【Dr.久賀谷の読むマインドフルネス】資本主義とマインドフルネス

MELONシニア・アドバイザーの「久賀谷亮先生」のコラム連載 “読むマインドフルネス”、第3回目のテーマは「資本主義とマインドフルネス」です。
それでは、お楽しみ下さい。
久賀谷 亮
MELONシニア・アドバイザー/医師(日・米医師免許)医学博士
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだ後、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に従事する。カイザーグループ、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバー UCLA 非常勤医などを経てロサンゼルスにて「 TransHope Medical, Inc. 」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法や TMS 磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開。臨床医として日米で 25 年以上のキャリアを持つ。著書・講演・セミナー・監修や、脳科学に基づくマインドフルネス休息法のインフルエンサーとして尽力を注ぐ。
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目まぐるしく変化する日常
事実は小説より奇なりと、言いますが、今は現実がけたたましく変化している時です。日々がドラマと言ってもいいでしょう。
今年のアカデミー賞は、それを捉えた映画たちが多数みられました。そのなかで、最優秀作品賞を受賞したのは「Nomadland」でした。

正直、単調な映画は眠りを誘いましたが、フィクションとノンフィクションを組み合わせた、まさに現実ドラマです。ノマド、つまりキャンピングカーで生活する人々を描いた作品です。2014年頃からの「ノマド」生活を追った記事が元だそうです。リアルに世相を、そして、アメリカにいながらの「恐怖」を描いています。
増加する「ノマド・コミュニティー」
資本主義、テクノロジー、ITメガ企業、高齢化、住宅ローン、そして年功序列でリタイアするというパターンの消失。多くの登場人物は、時代にはじき出された高齢者で、パートタイムの収入を頼りに、キャンピングカーで生活しています。
格差の厳しい環境から努力で抜け出すというストーリーもはびこる中、この作品はヒーロー伝ではなく、リアルな人々の少し悲しい話です。ノマド、フルタイム・トラベラー、バンライフ、自主ホームレス、ミニマリズムなどは、すべてつながる時代のトレンドでしょうか。

この映画の舞台も、しばらく前250人ほどだったノマド・コミュニティーは、今や5000人に膨らんでいるそうです。アメリカのサバイバル・ストーリーがそこにあります。いえ、世界も同様でしょう。
資本主義で生き抜くためのマインドフルネス
資本主義は成長資本主義となり、1980年代のサッチャー、レーガンが支持し、さらにクリントンもオバマも能力、学歴を推してきた結果、残された人々はイラつき、上を妬みます。それがトランプ大統領発生であり、暴徒へと続いたという、この内面の憤りを指したのが、マイケル・サンデル氏の近著「Tyranny of Merit」です。
超高速のジェット機に、パイロットなしで乗っている我々。
メガ企業とテクノロジーが、瞬時にログ変化 (対数的変化) を起こします。資本家がその余剰ゆえにマインドフルネスを取り入れ、それが今「広く」行き渡っているのは、この ‘サバイバル’ を生き抜き、この世相でも幸せを見出そうとする私たちの汗の表れではないでしょうか。
禅も仏陀も、飽食から出て、その叡智は、結局世の中を広く中和するのに役立つ不思議なパターンがあります。
