脳の仕組みと鍛え方

 この記事では脳の仕組みと、ストレスに晒された時の脳の反応を解説します。またそのような状況にどう対応することができるのかをご説明したいと思います。

 人間の脳には様々な部位がありますが、ここで最初に取り上げたいのは「扁桃体」という部位です。扁桃体はヒトを含む高等脊椎動物の脳の奥に存在するアーモンド形の神経細胞の集まりで、情動(感情)反応の処理と記憶に主要な役割を持つ原始的な部位とされています。進化の過程において、動物が生存していく上で、特に恐怖を感じる時に大きな役割を果たすようになりました。動物にとっては、痛い思いや嫌な思いを避けるということは、生命を生きながらえさせるもっとも手っ取り早い手段であったためです。その後、喜びや楽しさなど他の感情もつかさどるようになったと考えられています。

 現代社会では人間が生存していく上での安全性は既に確保されていると言えます。しかし過去に起きたネガティブな出来事の記憶や、将来の不安を繰り返し感じることで、実際にはその出来事が今は起きていないのにも関わらず、扁桃体はネガティブなメッセージを発し続けることになります。これが継続すると些細なきっかけでも扁桃体が反応しやすくなってしまうと考えられています。扁桃体が活動的になると副腎と呼ばれる臓器にメッセージが伝えられ、そこからコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。また交感神経を緊張させ、血圧や心拍数の上昇、発汗などの反応が引き起こされます。

 一方でこの扁桃体をコントロールしている部位があります。それは前頭前野(前頭前皮質)という脳の前方にある比較的新しい部位です。前頭前野はヒトをヒトたらしめ、思考や創造性、理性を担う脳の最高中枢であると考えられています。この部位の大脳に占める割合は進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5%、イヌで7%、サルで11.5%、チンパンジーで17%であるのに対し、ヒトでは進化の過程で29%を占めるに至りました。社会のルールの中で生きている人間は前頭前野を使うことで、原始的な欲求や感情を抑え、バランスを取り生きていくことができています。これに対して、前頭前野の活動が低下している脳では些細な出来事で怒りを爆発させてしまったりすると考えられています。これが所謂キレてしまった状態と言えます。

 それではどうすれば前頭前野を鍛えられるのか?その方法の一つがマインドフルネス瞑想です。最新の脳科学の研究で、瞑想をすることで前頭前野が扁桃体をコントロールする力を高めることができると分かってきました。瞑想を継続することで脳の形自体が変化し、特定の状況における脳の反応が変化することも知られています。(脳の可塑性)脳のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、このように瞑想が持つポジティブな効果は次第に明らかになってきています。2600年前から人類が行ってきた瞑想が、実は脳科学で効果が証明されたトレーニングだったと考えると興味深いですね。人類の叡智に感銘を受けます。このブログでは瞑想と脳科学の解説を引き続きご紹介していきます。

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