ハイジャック

 突然ですが、ハイジャックを経験したことはありますか?わたしは昔はよくハイジャックに遭っていましたが、最近はめっきり少なくなりました…。もちろん飛行機でのハイジャックの話ではありません。自分の脳を怒りに乗っ取られてしまう、感情のハイジャックの話です。まるでテロリストが飛行機に乗り込んでくるように、人間の脳もハイジャックに遭ってしまうことが知られています。

 脳に過度なストレスがかかると、本能や感情を司る扁桃体と呼ばれる部位が、自分の意思とは関係なく暴走を始めてしまいます。これを脳科学の世界では「まるで扁桃体がハイジャックされたようだ。」と表現することがあります。例えば、長い列に並んでいて割り込みをされた時、すれ違いざまに強くぶつかられた時、誰しも一瞬はイラっとしてしまうのではないでしょうか。通常は、理性を司っている前頭前野が扁桃体を抑えつけてバランスを取っています。このバランスが崩れてしまうと、キレやすくなってしまったり、自分の欲求のコントロールが効きにくくなってしまうと言われています。

 それではこのような事態に陥らないためにどうすれば良いのか?方法は即効性のある対処法と、中長期的な方法があります。中長期的にはマインドフルネス瞑想を継続することで、扁桃体と前頭前野のバランスが取れるようになることが知られています。実際に怒りを感じた時には、次のような方法を試してみてください。

① 怒りを認識する。自分が怒りを感じていると理解し、怒りと怒っている自分を同一視しない。
② 怒りを受け入れる。怒ってはいけないと自分に言い聞かせるのではなく、素直に自分が怒っている事実を受け入れます。
③ 検証する。怒った時に身体にどのような変化が起きているか観察します。呼吸、心拍、筋肉のこわばり、これらの変化に気づきましょう。
④ 手放す。客観的に認識した怒りの感情を、他人事のように手放していきます。①で自分と怒りを同一視しなくなっているので、この段階では比較的、怒りから距離を置くことがしやすくなっています。

 本当は怒りたくないのに、怒ってしまいそう。そんな感情が湧いた瞬間に、深呼吸をしたり、数を数えてからこの方法を試してみるとより効果的かもしれません。怒らなくなった自分を、きっと周りの人たちはもっと好きになってくれることでしょう。