物質的なニーズを満たされている人々の幸福度がなぜ下がっているのか?一見矛盾するこの現象はEasterlinパラドックスと呼ばれているそうです。このヒントは先ほどの世界幸福度レポートの中にありました。

Happiness and Life Satisfaction by Esteban Ortiz-Ospina and Max Roser
(https://ourworldindata.org/happiness-and-life-satisfaction)

2010年以降はアメリカ人の幸福とウェルビーング(健康で安心して生活できる状態)にとって良いものではなかった。 2009年の大不況後に米国経済は回復したにも関わらず、成人の幸福度は1990年代の高水準までは回復せず、一般社会調査では少なくとも2000年以降緩やかな減少が続いている。

中略

幸福度と精神的健康のこの低下は逆説的である。多くのアメリカ人はこれまでよりも幸せを感じることができるはずだ。失業率も暴力犯罪率も低く、一人当たり所得はここ数十年で着実に伸びてきた。これがEasterlinパラドックスと呼ばれるものだ。生活水準が向上するにつれて、幸福度も向上するはずなのに、そうなってはいない。

社会的資本および社会的支援の減少(Sachs, 2017)、肥満および薬物乱用の増加(Sachs, 2018)など、成人アメリカ人の幸福度の低下を説明するために、いくつかの信頼できる説明がなされている。ここでは、さらに補足的な説明を提案したい。アメリカ人の余暇の過ごし方に根本的な変化があったことが、幸福度の低下を引き起こしているということである。

World Happiness Report 2019 (https://worldhappiness.report)

 ここで指摘されている余暇の過ごし方の変化とは何でしょうか?既にお気付きの方もいらっしゃると思いますが、スマホです。(この記事をスマホで読まれている方も多いと思いますが…。)スマホが普及して以降、子供も大人もライフスタイルが大きく変化しました。具体的には、人との直接的な会話や睡眠に充てる時間が、スマホを眺めている時間に置き換わったということです。もちろんスマホによって世界は良い意味でも大きく変化しました。一方で副作用に関しては、これまであまり社会的な関心が向けられてこなかったような気がします。

この10年間で、青少年がスクリーンアクティビティ(特に、ゲーム、ソーシャルメディア、テキストメッセージなどのデジタルメディア)に費やす時間は着実に増加し、アメリカ人の大半がスマートフォンを持つようになって以降、2012年以降はさらに加速した (Twenge et al., 2019b)。 2017年までに、平均的な17〜18歳は、主に3つのデジタルメディア(インターネット、ソーシャルメディア、テキストメッセージ)に1日6時間以上を費やすようになった。 2018年までに、米国の青少年の95%がスマートフォンにアクセスし、45%が「ほぼ常時」オンラインでいると答えている(Anderson&Jiang, 2018)。 デジタルメディアの利用が増加したのと同じ時期に、友達との付き合い、社交、パーティーへの参加など、互いに直接対話をする時間は減少した。 2016年には、iGen世代(1995年〜2012年に生まれた世代)の高校生は、GenX世代(1960年〜1980年代前半に生まれた世代)と比較し、人と直接会話をする時間が1日1時間も短くなった(Twenge et al., 2019)。このように、青少年が社会的に交流する方法は根本的に変わり、オンラインでの活動が増え、直接的な人との交流から離れていった。

World Happiness Report 2019 (https://worldhappiness.report)

 睡眠と、人と会話する時間が減少するのに呼応するように、幸福度の水準も下落してきており、特に2012年以降の変化は顕著と言えるでしょう。このレポートでは明確な因果関係は示していませんが、関連性があることは否定できないように感じます。幸福度との関連性が高い活動には、睡眠、スポーツ、人との会話、ボランティア、映画鑑賞、宗教活動などがあるため、それらに費やす時間が減ったことは幸福度を減少させる要因になったのかもしれません。

World Happiness Report 2019 (https://worldhappiness.report)

 特に睡眠は人間にとって非常に重要なメンテナンスの役割があることが知られています。体は眠っている間に成長ホルモンを分泌し、疲れをとったり、傷んだ部分を修復します。また日中に見たことや学習したことを脳に定着させたり、整理したりするのも睡眠の効果です。脳を休めるためには7時間の睡眠が望ましいとされています。しかし、実際には仕事や家庭、人間関係など様々な理由で十分な睡眠を取れず、脳を十分に休ませることができていない人が多いのではないでしょうか。この十数年の技術的な進歩に対し、人間の脳や身体は適応できていないと考えれます。

 私はこの数年でマインドフルネスや瞑想への注目が高まっている理由の一つが、スマホを含むテクノロジーの進化と、それによってもたらされる情報量の増加ではないかと考えています。人間の進化の過程において、ここまで速いスピードで人間を取り巻く環境が変化したことはなかったはず。恐らくこれからもこの技術的な変化はシンギュラリティと呼ばれる点を目指し、加速し続けていくのではないでしょうか。一方で、まだ誰も想像できない未来に不安を感じる人も増えているのかもしれません。このような文脈の中で、今ここにある自分の身体と心に向き合うということの意味が改めて問われているような気がします。

 この記事では私自身が瞑想している時の感覚を共有してみたいと思います。これまで初めて瞑想を体験した方に話を聞いた中では、自分のやり方が正しいのか分からないという感想があるようでした。そこでこのブログを通じてご自身でやられている瞑想が感覚的に正しいのかというイメージを持って頂けたらと思います。

 自分がルーティーンにしているのは朝起きてから朝食後、もしくはコーヒーを飲んだ後の瞑想です。定期的に時間が確保しやすいのと、起床後は疲れが溜まっていないため集中しやすいためです。家の中でも比較的静かで、陽の光が当たる場所を確保すると良いかもしれません。日光がセロトニンの代謝を促し、体内時計をリセットしてくれるからです。

 軽いストレッチをした後に、座布団の上に胡座をかいて目を瞑ります。自分は股関節が堅く、胡座が苦手なのでお尻の下にクッションを敷いています。普通の椅子に座っても問題ないと思います。背筋を伸ばし、坐骨から頭頂まで1本の軸が通っているイメージ、もしくは頭の上から糸で引っ張られているイメージでリラックスして下さい。目は軽く閉じるか、半分閉じて1mくらい先を眺めます。

 瞑想を開始した直後はまだ心拍が高かったり、呼吸が早かったりするので、意識的に呼吸のスピードを落とします。深呼吸をしたい人は数回しても良いでしょう。深呼吸をすると副交感神経が優位になり、脈拍も落ちてきてリラックスできます。日によりますが、身体の一部にコリや痛みがある時はゆったりと呼吸をしながら、その部位に注意を向けてみましょう。どのようなコリ、痛みなのか心で観察した後に、緊張している箇所を緩めてあげます。意外とそれだけでも楽になったりします。

 準備が整ったら自らの呼吸に意識を向けます。空気が鼻を通じて肺に入る感覚、胸やお腹が膨らむ感覚を感じてみましょう。呼吸のスピードや深さにも気づくかもしれません。正解はないですが、自分の感覚的には波の上を漂っているイメージ。集中できていると呼吸と心拍の波の上にいる感覚があります。

 自分の場合、大体このあたりから雑念がやってきます(笑)日によって違いますが、あまり集中していない時は無意識に考え事(主に仕事のこと)をしていて、気づいたら事業計画を練っていたりします(苦笑)集中力が高い日は、意識が逸れた直後に気づくので軌道修正も速いです。瞑想を継続していくと、この気づくスピードが次第に速くなっていくのが体験できるでしょう。瞑想の効果の一つは自己認知機能の向上なので、この効果を実感すると納得できるかもしれません。

 一番集中できている時は、自分が感覚だけの存在になります。言葉で説明すると難しいのですが、感覚(視覚、聴覚、触覚など)を感じても、それをきっかけに考え始めたり、頭でそのことに意味付けをしなくなるイメージ。その世界では時間を意識することはありません。ただ感じ続けている状態が気持ち良いです。この感覚を一度感じるとまた体験したくなるかもしれませんが、それに執着すると逆にその状態に至ることは難しくなると思います。禅の世界でも言われることですが、何かを期待し過ぎて瞑想を行うというのは本来の姿ではないようです。

 毎日瞑想をしていると自分自身が感じていることや考えていることに敏感に気づけるようになります。ネガティブなことやポジティブなこと、それを感じている自分、他者との関係性も、メタ認知できるようになるかもしれません。この気づいてる感覚がマインドフルと呼ばれている状態だと思います。興味を持たれたら是非試してみて下さい。瞑想、楽しいですよ!