自己認識とは

マインドフルネスの効果としてよく挙げられるものとして自己認識能力の向上があります。この記事では自己認識とは何かを考えてみます。

英語で自己認識はSelf-awarenessと訳されますが、awarenessとは気づきです。少しわかりやすく言い換えると、自分の状態に気づいていることが自己認識ですね。それでは自分の状態に気づいていない状態とは、どのような状態なのでしょうか?例えば、スーパーのレジに並んでいる時に割り込みをされたとします。その瞬間、多くの人はイラッとして、注意をしようとしたり、心の中で文句を言ったりしているかもしれません。この時、自分の状態に気づいていると言えるでしょうか?おそらく感情や思考の波に飲まれて、客観的に自分の状態に気づいているとは言えないかもしませんね。ここからの反応は人によって大きく違うと思います。その日、体調が悪かったり嫌なことが重なっていたりしたら、割り込みという外部からの刺激によって、長時間に渡り、怒りや不快感が続いてしまう人もいるでしょう。一方で、健康でポジティブな気分の人は、「ま、いいや。」と受け流すことができるかもしれません。ここで、自己認識能力の高い人は「自分が怒りを感じた」ということを瞬時に認識して、意識的にその感情を手放すことができます。マインドフルに生きるということは、周囲の状況や自分自身の状態にいつも気づいていられるということです。そして、一度気づくことができた感情や思考に関しては、それを持ち続けるか、手放すかを選べるようになっていきます。

マインドフルネスのトレーニングでなぜ自己認識が高まるのでしょうか。例えば呼吸に意識を向けている時に、自分の意識が勝手に連想ゲームを始めたとします。マインドフルネス瞑想の一番のポイントは、その時に「意識がそれた」ということに気づくことです。瞑想のトレーニングを継続すると、その気づきのスピードが段々と早まっていき、これにより自分の意識の動きに敏感になっていくのです。そして気づく「対象」として自分の感情や思考を認識することにより、それらを自分自身の一部と見なさなくなっていきます。(取捨選択できるものはもともと自分の一部ではないですよね。)このプロセスを脱同一化という言葉で表現したりもします。

ここで日本に伝わる古いエピソードを紹介させて下さい。ある侍が極楽と地獄とは何かを説明するよう禅僧に挑みました。しかし、禅僧はこう答えます。「お前は全くの愚か者だ。お前のような者に時間を無駄にはできない。」激怒した侍は、刀を抜き怒鳴った。「無礼者、死にたいか!」すると禅僧は穏やかに答えます。「それが地獄です。」侍はその言葉の意味することを理解し、気持ちを沈めて刀を収めると、禅僧に礼を言いました。「それこそが、極楽です。」と禅僧は言いました。まさに、外部からの刺激→感情の変化→自己認識→脱同一化という一連のプロセスを表していますね。

このようにマインドフルネスを継続することで、自己認識能力を高め、より感情を安定させて充実した毎日を送れるようになっていきます。個人的には2〜3ヶ月で効果を実感できるようになると思います。体を鍛えるのと同様に、心も必ず鍛えられます。Melonではマインドフルネスのトレーニングを初心者の方も実践できる場を提供していますので、ぜひお気軽に遊びに来て下さい。